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竜対高田

今回は、勇者との二回戦目です。

上手く書けたか不安ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

「うわああぁぁぁぁぁーーー!?」

「ぎゃあぁああああああああ!!」

「たっ、助けてくれぇぇえーーーーー!!」


里の中に響き渡る老若男女の悲鳴と叫び。

そして


ブスッ!ブスッ!ブスッ!ズジャ!ズジャッ!

ザク!ザク!


地面、人の肉に刺さる矢の音。


「神無月さん!」

「風よ。その力で、撃を払え!」


仁美が詠唱をして見えない幕が里を覆い矢を弾いていく。

そして、仁美は

「火よ。我らを縛る戒めを解け」

火の精霊を使役し、自分達の縄を焼く。


『我が主方。どうぞお受け取りを』

水の精霊がシャボン玉のような水球で運んできた竜達の武器を手渡す。


「皆は、矢にやられた人達をお願いします。僕は帝国を!」

『ゆくのじゃ』

「はい!」

得物を差して竜は駆け出していった。


帝国側。

「第二射。防がれました」

「ち。面白くねえ」

高田は様子と報告を聞き舌打ちする。


「まあ。いいだろう。だいたいは第一射で仕留めれた」

花田は上場だと思っていた。


「おい!あいつは!」

高田が驚きの声をあげた。

その視線の先にはこちらに向かって坂道をかけあがり、走ってくる竜の姿があった。


「花田。いいよな」

笑みを浮かべる。


「いいだろう。あんな雑魚。すぐに殺ってしまえ」

その返答に高田は獰猛な笑みを浮かべ、跳躍した。


走っていた竜は上空から来る相手を見て後方に跳んだ。

着地した衝撃で地面が穿かれる。


「よお。弱陰。久しぶりだな」

「高田さん。久しぶりですね。できれば会いたくはありませんでしたが」

「こっちは会いたかったぜ。俺はてめぇを殺したくて殺したくて仕方がなかったぜ」

笑みを浮かべ竜を睨み付ける高田。


「どうしてこんなことをしたんですか!高田さん達は交渉しに来たんじゃないんですか!!」

「何善人者ぶってんだ。そんなことのために俺が来るかよ」

くだらねぇ、と吐き捨てる。


「はなッからこいつらは処分されるのは決まってたんだよ。だが、てっきり向こうから攻めてくるんじゃなねぇかと思っていたが交渉に応じた時はめんどくさかったぜ。ま、交渉の材料にてめぇらを用意してくれたんだ。生き残れた奴らは奴隷として生かしてやることにしたぜ。ま、生きてたらの話しだがな!」

「!」

話し終えた瞬間に高田の拳が出た。

竜は後方に跳び回避する。

(怒っている場合じゃない!)

竜としては彼の所業に怒りが込み上げてくる。しかし、そんな事をする間はなかった。

(集中しないと)

怒りを抑え、目の前のことに集中する。


「ち。少しはできるようになったじゃねえかよ!」

右足の蹴り。

それを腰を低くして避ける。

竜はすかさず腰の刀に手を掛け抜刀。


(終わらせる!)

腰を上げると同時の抜刀。蹴りをして無防備の高田に刃を向けた。

ガギィン!!

しかし刃は高田の肉体を切り裂くことはなくその直前の見えない障壁によって阻まれた。


「あめぇんだよ!」

「グハァ!?」

高田の拳が竜の溝内に入った。

衝撃が竜の身体中に駆け巡る。

そして後方に叩きつけられるように転がっていく。


「ゲホッ!ゲホッ!」

口に溜まった血を吐き出す。

(骨。やられた)

今の拳で腹の辺りが異様に痛かった。骨を折られた可能性がある。しかし考えている場合ではない。


「死にやがれぇ!」

跳躍して落下しながら拳を構える高田が見えていたからだ。

(大丈夫だ。いける)


高田の拳が竜に迫る。

だが竜は高田の拳が当たる前に消えた。

高田の拳が地面に巨大なクレーターを形成する。


「何!?」

驚く高田。

背後からザシュッ!という音。数秒後には背中が熱くなり、痛みが出始めた。


(斬られただと!?俺が!?)

驚きから驚愕へと変わった。

振り返るとそこには右手に刀、左手に剣を持ち、構える竜の姿があった。


「く。まぐれにしちゃあやるじゃねえか。だが、まぐれは一度だぁ!」

地を蹴り、能力を活かした高速移動、駿足。それで間合いを詰める。

(死ね!・・・・何!?)

だが、高田の拳は再び消えた竜によって空気を殴ることになった。

(また背後か!!)

素早く背後に構えようとする。

しかし今度は

「!」

咄嗟に左手の籠手でガードした。

金属音が鳴った。

そこには剣を籠手に突き、迫り合いする竜がいた。

「てめぇ・・・」

睨み付けるが竜は竜で攻撃を阻まれて苦い表情を浮かべている。

(やっぱり、こいつは弱い)

表情を見て高田は思った。

当初は自分では追い付けない速度で動いて驚いたが今の一撃を受け止めることができた。

「しゃぁ!」

剣を弾き上げ、蹴りを繰り出す。

しかし、竜は身につけた高速移動、駿足で移動する。

そして再び高田に剣を振るう。

また、その剣は見えない障壁に阻まれる。

繰り返し続いていく。


「ちっ。ちょこまかと。だが、ここまでだな。とっととてめぇを殺してやる」

高田は魔力を上げた。周囲にはオーラが漂う。


「風よ。俺の拳、脚に、敵を凪ぎ払う加護になれ!」


そう呟いた。

すると、両腕、両脚を包むように竜巻が発生し出す。


(これは詠唱!)

城にいた頃にクラスメート達、仁美、アーシャ、レティシアが使っていた竜とは遠い存在であった魔法。

そして、高田が使ったのはかつて、自分を実験と称して食らわせ命を落とさせかけた技であった。


「覚えているか!弱陰。こいつのことを。お前をあと一歩のところで殺しかけた技だ。けどよ。あの時よりも強化されているぜ」

得意気に説明する。

「それに、よ!」

「!」

距離を一瞬で詰め、拳を出してきた。

咄嗟に移動して免れる。

(なんて、奴だ・・・)

竜の表情に焦りが出始めていた。

左側の頬に一筋の赤い線が描かれていた。

(動いていなきゃ頭をもっていかれるところだった)


「どうした?顔色が悪いぜ」

再び迫る攻撃。

竜は距離をとるために動き続ける。

「なんだ?そんな程度か」

「っ!」

屈んで避ける。

高田の能力、筋力の倍加、勇者としての恩恵、魔法。それらによって竜の速度を凌駕される。

竜は、これまでに培ってきた、技術と鍛えた反射神経で補う。

しかし、それには限界がある。


「おら!おら!」

「っ!・・・・く!」

険しくなる。

「いい加減に死にやがれ!」

「は!」

剣を振るう。

しかし、高田の腕を取り巻く竜巻に防がれる。


「さっきからそいつら邪魔だな」

忌々しそうに竜の両手に握られた剣と刀を見る。

そして、不気味に笑い出す。


「てめぇに絶望をしてやるよ。弱陰」

地を蹴り、接近する高田。

(さっきよりも早い!)

しかし、寸前で横に跳び回避する。

すかさず剣を水平に構え、突く。


「あめぇんだよ!」

竜のいる方へ視線を向けてきた。

剣を突くのと同時に高田の裏拳が繰り出された。

剣と拳が衝突する。


ガギィン!バキィン!

ぶつかる音。そして、その後にきた何かが砕ける音。


竜の目の前で竜の剣が砕け散った。



今回は、主人公を苦境に立たせてみました。

自分としては追い込んだ方だと思っています。


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