アーシャ・アカツキ
遅めの投降です。
少し内容が無理やりな感じがありますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
「初めまして。私の名前は、アーシャ・アカツキって言うんだ」
竜達の前で堂々とにこやかに自己紹介をする。
竜達は竜達で反応は様々だ。
竜は困惑。
竜之心は小太刀から現出してはいなかったが何故か楽しんでいるのを竜は感じ取った。
仁美とレティシアは、複雑な表情を浮かべていた。
竜に敗北した少女は、竜がここで置いていくのもなんなので仁美の水の精霊の能力で竜達を見ていた仁美達の了承で宿まで連れてきたのだった。
そして、つい今しがた目覚めて現在に至る。
その後。素性がばれない程度に竜達も自己紹介をした。
「えっと。アーシャさん」
「アーシャでいいよ」
「では、アーシャ。どうして私達をつけたんですか」
「興味が湧いたんだ」
「興味…ですか」
「うん。最初は、ただ、市場をまわっていたんだ。けど、君達を見つけたんだ。最初は、フードを被っていて変な人だなって思ったんだよ。だけど、フードから見えた顔は二人共凄く綺麗だったんでびっくりしちゃった」
アーシャの言葉に二人は複雑な気持ちになった。
それは目の前のアーシャも美人の部類に入るからだ。
誰の目も引くほどの美しい紅い髪、それに引けを取られない白い肌に整った顔立ち、そして彫刻作品のような美しいプロポーション。十分に異性を虜にできる材料をもっている。
それと二人は、最初、アーシャを見て不安を抱いていた。
帝国の回し者といった考えもあったが、何よりも二人を不安にさせたのは竜を見ているアーシャの顔であった。その時の表情は、面白い物を見つけ興味を持ったといった表情だった。それは、好奇心によるものからなのか、それとも別の感情によるものなのか。
彼女がどう思っているのかは不明ではあるが二人は不安で仕方がなかった。
「それで、彼、竜が君達二人を護衛しているからどこかの貴族のお嬢様が御忍びなのかなって思ったんだ。けど、突然走り出すからびっくりしちゃったよ。で、気になってついていったら」
「私達が人さらいを撃退していた…と」
頷くアーシャ。
「すごいよね。リンもそうだけどヒトミもレティシアもいい動きしていたんだから」
「それで、僕達に興味を持ち、そして今日」
「うん。そう」
アーシャの答えに今度は竜が頷いた。
そして
「アーシャさん。聞きたいことがあるんですが」
「私が〝竜達と同じ世界の住人〟かどうか?」
「ということは」
「正解。そう私も地球にいた地球人だよ」
納得する竜。
しかし
「なッ!何一人で納得してるんですかぁ!」
「そ、そうです!しっかり説明してください!!」
仁美とレティシアが竜に驚いて問いただす。
「簡単ですよ。まずは、彼女の名前。これはどう見てもこの世界の人達が持つ名前じゃありません」
「でも、東方の国は似たような名前があると聞いたことがあります」
レティシアが否定の意見を口にする。
レティシアの言うとおりこの世界にも日本と同じ似た文化を持つ国が東方にある。
「ですが、その国では、苗字があるのは地位の高い人達が苗字を名乗っています。ましてや、ここはその東方の国じゃありません。そんな所じゃない国に苗字を名乗ったアーシャさんがいる。これは不自然です。下手をすれば国際問題になります」
「確かに」
「それなら異世界から、地球から、日本から来たと考えれば、まだ説明がつきます」
それに彼女が使っていたあの移動法。
竜はアーシャと闘ってある程度理解していた。
「それにアーシャさんが使っていたあの高速の移動法。あれは、〝抜き足〟ですね」
「本当に君はすごいね!そう、あれは私の道場で習った技なの」
「アーシャさんの流派は」
「火野暁流」
「火野暁流って、確か」
「日本だと京都で有名だったかな?」
アーシャが思い出すように言う。
「じゃあ。アーシャさんが僕達と同じ世界からやって来たことはわかりました。じゃあ、次に聞きます。どうして、こっちの世界に?」
「そうだね。私も正直、自分の境遇を知ってほしいって気持ちがあるんだ。それにみんなになら話したいし」
一拍置いてアーシャは口を開いた。
「私も召還されたんだ。勇者としてね」




