旅は楽じゃない
短すぎたので少し付け足しをしました。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
中央都市国に向けた旅。
それは、決して容易なものではない。地球のように飛行機、車等はない。あったとしても船か飛行船。それでも費用はばかにならない。そして、時間もかかる。そのため、途中で出会う馬車に乗せてもらうか、歩きしかないのだ。
竜達は、後者。歩きだ。
そのため
「おい。小僧、女と金目の物置いて消えな」
盗賊達に遭遇したりする。
目的は
「金目の物はいいとして彼女達は困ります」
物語の定番と言っていい目的。
竜はため息をしたい気持ちを堪える。
「は、全部置いていきな。小僧、さもねぇと」
それを合図に盗賊達は各々の武器を抜く。
「もう一度言います。早々に退いてください。これ以上は、こちらも動きます」
剣と刀に手を添える。
「へ、ガキ一人に何ができる。やっちまえ!」
「仕方ないですね」
竜は刀の柄に手を置く。
そして、盗賊の一人が斬りかかるより早く抜刀。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
男の腹辺りが赤く滲む。
「ほんの斬り傷です。止血すれば大丈夫ですよ」
そんなことを呟きながら竜は同じように他の盗賊達を次々と斬っていく。
全員が致命傷にはならないが斬られたところを押さえて呻いている。
竜が盗賊達を無力にしている頃。
仁美達の方も同じような展開になっていた。
「くそぉ!なんだこの女は!?」
「つ、つぇ!?」
盗賊達は悪戦苦闘していた。
仁美は精霊達を使い撃退。または、自分の魔法で相手していた。
レティシアの場合は、盗賊達の剣を避けていた。まだ、三人の中で一番実力のない彼女だが旅の中での修行で実力をつけてはじめていた。今では、盗賊達の剣を軽く避け、振り回すほどであった。レティシアを相手していた盗賊達は自分達の体力が切れて地面にへたり込んでいた。
それから、数十分後。
わずかの時間で竜達は無傷で盗賊達を倒したのだった。
「旅は、楽じゃない」
竜は盗賊を倒した後、自然と呟いていた。
それから盗賊達を退けてから竜達はその場を去った。
「レティシア様。腕を上げましたね」
「ほ、本当ですか!」
彼女の顔が輝く。
「はい。相手だった盗賊達が息切れをして崩れていました。普通なら無理です。成長している証拠です」
「ありがとうございます!」
嬉しくてレティシアは気持ちが高ぶる。
『じゃが。そこで満足するでないぞ。そのまま過信に繋がるのでな』
竜乃心の声が小太刀から響く。
「は、はい!」
レティシアは反射的に返事をしていた。
竜之心はレティシアの師である。そしてレティシアは彼の弟子なのだ。このやり取りはそんな二人の修業によってできたものである。
「師匠。少し言葉を」
『馬鹿者。褒めるだけじゃ何も変わらん。残るのは嬉しさとそこから繋がる己の過信じゃ。飴と鞭はしっかりと使い分けないとな。肝に命じておけ竜』
「はい」
竜も指摘されて自分はまだまだなのだと痛感させられるのだった。
その後、竜乃心の鞭は仁美にも向けられるたのであった。




