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街へ

なんとか、ここまで書けました。

楽しんでいただけたら嬉しいです。

「じゃあ。来てください」

「はい、いきます」

竜の言葉に仁美は弓を引く。そして、矢を放った。

空気を切り裂き矢は竜へと迫っていく。

しかし、竜自身は慌てることなく、それを少し体を左に傾けて避ける。


(本当にすごいですね)

何度見ても感服してしまう。

始めの頃は仁美自身も躊躇していたが何度も簡単に避けられ続けて諦めてしまった。

今では、おもいっきり矢を竜に放っている。

それは、竜が自分の矢を絶対に避けると確信しているためか、それとも彼に対する信頼によるものか。

理由はわからない。しかし、仁美としては後者と言えるだろう。

仁美は、休む間もなく新たな矢を弓にかける。

避けた後の竜に再び、矢が迫る。

それも竜は避けた。

今度は竜が行動を起こした。

避けた瞬間に地面を蹴る。

その時、仁美の視界から竜は消えた。


竜を見失った仁美は少し慌てたが右に向かうように地面を蹴った。


「腕を上げましたね」

さっきまで仁美がいたところに竜がいた。


「相変わらずの速度ですね。能力がないとは到底思えませんよ」

「自分でも思います。本当は、能力を持っているんじゃないかと」

竜は、仁美の二撃目を避けた後、一気に移動して背後に回ったのだ。

「それが、地球で言う所の」

「そうですね。縮地 ですね。ですが、僕達の流派だと駿足と言っています」


駿足。縮地とも言われる高速移動。

竜は、これを体得することによって仁美達、他のクラスメイトを圧倒したのだ。元々は、相手の懐に相手に悟られずに接近する技術であるが竜達の流派だと、マンガやアニメのような相手の視界から消え、見えない程の速度で動けることができるのだ。


「すごいですね」

「神無月さんもできるようになります」

「修行をすれば」

「はい」

竜は笑顔で答える。

「レティシアは、どうしていますか?」

向こうで師匠と稽古をしていますよ」

「そうですか。ありがとうございます。日陰さん、私達の願いを聞いてくださり」

「いえ、これくらいなら大丈夫ですよ」


仁美とレティシアが願った願い。

それは


「私達を鍛えていただけませんか」


二人はそう願った。


最初は、竜と竜之心は驚いた。だが、二人の覚悟を決めた表情を見て修行を受けさせる願いを引き受けたのだった。


「この前に比べれば反応は良くなっていますよ」

「そうですか!良かったです」

「ですが、まだです。ようやく、ここに来たんですよ。ですので本番はこれからですよ」

「はい」

仁美は、気を引き締めて返事をする。

「それでは、休憩も兼ねてレティシア様の所へ行きましょうか」

「そうですね」

稽古を終え、二人は二人がいる方へと歩き出した。


「はい!はい!」

レティシアは現在、声をあげて木刀を上段に振っていた。


『大振りになっとる。もっとゆっくりと、そうじゃ。そうじゃ』


レティシアは城にいた頃にちょっとした興味から騎士団長から剣を習っていた。しかし、それからは姫という立場からできなくなりかなりのブランクができてしまっていた。なので、レティシアはまず、本格的な修行よりもまず体を慣らすことから始めていた。


『よし、いい感じじゃ。どうじゃ?久しぶりの剣は?』

「本当に久しぶりです。明日には腕が筋肉痛になりそうです」

『まあ、十中八九なるじゃろう。じゃが、焦らずともよい、気長にやっていこう』

「はい」


「レティシアさーん」

向こうからレティシアの方に歩いてくる仁美と竜。

『どうやら向こうも休憩のようじゃ。こちらもそうしよう』

「わかりました」

二人(?)の稽古も一旦の終わりをむかえた。


「そろそろ、町に着く頃だと思います」

「それは、風の精霊の」

「はい。周囲の警戒も含めて探してきてもらったんです」

仁美は、聖属性を除く全ての属性を使える。そのため精霊も全属性と契約している。竜がいなかった数ヶ月に契約をしていたのだ。

「それで、どうでしたか」

「小さいですが宿屋がありました」

「そうですか。なら、準備をしてその宿でこれからのことのための準備をそこで整えましょう」

竜の言葉に全員が頷いた。

それから竜達は町に向けて出発した。


町には、だいたい、三時間くらいで到着した。そして、仁美が言っていた宿屋の方も空きがあり全員が泊まることができた。

竜達は、念のために仁美とレティシアは、部屋からはできるだけ出ないようにして竜がこれからのための食糧や資金等を用意したりしていた。

宿屋に宿泊をして2日。

「じゃあ。これからどこの国に行こうかってことを話し合いたいと思います」

「私としては、帝国と関わりのない国がいいと思います」

「私も同じです。帝国経由で私達のことを知らせている可能性がありますから」

『竜。これじゃと帝国と敵対しておる国、または、中立を保っておる国が妥当じゃろう』

「そうですよね。僕としては、どこにも住まず、自由に旅をするのがいいのですが」

『それは、お前さんの願望じゃろう』

竜乃心が呆れる。

「すいません」

二人のやり取りに仁美達は笑う。

「ですが、僕としては、中央都市国が妥当かと考えています」


中央都市国。

それは、この世界の中心と言われている場所にある都市だ。ここには、この世界の全てが集まっていると言っても過言ではないほどに様々な国の文化が集まっている。日本で言うところの東京に当たる。


「確かにあそこでしたら、大丈夫かと思います」

レティシアはそれに賛成だった。


「そうですね。私も賛成です。あそこは、全ての国が集まっている場所。あそこだけは暗黙の了解と言われるほどに争いが起きない場所と言われているみたいですし」

仁美も賛成した。


こうして、今後の行く道は、中央都市国へと決まった。

そして、次の日に竜達は、町を出るのだった。


竜達が町を出た頃、ダート帝国では大きな出来事があった。


玉座の間には、大勢の騎士達とこの国の政治を担う人達、そして、地球から召喚されてきた勇者達、竜達のクラスメイト達、全員が貴族らしい格好をしていた。

そして、赤い絨毯を囲むように整列していた。

暫くして玉座の間の入り口の扉が開き、二人の人物がゆっくりと並んで入ってきた。

一人は、白いスーツに金色の装飾が付き、腰には、服にひけをとらない存在感を出している聖剣キャリバーが腰に下がっていた。

そして、もう一人は、赤黒いドレスを着こなした女性だ。

一人は、茂木賢斗。そして、もう一人は、この帝国の第二王女ヴィレル・ダート。


二人は、ゆっくりと玉座へと歩いていった。


そして、その後、大陸に一つの情報が広がっていった。


ダート帝国第二王女ヴィレル・ダートと勇者モトギ・ケントが結婚。そして、モトギ・ケントがダート帝国の王の座に就いた。


という情報が。


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