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ダンジョン

ちょっと、流れが急になっているかもしれません。

ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

ご意見ご感想を待っています。


次の日。竜達と騎士団はダンジョンへと入っていった。

ダンジョンの中は竜達がよく知るような設定だ。

モンスターも前回にあったゴブリンやスライムと違い、ある時は映画で出るようなゾンビ。二メートルはあるトカゲの化け物等。前回とは比較にならない強力なモンスター達ばかりだ。

しかし、それは竜にとって、竜から見ての感想。

他のクラスメイト達は違っていた。クラスメイト達は持っているチート能力で次々と倒していったのだ。楽勝に。


「ははっ、楽勝だぜ!」

「これなら最終なんか簡単だろ!」

「へ、見たかよ。俺の能力」


そういった声があちこちから出てきている。

しかし、そんな中でも一言もそんな事を言わずに戦っている人がいた。

仁美だ。

仁美は例えどんな相手であろうと自分の能力で集中して倒していた。その目には油断を許さないという気持ちが込っている。


「仁美さん。すごいね!あっという間に倒していくね!」

そんな彼女に茂木が幾多の女性をおとしてき笑顔で話し掛けてきた。

「ありがとうございます」

仁美は淡々と返す。

「真面目だなあ。大丈夫だって、いざとなれば俺が守ってあげるからさ」

女性ならときめくセリフを呟く。

「ありがとうございます。ですが、私は大丈夫です。それに私よりも他のあなたの女性達を守ってあげて下さい」

仁美の指差す方には彼を待つ女子達がいた。

「彼女達は彼女達で守れるさ。俺は仁美さんの方が心配なんだよ」

その言動に仁美はちょっと怒りを抱いた。

彼の言動は彼女達を切り捨てて自分にだけ、と言っているようなものであったからだ。

「心配していただいてありがとうございます。ですが、私は大丈夫ですから」

仁美はそう言って茂木の申し出を断り続けるのであった。

その頃竜は、一番の後方でギリギリの戦闘を繰り返していた。

クラスの皆や騎士団が倒し損ねたモンスター達と戦うがいくら実戦経験を積み身体能力が上がっていてもモンスターとの戦闘は厳しいものだった。

今もトカゲの化け物と戦闘をしていた。

襲い掛かる相手を横に移動して避け、首もと辺りに左手に持つ剣を刺し、最後に右手に持つ刀で一刀両断にする。

現在の竜は、剣と刀の特性を活かした二刀流という戦闘スタイルになっていた。そのスタイルは、独特で遠巻きであったが騎士団の中には、竜の戦いに感心する者がいたほどであった。

しかし。そんな関心を集めているなど、必死に戦う竜には気づかないことであった。


そんな戦闘の後。

広い場所に出て休憩となった。竜は休憩がてら自分の得物をチェックした。そんな時にある事を思い出していた。

それはまだダンジョンへ向かう四日前の出来事だった。

仁美が連れてきたある人物が発端だった。


「えっと。神無月さん…その人は?」

竜は思わず身構えてしまった。

この城にいる貴族は竜を良くは思っていないからだ。

しかし、目の前にはその貴族いやお姫様がいた。レモンのような黄色の髪。それと同じ薄黄色のドレス。そして、その色を際立たせる純白の肌。まさに黄色という色が相応しい少女がそこにいた。


「ごめんなさい。日陰さん。でもこの事を知っている人は私達以外知りません。それに彼女は大丈夫です」

彼女の話だとお姫様は友人で他の人達とは違うらしい。

「わかりました。それでお姫様を連れてきた理由を」

「それは私が説明します」

静かな声が響く。

「仁美さんのご紹介をいただきました。第四位。レティシア・ミュエルと申します。日陰 竜様。そして、これまでのあなたにしてきた無礼をお許し下さい」

レティシアはそう言って頭を下げた。

これが竜のこの世界での初めての友達になった。


竜は彼女との出会いを思い出し小さく笑った。

「レティシア様。あの時はびっくりしたな。それに彼女が言った内容も」

竜は彼女が話した内容についてとても興味を抱いた。


「全員。集まれ!」


そんな事を思い出していると集合の号令が掛けられた。


「これより先はさらに強力なモンスター達がいる気を引き締めていけ!」

騎士団長の言葉に場が緊張に包まれる。

しかし、幾人かは余裕の表情を浮かべていた。

そして、竜達はさらに奥へと進んでいくのであった。


竜はここで何か嫌な事が起きそう気がするのだった。

そして、自分の腰に差した得物を強く握るのであった。


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