第九話 迷宮攻略その一
シグムントと話をしてから2週間がたったころやっとパーティメンバーが埋まった。
そして今日はそのミーティングである。
しかし、パーティメンバーの編成を取り仕切っていた人が屋敷に駆け込んできた。
「シグムント様!!アルストロメリア様のパーティメンバーの件なんですが・・・」
「どうしたんだ?落ち着いて話してみろ。」
男はすこし動揺しながらも言った。
「それが、あの一二神将の第10位のシュヴァルツ・ロータスが・・・」
そこでいつもは落ち着いているシグムントが明らかに取り乱して言った。
「それはあのシュヴァルツ・ロータスか!?機械族が改造した最悪の殺戮兵器、暴走鴉か?」
「は、はい。パーティ募集の申請書にはメインウェポンは弓と書いてあったのであの悪魔の名前を語った偽物ではないと思いますが。」
俺はそのシュヴァルツ・ロータスなる人物が気になったのでシグムント達に聞くことにした。
「お父様。何やら僕のパーティメンバーについて話しているみたいですけどどうかしたのですか?」
するとシグムントはいつもの調子に戻って、
「いや。何でもない。気にせずにいろ。それよりも今日はミーティングだろう。着替えて早くミーティングルームへと向かいなさい。」
「はーい。」
俺はシグムントに言われたので早々に向かうことにしたが後ろでシグムントが話しているのが聞こえてきた。
「とりあえずシュヴァルツ・ロータスは機械族のようにしっかりと手懐ければ特に問題は起きないはずだ。何とかするぞ。」
俺はそれを聞いてますますどんな人なのかが気になったのでミーティングルームで後から来るパーティメンバーを待つことにした。
20分ぐらい待っただろうか。やっと全員が揃ったのでミーティングが開始した。
「では今から第1回目のパーティミーティングを始めます。」
司会を務めているのは実際にはパーティには加わらないシグムントだ。
「では全員自己紹介をお願いします。内容は名前、年齢それと使用武器をお願いします。あとは普通ではありませんが幼い子供も何人かいるようなので、このパーティでの意気込み的なものを頂けたらと思います。では右端の方からお願いします。」
すると何の臆することもなく自己紹介を始めた。
「俺はクラージュ・ウェスティリア、年齢は24です。絶賛彼女募集中です。まあそんな話はおいておいて、パーティでの仕事は基本的には前線で盾を張るタンク役を務めたいと思っています。まあみんなで協力して迷宮を攻略しましょう。」
このひとの容姿は青髪で顔もそれなりにイケメンで身長もまあまああるので非常にモテそうなタイプである。少しチャラそうにも見えるので仲良くならないと簡単には信用できないような人だ。
次に自己紹介を始めたのは女性の人だ。
「私の名前はレーヴ・クインスで、年齢は18です。魔法使いとして今までのパーティでは働いてきました。この迷宮攻略でみんなで技術を高めれればなと思っています。短い間ですがよろしくお願いします。」
18歳といったがこの世界の成人は20歳ではなく14歳なので大人の女性になる。髪の毛は茶色がかった赤で綺麗な髪をしている。
自己紹介はつぎつぎ進んでいく。
「ラピヌ・モンクシュッド。年は言えない。シーフで情報収集や暗殺術が得意。以上。」
この人は外套をきていてしかも顔も見えない怪しい人だ。あまり背中は見せないよう気を付けたい。
次の人は俺より少し年上だが、あまり年齢は変わらなさそうなひとだ。
「僕の名前はブリッツ・ヘレボルスで、7歳です。武器は細剣で花心強撃流を専攻でやっているのでこの流派のレイピアには少し自信があります。よろしくお願いします。」
そして次のひとも自己紹介を始めた。
「私はエテルネル・アマリリスで年齢は14で今年成人します。ブリッツ君と同じく剣士ですが基本的には風心神速流を使います。今回はいろんな流派を試してみたいと思いこのパーティに参加させていただいたので、ピンチ時以外は風心神速流以外の4大流派を使わせていただきますがご了承ください。ではよろしくお願いします。」
自己紹介は俺の番へと回ってきた。
「僕はアルストロメリア・ディセントラ。5歳です。この度は僕のために集まっていただいて本当にありがとうございます。今回は剣士の方が多いので、魔法による後方支援をメインでやっていこうと思います。ではよろしくお願いします。」
そして俺の自己紹介も終わり、最後の人の自己紹介になった。
しかしその人が話そうと席を立った瞬間にシグムントを含め全員の顔つきが変わり場の空気が一気に変わった。俺もこの人がシグムントが言っていた人物だと直感的に悟った。
「俺はシュヴァルツ・ロータス。年齢は訳あっていえない。メインウェポンは弓だ。迷宮攻略頑張っていこう。」
このひとがシグムントが今朝話していたひとだと知ってよく観察してみたが、あまり不思議な点もなく普通の人物だと思ったが、現実世界の諺、『能ある鷹は爪を隠す』という諺を思い出し、今は分からなくても迷宮攻略しているときにどんな人物か判断すると決めた。
「みなさん、ありがとうございます。では次はパーティのフォーメーションを考えていくのと同時に今後のパーティを取り仕切る人物を決めたいと思います。私としてはクラージュ・ウェスティリアさんを推薦したいと思いますが、クラージュさん。やっていただけますか?」
するとクラージュは快く返事をしてくれた。
「いいですよ。引き受けます。」
シグムントは、
「ありがとうございます。ではパーティのフォーメーションを決めていきましょう。では討議形式でやっていこうと思うので後はみなさんクラージュさんに仕切っていただくのでご協力お願いします。」
するとクラージュは慣れているのかすぐに始めた。
「ではみなさんここからは僕が司会を務めさせてもらいます。ではフォーメーションですが基本的には自分の専門のポジションでやっていきましょう。偶然にもいいバランスですし。しかしブリッツ君とエテルネルさんが同じ剣士なのでどっちがメインでどっちがサブか普通は決めますが今回はブリッツ君はまだ子供、エテルネルさんはトレーニング中なのでブリッツ君が右翼をエテルネルさんが左翼を担当していただきます。ではパーティのフォーメーションなど協力体制をはっきりしておきたいので1度フォーメーションを組んで森へ向かいます。」
こうして俺らは森の奥地へと向かった。