第八話 My Birthday
俺は今日も魔法と剣術の練習をしていた。
ユピテルやシグムントに剣術の教えてくれるよう頼んだが二人とも用事があるから今日は魔法の練習をしなさいと言って相手をしてくれなかった。
思うと今日は家中がそわそわしている。
何かあるのかとアモーレに聞いても、
「アルスは気にせず、魔法の練習をしなさい。」
と母もメイドも口をそろえて言った。
これ以上は誰に聞いても教えてくれそうにないので大人しく森へ向かって魔法の練習をすることにした。
その日の夜、MPが切れるまで魔法を使って、さらに素振りまでしてつかれた俺は家に帰ると、家中の光が消え失せていてどうしたのかなと思っていると、急に明かりがついて、
「アルス(坊ちゃま)お誕生日おめでとう(ございます)。」
とみんなが出迎えてくれた。
よく考えてみると今日は日本暦で7月3日で俺の誕生日だった。
するとシグムントが俺の前へ出てきて、
「アルス、誕生日おめでとう。誕生日プレゼントといってはなんだがお前にこれをやろう。」
そういってシグムントに渡されたのは上級魔法までが載っている魔導書だった。
「お父様、ありがとうございます。これを使っていい魔法使いになれるよう頑張ります。」
すると次はユピテルがやってきた。
「アルス、誕生日おめでとう。僕からはこれをあげるよ。」
ユピテルがくれたものは固有銘つきの剣で名前は『勇気の剣』。INT+(プラス)がついたランクCの剣だった。
「わーありがとうユピテル兄さん。大事にするよ。これを使って毎日剣術に励もうかな。」
「アルス。剣もいいけど魔法の才能も無駄にしないように。」
最後にアモーレがやってきた。
「アルス。お誕生日おめでとう。母さんからはこの指輪をプレゼントするわ。この指輪は魔法がかかっていてAGIを+(プラス)10する優れものよ。」
「ありがとう。これで戦う時の危険がグッと下がるよ。」
「さあ、食事にしましょうか。」
食卓に並ぶ料理が豪華かというとそうでもない。
普段から無駄に豪華なのであまり感じないだけかもしれないが。
その夜、俺は夢を見た。
「やあ、また会ったね。まあ僕から会いに来てるんだけども。」
「随分とご無沙汰だったじゃないか。どうしたんだ?」
「まあ僕がこうやって君に会えるのも特定の条件を満たさないと来れないんだよ。」
「で、何をしに来た。」
これは当然の疑問である。最初に会ったときは俺に進むべき道を教えるためにやってきた。
しかし今回は特になににもこまっていない。なのにこいつがくるのはどうしてかがとても気になる。
「それはねー。君に誕生日おめでとうというのとプレゼントを渡したかったからだよ。」
思わず吹いてしまった。誕生日だからここにやってきたとはつくづく暇な奴だ。
「アルス君。誕生日おめでとう。僕からは物体ではなく大事な情報をきみに与えるよ。ちなみにランクでいうとEXだから。」
「それならそれと早くいってくれよ。それよりもEXってそんな大事な情報か。今回はなんなんだ?」
「じゃあいくよ。アルスよ、よく聞きなさい。これからお前はシグムントに軍に入りたいといいなさい。
そうすれば迷宮攻略をしろと言った理由も教えてくれるでしょう。そして迷宮を攻略して軍に入るのです。」
エコーがかかった最後を聞き終えるとお告げモードはめんどくせえなーと思いながら意識が落ちた。
次の日おれは昨日言われた通りシグムントへと相談した。
「お父様、軍への入隊をしたいのですが…」
「わたしが勝手にいれるつもりだったがアルスが自ら入るというなら話は早い。さっそくパーティを組んで迷宮を攻略してきなさい。」
「そのことなんですが、なんで迷宮を攻略しなきゃいけないんですか?」
「それはな軍の入隊条件に功績を残すとあるのだが、1番手っ取り早いのが迷宮を攻略することなのだよ。」
「そうですか。でもパーティメンバーはどうやってあつめるのですか?」
「それはなすでに町の掲示板に貼ってある。だから心配しなくてもいい。」
それを聞いて俺は安心した。しかしまだ重要なことを聞いていなかった。
「そういえば迷宮攻略はいつどこの迷宮に行くのですか?」
「それはパーティの募集枠がすべて埋まったらここに全員を集めてミーティングのときに話すつもりだ。それまでは今までと変わらずに、魔法と剣の練習をしているといい。」
「じゃあお父様。今から稽古をつけてもらってもいいですか。」
「今は少し忙しかったがまあいいだろう。体も動かしたかったところだしな。」
こうしてまた普段の日々に戻るのだった。