第六話 剣との両立
「ステータスボード」
本当は言う必要はないのだが、テンションが上がっていた俺はつい詠唱してしまっていた。
そして表示されたボードには、Lv.に応じた初期数値+(プラス)この前振ったステータスが表示されていた。
今のLv.は16なので
・HP→1600
・MP→2500
・DEF→160
・STR→160
・AGI→160
・INT→310
・DEX→160
・MND→160
・LUK→ 10
となっている。
LUKはLv.によって変動しないステータスなので、初期数値の10で止まっている。
他のSTRやAGIはLv.によって変わるのでLv.16に合わせて成長している。
つまり、
「筋肉をつけるために筋トレをするよ!」
「バカだなお前は、筋力を鍛えたいんならモンスターを倒してレベルを上げてSTRのステータスを振らないと筋肉はつかないよ」
こんなことがありえるのだ。
ちなみに一応ステータスの見方について説明すると、
HPはヒットポイント、皆さんご存知体力ですね。
MPはマナポイント、魔力総量となる。
STRはストレングス。物理攻撃力や持てる武器とかの重さに直結する。
AGIはアジリティ。動くスピードになる。
INTはインテリジェンス。魔力攻撃力が上がる。
DEXはデクストリティ。器用さで、剣や魔法のスキルがとれるようになる。
MNDはマインド。魔法防御力になる。
LUKはラッキー。モンスターのドロップ品がよくなったりする。
MPとINTはユピテル兄さんと一緒に上げているので他の数値より高くなっている。
「さて、今回はどう振ろうかな。魔法をガン上げするのもいいけど剣にも少し興味があるんだよな。」
今はユピテル曰く魔法の才に秀でているので魔法系のMPとINTを上げて魔法に対応したステータス構成になっている。
しかし前回のキラートレント戦で剣に対応するステータス構成にもしてみたい気持ちがある。
そんな自分のなかの二つの気持ちがせめぎ合っていると、ユピテル兄さんがやってきた。
「アルス、ちょっといいかい?」
「うん、いいよ。」
そういうと、ユピテルに連れられて森へと向かった。
「で、僕はどうしたらいいんだい?ユピテル兄さん。」
「うん。アルスは僕がピンチになったら魔法でモンスターを倒してくれ。」
そういうとユピテルは剣を片手にリザードマンへと立ち向かった。
「ウギャアアアア!!」
ユピテルは10体目のリザードマンを屠ると、俺の方を向いて言った。
「アルス。さっきからやってみたさそうな顔をしているけどアルスも剣を振ってみるかい?」
「いいの?ユピテル兄さん?」
「うん、いいよ。まだ何本か試したい剣を持ってきているから。」
そういうとユピテルはチェストを呼び出して、鉄製の剣を取り出した。
その剣には固有銘はなく、銘は鋼鉄の剣。
俺はそれを手にして持ち上げようとした。しかしそれが持ち上がることはなく、ユピテルは軽く笑って言った。
「ごめん。ごめん。それはアルスには持てないよね。僕のせいでアルスは魔法特化型だったね。」
「いやいや兄さん。僕はこれを持つよ。ステータスボード。」
詠唱短縮した魔法でステータスボードを出すと、俺は迷って時間をかけないよう手早く操作して、STRとAGR、そしてDEXにポイントを振った。
すると、スキルが取れるようになって、魔法と剣術のスキルが選べるようになっていいた。
どうやっていいか分からないところにいままで傍観していたユピテルが助け船を出してくれた。
「アルス。もしかしてDEXにポイントを振ったのかい?」
「うん。STR、AGIのついでに振ったらこんなのが出てきちゃって、どうすればいいの?」
「うん。アルス。それはね表示で出てる通り、スキルが取れるようになるんだ。スキルは剣で攻撃するときに特定のモーションをとると、自動でアシストして威力の高い技を繰り出せたり、魔法では、任意で魔法の威力を込める魔力量によって変えれたりするんだ。」
「でも兄さん。僕は無詠唱をするとき、込める魔力を調節して威力を上げることができるよ。それはスキルなのかい?」
「すごいよアルス。やっぱりアルスは魔法に才能があるよ。」
「じゃあ、こういうのはどうだい兄さん。魔法も剣も扱えるっていうのになるのはどうだい?」
「いいけど、具体的にはどうするんだい?」
「頑張ってレベルを上げて全部のステータスにまんべんなく振ってスキルのほうで剣をメインに育てて、魔法は努力とあるかもしれない才能でがんばるよ。」
「アルス。今までにそれをやろうとしたけど失敗した人がいっぱいいて、だから今は特化型が主流になっているんだよ。それでもやるかい?」
「うん。頑張るよ。」
こうして俺の剣術指導は始まった。