第三話 魔物退治
とりあえず、俺はリビングに降りた。すると切羽詰った声が聞こえてくる。
「大変なんです!シグムント様!!今年も森に大量の魔物が現れました」!」
どうやら、神様の言うとおりのようだな、俺はそっとため息をつく。
「またか。今年ももうそんな時期か。」
奴の口車に乗って父さんについて行くのも有りだろう...だが付いて行けばどうなる?今の俺では間違え無く 足手まといになる。だが隠れて付いて行くとか、了解を得て付いて行くとかなら有りでは無いだろうか?
そうこうしている内に話が終わったらしく父さんと鉢合わせした。
「なんだ、アルス起きていたのか。」
さて、どうする?とりあえず聞いてみるか...
「父様、魔物討伐行くのですか?でしたら僕も連れて行ってください!」
「ならん!!」
やっぱりな、なんせ魔物討伐は危ないこの地方に居る魔物はあくまでストーリー序盤の敵だが子供が相手できるような奴らじゃない。
「そうですか...残念です。」
「良いか、アルス今日は魔法の修行はよい決して森に近づかず家でおとなしくしておれ。」
「はい。」
まぁ始めから期待はしていない勝手に付いて行くさ。そいえばフィーユとの約束は大丈夫だろうか?まぁさすがに森には近づかないだろうから良いか。
「アルスとりあえずご飯を食べなさい。」
「はい。お父様。」
とりあえずご飯を食べてから付いて行く方法は考えよう。
朝食を食べている時の事だ、兄さんに突然話しかけられた。
「アルス今日は森に行けないのだから僕と魔法の練習をしないかい?」
おーそれはありがたいお誘いだ、だが俺は今日は父さん達に付いて行き神の言っていたことが本当か確かめなければならない、だからここは丁度良い感じの返答をするとしよう。
「ごめんなさい、ユピテル兄さん今日はどうしてもやっておきたい事があるんだ。」
「じゃあ、僕が手伝ってあげるよ。」
なっ、そうきたか、ならばこっちは...
「えーいやだよーユピテル兄さんがいるとすぐに片付いちゃって面白くないじゃん」
わざと可愛くさらにぶすくれた顔で言って魔法の時のようにOKもらおうとしたら...
「うーん...じゃあアドバイスをあげたりするくらいなら良いか...」
まずい...俺はそう感じ兄さんが言い終わる前に強引に話を終わらせる事にした。
「という事で母様今日は外に行ってまいりますのでしばし失礼!!」
俺は早口で言って言い終わるとどうじに転がるように自分の部屋に走った。
そう言えば父さんと母さんだがどちらもとても良い人だ、現実世界の俺の両親とは全然違う。
まず父さん、シグムント・ディセントラだが厳格な人でかなり厳しいだがそれは俺たち兄弟を思っての事なので俺はむしろ嬉しい。
母さん、アモーレ・ディセントラはかなり若く美人だ俺たち兄弟にたいしてとても優しく常に俺たちのためになるようにしてくれている優しい母さんだ。
そしてこの家の苗字であるディセントラとは駒草のことでこの世界の貴族など爵位を持っている家系は花の名前が苗字につく。
「おっと、考え事をしているうちに家の門が見えてきたな。外には荷物用の馬車も用意されていることだしあそこに乗り込むか。」
兵たちにバレないように乗り込んでいると、父・シグムントの声が聞こえてきた。
「みんな。今年もこの時期がやってきた。毎年のことで慣れてるかもしれないがくれぐれも気を付けて魔物を退治するように。」
「了解です。心して当たります。」
「今回は私を中心とした精鋭部隊が先行してことにあたる。他のものは残った魔物を討伐してくれ。以上、解散。」
20分ほどたった時だろうか。馬車が停止した。
「分かっていると思うがすでに森の中だ。魔物もたくさんいるから気を付けるように。」
どうやらシグムントによるミーティングだったらしい。
「よし。俺はシグムントが率いる精鋭部隊でもつけることにしよう。」
さすがは精鋭といったところか。どんどん湧き出る魔物を次々と蹴散らしていった。
すると大量の魔物に囲まれてしまっていた。次はどんな戦いになるかとわくわくしてみると、一人がリザードマンの攻撃を受けて負傷したみたいだ。
リザードマンはここらで出現する魔物の中では上位のモンスターで姿はトカゲ+人のようだ。また石の武器を使う厄介な相手で最大の武器は5~10体ほどの群れを作って行動することだった。
5人のチームプレイで魔物を倒していたが一人が負傷するとすべては捌ききれず1体のリザードマンがシグムントに攻撃しようとしていた。
「シグムント様!!危ない!!」
部隊の1人が言ったが別の個体を相手していて防御できる状態ではなかった。
「氷鎚!」
唱えると、そこに氷の塊ができて円柱をかたどり、リザードマンへとぶつかった。
俺はとっさに魔法を使ってしまったことに気が付いた。
その後、精鋭部隊は体制を立て直しすべての魔物を屠ったが、誰かが魔法を使ったのは気づかれていて、
「誰だ!そこにいるのは!」
隠れていても見つかりそうだったため素直に出ていくことにした。
「僕です。お父様。」
「アルスか。どうしてついてきた。」
「すみませんお父様。どうしても1度魔物が見てみたかったのです。」
当然のことだが父は俺を怒った。
「馬鹿者!危ないからついてくるなといったはずだ。」
「でも・・・」
「言い訳はいい!もう今日は家に帰っておとなしくしておれ。」
「はい。お父様。」
父は俺に後から来た救護班に俺と怪我人を任せさっさと奥へと進んでしまった。
救護班のひとから逃げてこのまま追い続けることもできたが、ここは帰ることにした。
その日の夜、食事中に父から話しかけられた。
「アルス、昼間に言えてなかったな。あの時は助けてくれてありがとう。おかげであの後でちゃんと魔物を片付けることができた。」
「しかしお父様。勝手についていったことは僕が悪かったです。すいませんでした。」
あとあとまたなにか言われないようにするため謝っておいた。
すると父は、
「もういい。気にするな。次回からこんなことをしなければそれでよい。もっともわしが助かったのはアルスのおかげじゃ。」
まあシグムントがそういうならいいとしよう。
「ところでアルスよ。あの時、リザードマンを倒した魔法は何という?あまり普通の氷鎚にはみえなかったが。」
「いえお父様。あれはただの氷鎚です。」
「それにしては威力も大きさも普通のよりすごく見えたがなんでじゃ?」
そこでユピテルが口を挟んだ。
「お父様。アルスは無詠唱の使い手なので詠唱による自動調節は必要ないので自分で込める魔力量を決められるのです。」
「そうか。だからあの時詠唱が聞こえなかったのか。アルスにそんな才能があるなら今度しようと思っていたテストもする必要ないな。」
俺はその発言に飛びついた。
「お父様。それは僕に魔導書を買っていただけるということですか。」
父は何やら満足げな顔で、
「そうだ。アルスの魔法の才能を認めて魔導書を与えるとしよう。何なら魔術の教師もつけるか。」
これはいいことになってきた。シグムントを助けただけでこんなことになるとは思ってもいなかった。
「ありがとう。お父様。これからも練習に励みます!」
こうして俺に魔導書が与えられ、教師までつくことになった。