第二話 魔法の才能
その日の夜、父は言った。
「アルス、お前は魔法の才能に秀でているようだな。」
最初は、何のことを言っているのか分からなかったがユピテルとの1件を思い出すとすぐに気が付いた。
続けてユピテルは言った。
「アルス、お前には僕以上に魔法を使うことができる。ちゃんと訓練をすれば偉大な魔法使いになれるかもしれないぞ。だから父様。アルスに魔導書を買ってあげるべきだと僕は思います。」
「しかしだな。今、才能があったとしてもそれが一生ものとは限らないだろ。少し成長が早いだけで将来は周りと一緒とも考えられる。」
そこでユピテルが言葉を遮った。
「でも、父様。ちゃんと訓練するなら早いほうが将来のためになります。ぜひアルスに本を買ってあげましょう。」
ユピテルがそういうと、父は渋々といった表情で言った。
「ユピテルがそこまで言うなら仕方ない。アルスに特訓の時間を七日間やろう。家にある簡単な魔法教本もやろう。そして私に使える最高の魔法を見せてみろ。そこで私が魔導書を与えるかどうかを判断する。」
そして次の日のから俺は家の庭にある森で必死に魔法の修業をした。
「ファイアーブレット、汝の求める所に炎を彼の炎は闇を貫かん」
そう唱えると俺の手から火の弾がでた。
そして、森の木々に火が付き...やばい。早く鎮火しなければ。
「ウォーターボール、汝の求める所に水を闇を浄化せよ」
次は水の球が出て火のところへとぶつかった。
「ふう。なんとか鎮火できたな。でも火魔法を使う度にこうなってしまっては困るな。これからはできるだけ火魔法は使わないようにしよう」
次の日からは水を中心に特訓をした。幸いにも無詠唱の才能があるので何度も繰り返し詠唱せずに済むから楽だ。他にも風や土も特訓した。
「ここまで魔法を使っても魔力切れをしないのが我ながら恐ろしいな。」
誰に聞かせるわけでもなく一人呟いた。
それにしてもだ...何故だか魔法の名前をどこかで聞いたことがある気がする、前世でプレイしたゲームとかか?でもドラ○エやF○にそんな呪文はないし...
「おっともう日が暮れてきたな早く帰らねば...」
その日はとりあえず家に帰ることにした。
3日目、俺がいつも通り魔法を練習していると後ろから唐突に声が聞こえてきた。
「君すごいね。いつもここで魔法の練習してるの?」
そこには俺より身長が少し小さい位の桜髪の少女が立っていた。
俺は答えた。
「うん、そうだけど。君はどうしてこんなところに?」
「私はお父さんのお仕事の手伝いだけど。」
「でも、ここはディセントラ家の森だから普通の人は入ってこれないはずだけど。」
「私のお父さんはディセントラ領主の防具や武器の専属鍛冶師だから、この森に入ることを許可されているの。君はもしかしてアルストロメリア様?。」
俺のことを知っているのか。なら話は早いな。
「長いからアルスでいいよ。様もつけなくていいから。君の名前は?あとお手伝いって具体的には何をしているんだい?」
「私の名前はフィーユ。お手伝いは鉱石の採掘源を探すことだよ。」
「なら僕が手伝ってあげよう。僕ならこの森についてよくしっているから。」
すると、フィーユは嬉しそうに言った。
「ありがとう、アルス君。助かるよ。」
「ところでアルス君。どうして君は魔法の練習をしていたの?」
「僕には魔法の才能があるらしいから兄さんに練習しろと言われたからさ。」
するとフィーユは
「でもアルス君は杖を持っていないよね。」
言われてみればそうだな。
「そうなんだよ。でもまだ父様が認めてくれないから買ってもらってないんだよ。」
そうするとフィーユが言った。
「なら私が作ってあげようか?まだ鍛冶師見習いだけど杖ぐらいなら作れると思うから。どうかな?」
こんな可愛い子からこんな上目遣いで言われてしまったら断ろうにも断れない。
「うん。ならフィーユ、僕に杖を作って。」
フィーユは嬉しそうに、
「分かった。私がアルス君の杖を作ってあげる。そのかわり私と一緒にトレントを狩ってくれないかな?」
自分のためにするんだし断る理由もないだろう。
「分かった。じゃあ明日またここにきてね。ここで魔法の練習をして待っているから。」
こうして俺はフィーユという少女と出会った。
その日の夜のことだ俺は真っ白で何もない空間に居た。
「どこだ、ここ?」
きょろきょろしていると後ろから声が聞こえた。
「やぁ、--君いやアルス君かな?」
そこには燕尾服を着た仮面の男が立っていた。見た目はピエロのようで嫌悪感を抱く。
「どちら様でしょうか?それにここはいったい...」
「あーここかい?君の精神世界だよ、そして僕はアルス、アルストロメリア・ディセントラだよ。」
は?精神世界?アルス?何なんだこの男は...いったい何を言っている。
「あのーいきなりで良くわからないのですが...」
「気持ち悪いなー君が敬語を喋るなんてタメで良いよ。」
「はぁ」
何なんだこの男は?訳がわからない?もっと情報を引き出さなければ...
「情報って言われてもなぁー、僕はアルスで君を召喚した、それ以外言うことはないよ。」
「そうですか、そうですよねー...」
って...今心を読まれた?それに今俺を召喚したと...
「うん、そうだよ僕が君を召喚した、そうだなーアルスじゃややこしいし僕は神にも等しい存在だし神様とでも呼んでよ。」
「そうですか...」
「だからさーその喋り方やめなよ気持ち悪い君の心の声は駄々漏れだし普通にしなよ。」
「だったらお言葉に甘えてそうさせてもらうぜ、自称神のアルス君。」
さて何から聞くか...そうだなまずは...
「あー時間がないから君の質問は受け付けないからいや、そうだなーひとつだけ教えてあげよう。」
「おーそれは何についてだ?」
「君を召喚した理由だよ。」
「なっ...」
俺は絶句したそれは結構重要なことだ聞き漏らさないようにしなければ。
「もう気が付いているだろうけどここはゲームの世界そしてこの世界の元になったのは君が作ったゲームだよ。」
「あっ...」
その時俺の中で何かが繋がった。
そうか、そうだよ、ここは俺の作ったゲームの世界魔法名は俺が考えた聞いたことがあって当然だそしてこの体はゲームの主人公仲間と共に世界を救うアルスだ、何故今まで忘れていたのだろか。俺は記憶力は良くなかったし昔の事だから仕方もないか。
「おい、だが何故俺のゲームを元にした世界なんかがあるんだ!?」
「悪いが時間がないから答えられないよ。」
すると徐々に視界が歪んできた。
「なっ...」
「今から言う事を良く聞いておくんだよ。」
そう言うと自称神はわざとらしく咳払いして、こう言った。
「明日突然魔物が大量発生するでしょう、そこで君の父親は討伐隊を組むそこに君は潜り込みなさい。」
「ちょ、何言って...」
言い終わる前に視界がブレ元の世界に戻った。
「何だったんだまったく。」
俺はとりあえず自称神のお告げが真実か否か確認するために部屋を出ることにした。