第二章 ささやき (4)
十一
「相沢くん?」
ボンヤリと頬杖をついていた輝馬は、実の呼びかけに「え?」と反応した。
「ごめん、考え事だったかな」
「ううん、別に。所で何か用?」
「ユッキーはまだ来ないかなって。相沢くんは何か聞いてない?」
もうすぐ始業時間だというのに、彼の姿はない。昨日の事がよほど堪えたのだ。幸弥は早退する際、クラスの学級委員長を辞任すると先生に言い残したらしい。一応、鈴村先生は経緯を問いただしたが、彼は何も答えなかったらしい。
当然、ホームルームでも質問されたが、舞子も他の皆――輝馬も含め――口をつぐんだきり、担任がそれ以上追及したりはしなかった。
「今日は欠席かもしれないよ」
「そうかもしれないね。それでユッキーが抜けてしまった学級委員長なんだけどさ、相沢くんは立候補してみない?」
輝馬は判断に迷った。すぐに遠慮したら実は気を悪くするし、軽はずみに立候補すれば角が立つ。こちらの負担も大きくなる。即決するべきではないと思った。
「長谷川くんはどう? 日の浅い僕より、クラスの皆が支持すると思うけど」
実は一瞬、満更ではなさそうに顔を綻ばせた。実際、彼は頭がいい。成績だって二組の中では上位だ。どちらかと言えば、彼の方が学級委員長にふさわしい感じはする。
「僕は五年の時にぶっ通しでやったから懲りたよ。それに、転校生が学級委員をしちゃいけないルールなんてない。君って、なんか賢そうだし、前の学校は私立だったんでしょ?」
「別に賢くなんかない。勉強だって少し遅れてるんだ。追いつくのがやっとでさ」
「そうかな? 相沢くんの場合、ただ知らなかっただけって感じする」
実の指摘に心臓が止まりかけた。結構鋭いようだ。
「学んでも理解していない奴とは違って学ぶのは早い。今まで知識がなかっただけってイメージがあるな」
「そうかな……長谷川君だって、一人でホームページを作ってすごいと思う」
「知識さえあれば、あんなもの誰だって作れるさ。そうだ、君に特別に見せたいものがあるんだけどさ」
実が一枚の紙を渡した。そこにはパスワードが書かれている。
「これは何?」
「秘密の招待状だ。《ロクツー会議》からそいつでログインできる」
「二組の優等生限定の会員制の会議室さ。後で確認するといい。初めは反発するかもしれないけど、直になれると思う。誰だってしているからね」
その時、教室の扉が開いて、一人の男が入って来た。
「ちょっと困りますよ、瀬川さん」と、男の後ろを鈴村先生が慌てて追いすがる。
「あの人……?」
「ユッキーの父親さ。親にチクるなんて最低な奴だな」
実が小声で悪態をついた。
幸弥の父親は教卓に立つと、「私は瀬川幸弥の父です。知っている人もいるかもしれないけど、如月神社の宮司をしています。突然の訪問をして済まないが、君達に聞きたい事があって失礼させてもらった。息子の幸弥の事についてです」
幸弥の父は冷静な目で教室を見渡した。
「幸弥は小さい頃から臆病な子だった。気丈な性格ではなかった。私の躾が足りなかったのもある。だが、盗みをするような子では決してなかった。賽銭もくすねた事のない息子が、人様のお金を盗んだなど、私には思えない。親馬鹿を承知に、君達に尋ねる。何か心当たりのある人がいたら、どうか教えてほしい」
「心当たりってどういう事ですか?」
財布も持ち主である舞子が眉をひそめながら言った。
「私が彼のランドセルにわざと財布を入れたって言うんですか?」
「そうは言っていない。ただ、何かの間違いがあったかもしれないと思って」
「じゃあ、何の根拠もなく、私らを疑わないで下さい」
「まあまあ、落ち着いて。瀬川さんも」
鈴村先生が慌ててなだめようとするが、その言葉に力はなかった。
「先生。今日は瀬川くんのお父さんもいるし、私達の不満を言わせて下さい。幸弥君は学級委員なのに、クラスに迷惑ばかりかけてばっかりいました。副委員の私も補助が大変だったです。しかも、お金も盗まれたし、はっきり言って大迷惑でした」
舞子は、輝馬の方を向いた。
「最近だと、教科書やノートを忘れてばかりして、隣の相沢くんの足を引っ張ってばかりいました。相沢くんは一週間前に転校してきたばかりで、幸弥君の態度にとても困惑していました。私に席替えをしてほしいとまで申し出るぐらいでした」
そんな事は言ってない。舞子は嘘をついている。この場で指摘するべきだ。幸弥のためにも。なのに、口がまた堅くふさがっている。喉が焼かれたように熱い。
(うぜえ、オヤジ。早く帰れよ)
舞子の声がそう言った。彼女の口汚く罵る声が聞こえた。
(あんたの息子は馬鹿でクズの役立たずだ。学校に来さすなや)
(こええ。あれが噂のモンペってやつ?)
(ガキ同士の喧嘩に親が出てくんなって)
他の生徒の声も次々と聞こえてくる。八百万の声を耳にした時と全く同じ感覚だった。無数の声が濁流となる。思わず耳を塞いだが、いっこうに止む気配がない。
(ああ、もう。倒くさい保護者。あたしの仕事増やさないでよ!)
鈴村先生の声もした。明るい彼女のイメージとは遠くかけ離れた、気だるく陰気なぼやきだった。
幸弥の父親も他の皆も驚く様子がない。
頭が痛くなってくるのを我慢しながら、輝馬は事の次第を見守った。
「幸弥君はこのクラスではトラブルメーカーでした。はっきり言って、彼のいない二組の方が自然です」
(うわあ、とうとう言っちゃったよ、副委員長!)
(さすがにえぐいね、舞子は)
「実は、幸弥は家からいなくなった」
瀬川氏はそう言うと、クラスがややざわついた。
「今朝から姿がない。君らの言う通り、息子が自分から迷惑ばかりかけていたのなら、それは親である私の責任だ。息子の代わりに謝ろう」
(どうして、この子達は平気で人を傷つける言葉を吐けるんだ? こういう子供が大人になって、軽々しく言葉で人を傷つけて憚らなくなるのか……)
宗一の幻聴が聞こえる。怒りを通り越した諦めの念が籠っていた。
「だが、もしも幸弥が潔白で、万が一、あの子の身に取り返しのつかない事が起きた時は、私は君達を憎む。それだけは言っておきたい。時間を無駄にして申し訳ない」
瀬川氏は鈴村先生に謝ると、静かな足取りで教室から出て行った。
(チョー焦った。やっと帰ったよ、モンペ)
(怖ええ、因縁つけて行きやがった……)
(八つ当たりすんなよ。あんな泥棒、この世からいなくなってもいいんだよ)
(さあ、さあ、退屈な授業の始まり)
(幸弥……大丈夫なの? どこにいるの?)
中傷の渦に混じり、幸弥を想う小さな声が漂う。美紀だと何となく分かった。
十二
放課後、輝馬はさっそく梅田駅地下街の骨董品店《八百堂》に向かった。幻聴の件を埴輪、福助、招き猫に話したと、すぐに答えを教えてくれた。
(そりゃあ、たぶん言霊だな)と招き猫が言った。
「言霊?」
(言葉に宿る八百万でござる。言葉も生き物。我らと同じく魂を持っているのです)
(アホ馬鹿間抜け)と、埴輪様が言い放った。
「え、何?」
(わしの言葉にいやな気分に覚えたじゃろ。お前さんの心に悪い影響をわしの口を伝い、言霊が及ぼしたのじゃ)
「良い言葉を言えば、良い影響があるの?」
(左様。いかに言葉を飾ろうと、言霊は嘘をつかん。良い言葉でも悪意が潜むと、言霊が黒い本音を語る。その逆もしかりじゃ。言葉とは口から出る涼風にもなり、刃にもなりうる。相手の心を癒し、傷つける事もできる)
(埴輪様、ちょっと難しい説明だと思うぞ)
招き猫は遠慮がちに突っ込んだが、輝馬には何となくであるが、その意味が少し分かった気がする。
「幸弥はどこへ消えたんだろう?」
(人探しをするならば、その人が大事にしている物に尋ねるとよい)
「大事な物?」
「持ち主の想いが込められている物ならば、自ずとそやつの元へ案内してくれる」
置物達に礼を告げて、輝馬は急いで学校に舞い戻った。
幸弥の机に何か手掛かりがないかと漁っていると、奥に残されていた筆箱を発見した。
「幸弥君の筆箱さん、僕の声が聞こえますか?」
(聞こえるとも。わたしの言葉が分かるとは驚きだ)
筆箱は特に驚いた感じではなかった。
「幸弥の居場所を知りませんか?」
(私は知らん。だが、私の中にいる“彼女”ならば知っているかもしれん)
「“彼女”……?」
(開けてみなさい。そうすれば分かる)
輝馬は言う通りに筆箱の中を開けた。中に一枚の紙が折り込まれてある。そこに書かれた文面は、幸弥の居場所を教えてくれた。
十三
幸弥の父が宮司を務める如月神社は、学校から歩いてすぐ近くの場所にあった。周りは雑木林に囲まれていて電灯も少ない。郊外に近い雰囲気を醸し出していた。
輝馬は、如月神社の暗い境内を歩きながら、筆箱の中に入っていたものが教えてくれた場所を反芻した。幸弥は本当にここにいたらいいのだが……。
時間は夕方の六時。幸弥はまだ帰ってきていないのは、LINEでのトーク履歴で知った。ほぼ秒刻みで更新される会話は、彼を心配する者、自業自得と主張する者が半々で埋まっていた。まるで言葉の肥溜めだ。気分が悪くなるので途中で読むのを止めた。
輝馬は足を止めた。境内の奥にひっそりと建つ一棟のお社を見つけた。鳥居も赤い塗装がはげて、しめ縄も千切れかかっている。お社というより廃寺の様相を呈していた。
意を決し、古い社の扉の隙間から中を覗いた。薄暗い奥に何かが丸まっていた。心臓が跳ね上がるのを抑え、扉を開けるとお社の中に踏み込んだ。そこに横たわる物体に、輝馬は止めていた息を吐いた。
幸弥だった。最初は死んでいるのかと焦ったが、小さな寝息が聞こえて安心した。
輝馬は彼をゆすって起こした。
「瀬川くん、起きろよ」
小さな声を漏らして目を開けた途端、幸弥はおびえた声を上げた。
「ひぃぃっ、ごめんなさい! ごめんなさい!」
謝りたいのはこちらの方だ。
「落ち着けよ。僕は同じクラスの相沢だよ」
「相沢くん……どうしてここに?」
輝馬は自分の勇み足を後悔した。君の筆箱が教えてくれたと言わないで済む理由を、ここへ来るまでにあらかじめ考えておくべきだったのだ。
「ええと……超能力」
「すごいんだね、相沢くんって」
呆れた顔で幸弥は言った。
「まさか、君はずっとここにいたの?」
「うん。ここはね、僕の避難所なんだ」
「避難所?」
このお社には元々祀られていた神様がいたのだが、幸弥が幼稚園ぐらいの時に、何かの事情で別の場所に移設したのだ。しかし、この社は取り壊されずに残ったらしい。
「辛い事があると、時々ここにいるの。幼稚園の時も、お父さんにすごく怒られた時とか、昨日みたいな時に。お父さんも知らないはずだよ」
「ごめんなさい」
「どうして、相沢くんが謝るの?」
「あの時、何も言えなかった。隣の席にいたのに、助けるべきだったのに」
幸弥は首を振った。
「無理をしなくていいよ。そんな事をしたら、相沢くんがいじめられるもの」
彼の言葉を聞き流し、輝馬は手を差し伸べた。
「帰ろう。君のお父さんが探している。これ以上心配させちゃだめだ」
幸弥は小さく笑った。
「僕の顔に何か付いてる?」
「違うよ。相沢くんっておかしいなって。なんか大人びてるのに、変に無理ばかりするんだね」
「帰ろうよ」
輝馬はもう一度強い調子で言ったが、幸弥は首を振るだけだった。
「ここから出てたら、また明日がくる。学校に行って、今度は泥棒呼ばわりされる。人の良い学級委員は辛かったけど」
六年生に上がってすぐ、理由も分からず幸弥は学級委員に選ばれたらしい。数人が彼を推挙し、半数以上が賛成したのだ。意図的に祭り上げられたのを予感しつつも、その時の自分に拒否する勇気はなかった。
「やった事のない司会の進行とか、取り決めとか、死ぬほど恥ずかしかった。しばらくしたら、教科書とかノートを隠されて、相沢くんにも迷惑かけちゃって……」
「先生には言った?」
「言ったけど、分かってくれなかった。学級委員なのに、忘れ物ばかりして恥ずかしくないの! 授業中にそう怒られてから、もうあの人を信じなくなった。お父さんや美紀ちゃんに迷惑をかけたくなかったから、ずっと我慢してきたんだ」
やっぱり、あの担任はダメだ。あの言霊がすべてを物語っていたわけだ。
「瀬川くんは正しいけど、いくらなんでも限度がある。このままずっとこうしているのが間違っているのは、君だって分かるだろ」
「相沢くんこそ、無理しなくてもいいよ」
「ああ、僕は無理をしているよ。卑怯な自分が大嫌いだから。君の問題から目をそむけたくない。だから、門限を破ってまで君を探しに来たんだ」
「僕の事はもう構わないで」
「瀬川くんを助けたい。だからここへ来た」
「分かったような事を言わないで。転校生なのに、どうして、僕の気持が分かるの? 四月の六年二組を知らないくせに」
我慢の限界だった。輝馬は、座っている幸弥の襟首を掴んで無理やり立たせた。
「赤の他人の事なんか分かるかよ。自分の事さえ分からないのに。何年も昏睡していた生き遅れに、そんなの分かるわけないだろ」
「昏睡……」
呆然とする幸弥の襟を離した。荒れる心に任せた言動は帳消しにできない。輝馬は観念して、転校してくるまでの自分を洗いざらい話した。長い昏睡、辛いリハビリ、バラバラになった家族。今までため込んだ鬱屈を吐き出した。ただ一つ、八百万の声を聞けるようになった件を除いて。
幸弥はただ静かに聞いていた。少なくとも、さっきまでの死にそうな顔色に、やや赤みが戻った気がする。
話し終わると、彼は一言だけ聞いた。
「今でも辛い?」
「言ったろ。無理してるんだ。瀬川君がここから出たら、もっときつくなるかもしれない。でも、それでもいいさ。今まで散々眠ってきたからね」
輝馬はポケットから筆箱を取り出すと、幸弥に渡した。中にはお守りが入っていた。亡くなった母親の形見だと知ったのは、“声”を聞いたからだった。優しい女性の声が、幸弥のいる古い社を教えてくれた。あれは、彼の母親の声だったのだ。
「大事な物だったんだろ?」
「母さんの形見なんだ。僕が小学校に上がる前に病気で死んだの。母さんがね、最後に言い残した言葉が入ってるんだ」
「喧嘩をするばかりが勇気じゃない。時には無理をしないで泣いて逃げるのも勇気だ。本当の憶病は何もしない事だ。真の勇気は、また立ち上がって歩き出す事だ」
お守りの八百万はずっと同じ言葉を繰り返していた。ここに着くまでには、輝馬は暗唱できるようになった。
「ごめん。お守りの中見ちゃった」
幸弥はまた泣いた。あの時とは何かが違う、追い詰められた涙ではない。何かから解き放たれたようだ。
「そろそろ帰ろう、幸弥くん。僕は早く帰らないとさ、観たい番組が始まっちゃう」
そう言うと、幸弥は晴れた目を向けて、小さく笑いかけた。憑き物が落ちた、彼の瞳が闇夜に輝くのを見て、輝馬は確信した。
傷ついていた少年がまた立ち上がり、そして歩き出す様を。
十四
社務所にいた宗一に、輝馬は事情を話した。彼を怒らないで話を聞いてあげて。それだけ何度も念を押した。宗一は輝馬に頭を下げた。
「分かった。この子をこれ以上悲しい思いをさせたくない。話を聞こう」
宗一は輝馬に頭を下げた。
「相沢くんだったね。息子を探してくれて、本当にありがとう。今朝は取り乱してすまなかった」
家に帰っていく父子の後姿を見つめながら、輝馬は一身に願った。幸弥の勇気が消えませんように。彼のお父さんがちゃんと話を聞きますように。
ふと時間を見ると、七時半になっていた。輝馬は大急ぎで家路を急いだ。
父は門限にうるさい。塾に通わせたがっている時に、遅い時間まで外にいた理由を聞かれたくはなかった。結局、父は残業で少し遅くなるとメールが来たので、輝真の不安は杞憂に終わった。
翌日の休み時間、輝馬は実の席に、一枚の紙を置いた。例のパスワードが書かれている。彼が何か言う前に、輝馬が先を封じた。
「返すよ」
「パスワードを覚えたのかい?」
「悪いけど、僕はしない。委員長も君の取り巻きも。別の人を誘えよ」
クールな顔に影が差す。賢そうな銀縁の眼鏡の奥で、猛禽類に似た目つきが睨みつけたかに見えたが、すぐに笑顔に戻る。
実が渡したパスワードで《ロクツー会議》にログインすると、別のサイトにジャンプした。《裏ロクツー会議》と称される掲示板。そこでは、クラスの特定の生徒に誹謗中傷を繰り返す罵り合いの場だった。
会話の履歴を過去にさかのぼると、案の定、幸弥に対するいじめの計画が話し合われていた。意図的に彼を委員長にしたり、大切な物を盗んだり、そして、舞子の財布を彼の荷物に入れて犯人に仕立て上げたり……。
彼を苦しめた裏サイト。当然、いじめの黒幕は作成者の実しかあり得ない。
「あれはね、いじめじゃなく遊びだった。テレビのドッキリ企画みたいなものさ。少し度が過ぎたから、そのうちユッキーに謝るつもりだったんだよ」
「もっと早く謝るべきだったんじゃないのか」
何も言い返せずにいる実に背を向け、輝馬は自分の席に戻った。隣の幸弥が心配そうな顔をしている。
「もうあんな事をするなって言っておいた」
「でも、輝馬くんは大丈夫なの?」
「無理をするって言ったろ?」
横目で実の方をうかがうと、取り巻き数人と何かをささやいていた。その中には財布事件の被害者である舞子の姿もあった。裏サイトに書かれていた通り、あれはやはり被害者の自作自演だったのだ。
一度だけ実と目が合った。
(うぜえ転校生。俺をナメやがって……絶対に後悔させてやる!)
実の薄い唇からにじみ出るかのように、黒い言霊が飛来して鼓膜に突き刺さる。父の警告も空しく、自分も巻き込まれるわけだ。なのに、今は妙におかしな気分だった。
(臨むところだ)
輝馬は宣戦布告の言霊を静かに放った。