校門前にて
校門の一歩手前、新生活である第一歩を踏み出そうとした時に何か背後で気配を感じた。
ドーンッ
「うわっ」
と何かが背中に物凄い勢いで当たってきた。衝撃音と共に零の声だけが空を舞う。とんでもない衝撃を一般人の零が耐えきれる訳はなくそのまま前方へ吹き飛ばされる。
「うぅ、イッテー」
零は背中を抑えながらよろよろ立ち上がる。
「あっ、ごめん。大丈夫?」
声のする方を見るとそこには燃える様な赤い髪をした少女が立っていた。少女は両手を合わせごめんなさいのポーズをしていた。その後、赤い髪の少女が零に近寄ろうとした時に零の背後から数十名の声が聞えてくる。
「ま、まぁ何とか」
身体を擦りながら答える。
「いた!」「あそこだー!」「早乙女さーん!」
その数十名の人だかりが少女に(零に)向かってくる。その向かってくる速度も尋常じゃない。
「ちょ、ちょっと待ってくれー!」
零の叫びも虚しくその集団の波に飲まれてします。
「ホントにごめーん。今度、会った時にお詫びするねー」
遠くで少女の声が聞える。
集団が過ぎ去った後には力なく倒れた零だけが残されていた。