新しき学校
「それじゃぁね、零。休みになったら遊びに行くからね~」
「またね~、お兄ちゃん」
元気よく・・・と言うより満足した2人に笑顔で見送られる。
「・・・あぁ・・・」
声に元気が感じられず体も精神もぐったりとしている。
「何なんだよ、朝から」
遠ざかる2人の背を見、思わず本音が出てしまう。何倍にも重く感じる体を何とか前に進める。
しばらく歩いているといつしか零の周りには同じ制服を着た生徒が増えていく。新しい雰囲気、新鮮な感覚に気が紛れついさっき被った精神ダメージが幾分、回復し体の重みがなくなっていく。
(いよいよか)
学校の校門の前に立つ。周りには家族連れの生徒が校内に向かっていく姿が見れる。
ここから始まる新しき学園生活。この学校で様々な思い出が作られていくに違いない。そんなことを考えただけで期待に胸が弾む。期待を胸に零は歩き出した。
しかし、零は知らない。この学校で待ち受ける出来事を。自分の人生を変えてしまうかもしれないことが起ころうとしている事を。
そんな事は知る由もなく零は歩みを続ける。零の歩む先はこれから通う学校。
ここはメルキオール学園高等学校。