第5精霊
その後、機関に戻った友春たちは簡易検査を受けて異常は
ないと言われたので帰ろうとしていると優に止められた。
「友」
「はい?どうかしたんすか?」
「君にはこの機関について知ってもらう必要がある。彩加は
帰っても良いが君は残ってくれたまえ」
「了解っす。ていう事で彩加」
「うん、分かった。終わったら連絡してね?迎えに行くから」
「ああ」
そう言い彩加は一足先に自宅へと帰っていき友春は優についていき
ある一室へと連れていかれた。
その部屋はまるで取り調べ室のような部屋で机一つと椅子が
二脚あるという何とも簡単な作りの部屋だった。
「ではまずどこから話そうかな…」
「えっと精霊てなんなんすか?」
「良いだろう。まず精霊とは今から約50年前に東京の
渋谷に隕石が落ちたのは知ってるね?」
「え、ええ。確かその時の被害はかなり大きかったとか」
約五十年前に渋谷に落ちた隕石は首都圏を直撃し凄まじい
爆風を生み出し多くの犠牲が生まれた。
「ああ、落ちた時間帯が早かったというものだが…
それは表で言われてる虚構だ」
「え?」
優が言っている事に友春は理解をする事が出来なかった。
学校の現代史の時間でも教師が言っている事は今さっき
優が否定したことを話し世間一般でもそう言われている。
「真実はあの被害は隕石のものではない。精霊が
人を殺した人数だ」
「な!ちょっと待って下さいよ!!何万て言う規模ですよ!?
それがたった一人の」
「人間ではなく精霊なら可能だ。話を続けようか、その時の日本は
何も抵抗できずただただ人が殺されるのを見ることしかできなかった。
そして精霊は満足したのか消失した。それが一人目の精霊。
コードネームはシヴァだ」
「破壊神」
シヴァとは教学上は破壊神であるが、民間信仰ではそれに
とどまらない様々な性格を持ち、それに従って様々な異名を持つ。
マアーカーラとも呼ばれ、世界を破壊するときに
恐ろしい黒い姿で現れるという。
「そしてその後三体の精霊が人間に協力すると言ってきた。
その三体の名前はハルピュイア、ファーブニル、レヴィアタン」
「そ、それって!!」
「ああ、君たち兄妹に憑いた精霊の名だ。その三体は
我々人間に奴らに対抗できるやもしれぬ技術をくれた。
まあ、結果的に人間が馬鹿だったこともありボロボロだがね」
「それが超解が使ってるパワードスーツ」
「ああ、名前は対精霊用人体強化武装スーツ、通称霊装だ」
霊装、正式名称対精霊用人体強化武装スーツ。このスーツは
人間の五感や筋力などを大幅に上げることができ数十キロ先の
蟻まで見ることができるセンサー、さらに三体から貰った技術を応用し
精霊用ブレードや銃までが開発され今の世代は3世代となっている。
動力源はエネルギーと人間であり人間の脳波をキャッチし高速反応が
可能になっているが長時間使うと頭痛が発生する。
エネルギーが切れれば自動的に電源が落ちるという事になっている。
「それが完成したときは人類は歓喜した。これで精霊に
屈せず怯える日々はお終いだとね」
「でも現実は甘くなかった」
「そう。彼らを甘く見過ぎていた。所詮技術は精霊のものでも
その材料が人間のものでは意味はない。そこで政府は独立機関を
作った。それが超解だ。奴らは精霊の殲滅及び捕獲しそのメカニズムから
どのように生まれたかなどを突き止める機関だったのだが…
今から20年ほど前に突然、超解が霊装を世に送り出した。
その霊装はかつて発明されたのとは段違いに強かった。
お陰で精霊も何体か殺したという記録もある」
「でも、なんでまたその段違いに強いものを作れたんすか?」
「そこが分からない。今も調査中なのだが一向に不明のままだ」
「じゃあ、この組織は一体」
「この組織を作り上げたのはレヴィアタンだ」
「……は、はぁ!?じゃあ彩加が!?」
友春は優の言った事に今度は椅子から立ち上がるほどの
驚きを示したが優は呆れ気味に座れとジェスチャーをして
再び説明を始めた。
「馬鹿か。彩加に憑く前だ。我々の組織の名目は精霊の殲滅という事
になっているがそれはあくまでも表の名目。裏の名目は精霊を保護し
これ以上被害を増やさないことだ」
「……どうやって保護をするんすか?」
「君達がやっていることと同じことだ」
「メモリっすか」
友春はポケットから赤色のメモリを取り出しまじまじと見つめた。
「この技術は門外不出でね。絶対に一般には特に超解には見せるな」
「あ、はい」
それからこれから友春のやるべき事や誓約書などに
サインをするなどして時間はたっていき部屋から
解放され外の空気が吸えたのは実に3時間後で既に
夕日がきれいな時間帯になっていた。
「帰るか……」
そう言い友春が出口であると思われるドアを開けると
そこに広がっていた景色は全く別物だった。
「……は?幻覚か?目の前に大きな魚さんが見える」
『残念だが幻覚ではなく現実だ』
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
お約束の昔の某刑事ドラマの殉職シーンの名セリフを
大声で叫びながら友春は床にヘナヘナと力なく座り込んでしまった。
「ありゃ?こんな所で何してるんでっすか?友ちん」
「呼び名は今はいいとしてあれ何?」
「あれ?あれはナガスクジラっすね」
「へ~あれが…じゃなくて!なぜに海なの!?」
「あ~今日は海何すね~」
「いやいや何で嬉しそうにしてるんすか!?」
「あ、知らないんすか友ちん!!この艦隊は艦長でもある
優さんの指令で潜伏場所を変えてるっす!先月は空でしたし
先々月は無人島でしたし、あ!去年は宇宙っすよ!!」
「とうとう地球じゃなくなってるよ…っていうか、
優さんて副所長じゃないのか?それと、あんた誰?」
ようやく今まで散々話していた女性の名前を
聞けるようになった友春だが未だに腰に力が
入らず立てないままだった。
「うっす!自己紹介がまだでしたっすね!!
あっしは技術科の手島涼子っす!呼ぶときは涼ちんって
呼んでくれっす!!あと、優さんは艦長と副所長を兼任してるっす!」
(意味が分からん。なんで、トップが研究課の副所長なんだ)
一瞬、考えたがひと先ずは頭の片隅に置くことにした。
「は、はぁ。随分若いんすね」
彼女は綺麗な黒髪を肩よりも少し長い
くらいの長さにまとめており外見だけ見れば
友春と同い年か一つ上にしか見えない。
「あり?知らないんすか?あっしも高校生っすよ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「しかも友ちんと同じ学校っす!!」
「何ぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「しかも一つ上っす!!」
「まさかのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
その後はメアドを交換したりなどしてその日は
友春は転移装置で地上に落とされた。
「お帰りお兄ちゃん…って何だかやつれてるよ?」
「は、はは!あの組織は分かんねえ」
こんにちわ~感想頂戴な~
それでは~




