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精霊   作者: ケン
真のファイナル ユウ
49/50

第48精霊

凄まじい閃光が消滅すると、今度は凄まじい強さの風が辺りに吹き荒れた。

「ウオオォオォォォォォォォォォォォオォォ!」

「…………そんなバカな。あれほどの力は……私と同じ次元の」

―――――ドゴォッ!

「ガッ!」

ユウが友春が放っている力に驚愕している最中に友春は彼女ですら

反応することができなかった速度で距離を一瞬にして詰めて、

ユウの顔面を殴り飛ばした。

「人間が!」

ユウは腕から炎を噴射して巨大な龍を作り出し、友春にぶつけるが

その龍は友春の腕に触れた瞬間、一瞬にしてただの炎に変換されて

友春に吸収されてしまった。

「バ、バカな!」

「ウガアァァァァァ!」

友春は炎で作った腕をさらに巨大化させて大きな拳を

作るとそれでユウを躊躇なく殴った。

「ガハッ!」

ユウは血反吐を吐きながら殴り飛ばされるがすぐさま、

体制を整えると今度は別の腕から

氷の龍を凄まじい数――――それも十や二十ではない。

三桁を優に超える数の氷の龍を一瞬にして作り出し、

それら全てを友春に向けて放った。

「死ね! 人間がぁ!」

「すううぅぅぅぅぅぅ!」

友春は大きく息をし、大量の空気を肺にためると

「ぶううぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

「――――――っっ!?」

友春の口から炎が吐き出され三桁を優に超えていた

氷の龍は一瞬にして氷から水蒸気へと状態を変化させられて、消滅した。

「こ、こんな事はあってはならない!」

そう言いながらユウは手元の空間を歪ませ、

そこに手を突っ込んで引き出すとそこから巨大な斧が現れた。

「あれは零兵隊隊長グリモアの斧!」

ハモンは驚きを露わにしてユウが出現させた斧を見た。

その威力は普通に地面に斧を置くだけで地面にひびが入るほどのものだった。

「はあぁぁ!」

ユウはその巨大な斧を片腕だけで楽々と持ち上げ、

友春を切断しまいという勢いで振り下ろす――――――が、

それは一本のジャベリンによって防がれた。

「レヴィアタンか!」

「それだけじゃねぇ」

すると、その直後にジャベリンからどこからともなく

桜の花びらが放出されユウの全身を斬り裂いていく。

「ぐがぁ!?」

「行け!」

友春はジャベリンを横に大きく振るうと三体の氷の龍が放たれた。

「そんなもの!」

ユウは腕から火炎放射を放って、氷の龍を一瞬で溶かすが水蒸気となった

氷の龍から桜の花びらで生成された桃色のドラゴンが向かってきた。

「ちっ! 氷の下に隠していたか!」

ユウは鬱陶しそうにそう叫ぶと今度は雷を全身から迸らせて、巨大な電撃の槍を

桜の花びらで出来たドラゴンにぶつける―――――桜のドラゴンはそれであっけなく散る。

しかし、その下にさらに電撃で出来たドラゴンが現れた。

「――――――っっ!」

対応が出来ないほどの距離まで近づいていたドラゴンはそのまま

ユウへと直撃し、バチバチッという音と炎がユウを飲み込んだ。




圧倒的なまでの戦闘能力―――――しかし、それは彩加たちに希望を

与えるだけでなく確実に友春の体の崩壊を導いていた。

(ヤバい……かな)

熱い―――――熱い―――――痛い――――そんな、感情が頭の中でグルグルと同じ座標軸を

回転しており、その感情が消えることも少なくなることもなく増殖していく。

「ガハッ! ゲホッ!」

腹の底から吐き気のようなものが上がってきて、我慢できずに口から吐き出すと

それは吐瀉物ではなく真っ赤な血液だった。

「ハァ……ハァ……人間ごときに! この私が傷を負うなど!」

だがしかし、体に傷を負っているのはユウも同じだった。

綺麗だった顔には痛々しい火傷が浮かんでおり、着ている服はすでに

自らの血液により真っ赤に染まっていた。

「こうなってはこの星を今すぐにでも滅ぼしてやる!」

そう言ってユウは背中から炎を噴射して空高く跳びあがり、彼女の姿が

一点の黒点になるほどの高さにまで飛翔すると両手を空に向けてあげ、

今彼女の中にある全ての力を凝縮させたものを集め始めた。

「勘弁してくれ……俺だって死にたかないんだよ」

友春は呆れ気味にそう言うが、ジャベリンを捨て、息を整え自分の中に

ある全ての力を全身に注ぎ始めた。

「…………これで終わりにしよう。精霊!」

友春が地面を強く蹴り、飛びだった瞬間、上空から超大質量の力の塊が放たれた。

「滅びよぉぉぉぉぉぉ!」

「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

友春の拳が超大質量の塊に触れた瞬間、あたりに凄まじい衝撃波がブチまかれた。

下にいる彩加たちも立っているのがやっとで目を開けて上を見ることなど不可能だった。

「人間は生かしていてもまた、殺戮と破壊を繰り返すだけだ! いずれはこの星から

生命は消え去る! 今、滅ぶか後に滅ぶかだけの違いだ! そんな愚かな種族を生かす意味があるのか!?」

「ある! 理由があるわけじゃねぇ! 確かに人は過去に破壊と殺戮の限りを続けた!

でもなぁ! 人は学ぶんだ! 過去の失敗から! 過去の過ちから学び、理解し!

それを実践してきている! 人間の可能性はてめえが思っているほど浅くはねぇんだよ!」

徐々に―――――徐々にだが友春の拳がユウの攻撃を押し始めた。

だが、彼の拳は凄まじい力に当てられた影響ですでに人の拳の原形をとどめておらず

このままいけば確実に彼は両腕を失う―――――――だが、友春はやめなかった。

人間を――――そして、友春の家族を、友を守るべく彼は進み続ける。

「どらあぁぁぁぁぁぁ!」

友春は炎で作った腕を思いっきり塊に叩きつけると、塊は

散りじりになり四方八方に飛んで行った。

「バ、バカな!」

「これが! 人間の!」

友春は拳に全ての力を注ぎ込む。

「底力だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

友春の拳がユウの顎を捕らえた瞬間、彼の拳から七色に輝くドラゴンが放たれ

ユウの顔を咥えながら、高く、高く飛んで行った。





「バカな! この私が! 精霊の祖である私が!」

ユウを加えたドラゴンはそのまま大気圏を突き抜け、

まっすぐある恒星のもとへと向かっていった。

「そんなバカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ユウはドラゴンに咥えられたまま、地球へ温かな光を送りこむ恒星―――――太陽へと

突っ込んでいき、一瞬にして存在は消え去った。









―――――――パァァァァン!

花火が上がった時のような音が地球全土に響いた直後、

七色の流れ星のようなものが地球に振りそそいだ。

「すごい……」

彩加は上空を飛んでいる無数の七色の光に魅惚れながら、兄の姿を探していた。

「誰か受け止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

空からそんな叫びが聞こえきて、全員が一斉にその場から離れた。

―――――ドスゥゥゥゥゥゥン!

地表に大きな穴をあけて友春は地面にめり込んだ。

もしも、彼女達が受け取ろうとすれば確実にペッチャンコになっていたであろう。

「イタタタタ……」

「お兄ちゃん」

「友春君」

「友ちん」

「友春」

友春は自分の名前を呼ばれて視線を上に向けるとそこには必ず生きて帰ると

約束した少女たちの顔があった。

「「「「お帰り」」」」

「ああ………………ただいま」

最終話で詳しく書きます。

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