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精霊   作者: ケン
フォース  ハルピュイア
30/50

第29精霊

今、友春は人生で一度しかないであろう体験をしていた。

「友春、君は精霊だろ」

「まっさか~」

ジャキキン!!!

友春が惚けた瞬間周りにいた隊員たちが銃を突きつけた。

友春はこの光景に苦笑いを浮かべ冷や汗をダクダクとかいているしかなかった。

「友春、正直に答えてくれ。正直に答えなければ君は投獄されることになるぞ」

「だ~か~ら~俺は精霊なんかじゃないって」

「ふざけるな!」

バン!

桜は頭に来たのか固いであろう机を握りこぶしで思いっきり叩いた。

「私は確かにこの目で見たんだ!お前が炎を纏って精霊と

戦闘しているところを見たんだ!」

桜の眼は血走っていてかなり怖い絵面になっていた。

「でも、お前だけの意見なんだろ?」

「そ、それはそうだが!私は見たんだ!」

「さ、桜。あんただけの意見で取り調べを出来てる時点で

ギリギリなんだからもうこのへんにしておけば」

「うるさい!」

桜は大きな声で叫び散らしながら止めに入った隊員の胸倉を掴んだ。

「こいつは!こいつは精霊なんだ!この目で見たんだ!」

「はぁ~あんたねえ…いい加減にしなさいよ!」

バタァァン!

「がっ!」

胸倉を掴まれていた隊員は逆に桜の腕をとってあっという間に背負い投げで

固い床に背中から彼女を叩きつけた。



「あんたの過去を入れてんじゃないわよ!そんなに調べたけりゃ

あんた一人だけでやれ!行くわよ皆!副隊長命令ね!」

副隊長がそう叫ぶと隊員たちは一瞬戸惑いを見せたが

一人、また一人と広めの取調室から出ていき最終的に桜と友春の二人になった。

「………す、すげえ~」

友春は目の前で起きた数分間の叫びあいを純粋に凄いと思っていた。

「良いさ…どうせ私の事は私にしか分からない」

覚束ない足取りでフラフラとしながらも立ち、椅子に座ると

友春に対しての取り調べを再開した。

「神崎友春、お前は精霊だ」

「決めつけちゃってるし」

すると机の上に置いていた友春の携帯が着信を告げるバイブを響かせていた。

「…取ってくんない?」

「……良いだろう」

桜は携帯を取って彼の耳に携帯を押しつけた。

「うんうん…いや、実は今さ巻き込まれちゃってて…へ?う、浮気?

そんな訳ないでしょう!そもそも俺には本命の彼女もいませんよ!」

聞いているだけでは全く分からない会話が桜の前で行われていた。



「そういう訳なんで、じゃ!」

友春は携帯から耳を離して通話が済んだ事を示し桜に携帯を切ってもらった。

「相手は誰だ」

「言う義務ナッシングじゃね?」

「…そうだな」

桜は椅子に座り友春と対面した。

「桜も精霊に恨みでも?」

「……私は幸いにも身内を殺されたわけではない」

「じゃあ、なんで」

「…平和のためだ」

取調室に桜のつぶやきが響き渡った。

「平和?」

「ああ、精霊は我々人類が生きていくのを邪魔する存在。

現に精霊によって日々何万人もの人の尊い命が失われている」

桜の言うとおり昔は少子化、高齢化などという言葉をよく耳にしたが

今の世界、少子化、高齢化などという言葉はほぼ消滅した。

逃げる力が多いものが生き残る世界になってしまったのである。

「でも、精霊の中には良い奴だって」

「そんな存在はいない!」

バン!

桜は声を荒げて机を叩いた。

「精霊なんていう存在は平和を阻害する障害だ!根絶しなければならない!」

「そっか~……桜、失望したわ」

「な、何!?」

「それは真実を知らない馬鹿がほざいている狂言だ」

「な、なんだと!」

桜は友春の言う事に頭に来たのか彼の胸倉を掴んだ。




「精霊の中にも人間と協調しようっていう奴はいるぜ?」

「そ、そんな言い方をしていると貴方自身が精霊だと言っているも同然だぞ!」

「ああ、そうさ。俺はファーブニルっていう精霊を宿している」

「っ!」

驚愕の真実を突き付けられて桜は驚きのあまり胸倉を掴んでいた腕を離してしまった。

「俺は精霊と闘ってて人間と共存できる奴もいるんだって気づいた。

全ての精霊が人間を殺しにかかる訳じゃないんだ」

「う、うるさい!精霊は害だ!根絶しないと」

「だったら俺も殺すか?」

「っ!」

友春の言った事に桜は何も言えなくなってしまった。

精霊を根絶する――――つまりそれは目の前にいる友人を自らの手で

殺すという事になる。

ドオオォォォォォォォン!

そんな時だった。

大きな揺れが2人のいる建物に襲いかかった。



「アヒャ!ファーブニル!出て来い!あたしと勝負しろ!」

エルンストは超解の支部に何度も黒い球体をぶつけ建物を攻撃した。

「精霊め!今度こそ殺す!」

ドドドドドドドドドドド!

「邪魔なんだよ!」

エルンストは雨の様に放たれてくる弾丸を

全て鎌を素早く振り回して切断した。

「あたしはあんたらに興味はないんだ」

「興味がなくてもこっちにはあるのよ!」

先程桜を背負い投げした副隊長が一本の刀を手に握りしめエルンストに斬りかかった。

「ハッ!何ならあんたがあたしの相手してくれんのか!?」

エルンストは鎌で刀を防ぎながら黒い球体を彼女たちにぶつけていく。

「きゃあぁ!」

地面に直撃し凄まじい爆風で隊員がなぎ倒されていく。




「っ!」

「ちょっちたんま」

桜は窓の外を見て隊員がなぎ倒されているのを見て慌てて

自分も行こうとするが友春に止められた。

「この拘束といてくれればあいつを倒すぞ」

「そ、そんな虚言信じるか!」

「本当だ。これ以上傷つく人を増やす気はない」

「……」

そのまま彼女は友春を置いて外へと走っていった。




「こんなもんか」

エルンストの前には傷つき倒れ伏している隊員たちが何人も重なっていた。

「じゃあ、ファーブニルはあたしが探してくる」

キイィィィン!!

話している最中にエルンストが鎌を左に向けると

刀がぶつかって来て火花を散らせた。

「よくも皆を!」

「今度は外れじゃねえよな?」

エルンストが鎌を大きく横に振るうと桜は装備されている

飛行ユニットを発動させて体制を保ちながら大きなマシンガンを

コールして片腕で撃ち始めた。

「無駄無駄無駄!」

エルンストは鎌を素早く振り回し向かってくる全ての弾丸を

切断すると黒い球体を二つほど桜に放った。

「くそ!」

桜は飛行ユニットを最大開放して自身の体にかかってくるGを

無視して二つの黒い球体をかわしていくが球体はかわす彼女を追尾していった。

「アハハハハハハ!分裂!」

エルンストが一回拍手をすると二つの黒い球体がいくつもの

球体に分裂して黒い雨となり桜に襲いかかった。

(よ、避けきれない!)

急いで楯をコールして雨を防ごうとするがそれよりも少し前に

雨が彼女に直撃して地面に叩きつけられた。




「がはっ!」

「隊長!」

桜は血反吐を吐いて地面に倒れ伏した。

「こんなもんかよ~もっと楽しませろつうの」

エルンストはニタニタと気味の悪い笑みを浮かべながら桜に近づいていき

彼女の首を持って持ち上げた。

「ま、こんな弱っちいのでも隊長らしいし首でも刈っとくか」

エルンストは鎌を桜の首に当てそのまま横に動かそうとした瞬間

ドオオォォォォォォォォォン!!!!

第一支部のある階から上が全て吹き飛び空に火柱が立ちあがった。

「おぉ!待ってたぜ!ファーブニル!」

エルンストの視線の先には一人の少年が立っていた。

如何でした?

最近アットノベルスがダウンしちゃった

みたいで二次創作の方が更新できない(泣)


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