第28精霊
その翌日、友春達の学年は校外学習として超解に来ていた。
普通ならば何も面白みはないのだろうが今の世界、精霊という存在が人類を
脅かしている以上未成年の興味は少なからずこちらへと向かう。
「という訳だ。超解の方に迷惑かけんじゃねえぞ!」
『うっす!』
「いや、そこはハイだろ」
『はい!』
まるでネタの様な事をやってから各々友人たちとみたい場所を見に行く。
しかし、桜はここの職員なので恐ろしく暇なのである。
「暇だな~」
「仕方がないさ。桜はここの職員だし」
桜が超解で精霊と闘っているというのは一般生徒には極秘の情報として
教師達が全員知っていることだった。
「まあ、なんとか時間潰してくれ」
「は~い」
桜は重い腰を上げて面白くなさそうに辺りを見回すと向こうの方に見知った顔が見えた。
「ね~友春~」
「お、おい雪」
「茜って呼んで?」
「っ!」
いつもとは180度くらい違うしおらしい茜を見て友春は顔を赤くした。
(…めちゃかわゆす)
「友春!」
「ん?あ、桜か」
「ちっ!」
茜は桜の姿を見た瞬間に眼鏡をつけ腕に抱きついていたのは止めて
舌打ちをしていつものモードに入った。
「えっと今なんだか雪原が舌打ちしたような」
「そんな訳ないでしょ」
眼鏡を指でクイッと上げクールに桜の意見をバッサリと切り捨てた。
「で、何してるんだ?」
「ああ、行きたいところがないというか興味がないというか」
「そっか…だったら私が案内してやる!」
桜は無理やり友春の手を取り超解を説明しだした。
「それでここが射撃訓練場だ!」
「は、は~」
連れてこられた射撃訓練場なる部屋には何人かの
隊員が銃を撃って訓練を行っていた。
「どう?面白いでしょ」
「「いや、何が面白いのか」」
「そう、だったら」
バァァン!
「「っ!」」
桜は自分の身長を大きく超えるほどの銃を悠々と片手で持ち片手で発砲していた。
銃を撃った際の衝撃にも一切顔をしかめずにニコニコと笑顔だった。
「撃ってみる?」
「け、結構です」
「ふ~ん、残念」
桜は銃に弾丸を装填し置き場に戻し2人をさらなる場所へと案内した。
超解日本第一支部上空に一体の精霊が浮いていた。
「へ~ここにあいつが求めている物があんのか」
黒装束を身に纏い漆黒の髪色をした女性の精霊がニヤニヤ笑みを浮かべて浮いていた。
「強い奴と闘えるんだろうな」
そう呟いて両手の人差し指を上と下から合わせるように構えると
その間に真っ黒な何かが集まっていきバスケットボールサイズの球体が出来上がった。
「さあ!始まりだ!」
精霊はその真っ黒な球体を超解に向かって放った。
ドオオォォォォン!!!
「っ!」
超解の中を歩いていた友春達は突如大きな揺れに襲われた。
『第一支部上空より精霊の攻撃を受けた!至急職員は
自身の霊装を使い迎撃せよ!』
「二人とも、ここにいてくれ」
「ああ、そうする」
桜は2人をその場に置いて装備を取りに行くがその隙に友春は
ファーブニルを表層へと連れてきた。
『出番か』
「ああ、ここで顔ばれはキツイから」
『顔だけ炎で隠してやる』
「頼む。茜は彩加に連絡して情報を」
「分かった」
『じゃあ、行くぜ相棒!』
「よっしゃ!」
友春は窓をぶち破って炎で翼を生成して上空へと飛んだ。
「おらおらおら!」
精霊は上空から黒い球体を何発も放っていると向こうの方から何か
赤い物体がこっちに凄まじい速度で向かってくるのが見えた。
「あ?」
「よう、あんたか。下の支部に攻撃したのは」
「おぉ!ファーブニルじゃん!久しいな!」
『ふん、元気そうだなエルンスト。相変わらずの戦闘狂ぶりだ』
炎からファーブニルの声が聞こえてきた。
「へ~人間嫌いで有名なあんたが完全に力を貸したのか?」
『ああ、人間も悪かねえぜ?』
「という訳で俺たちと平和に」
「断るわ」
ボォォン!
友春が協調をエルンストに提案しようとした瞬間彼女の指から
黒い球体が飛ばされ炎によって焼失した。
「今はどうでも良い。お前と闘いたいんだよ」
「分かった。だったら力づくで教えてやる!」
2人は同時に動き出し火球と黒い球体がぶつかり合い凄まじい衝撃波が2人を襲った。
「どっひゃあぁぁぁぁぁ!」
「うおぉ!」
至近距離からの衝撃波を受けた2人はバランスを崩してそのまま地上へと落ちていった。
「よいしょ!」
ボォォ!
友春は炎を地面に向かってジェット噴射させて姿勢を保ちエルンストは
背中から漆黒の翼を生やして姿勢を保った。
「良いね良いね!」
キィィン!
エルンストは鎖で繋がれた鎌を取り出し友春に斬りかかっていったが
刀身が炎で出来た刀によって鎌が防がれた。
「おらおらおら!」
キィン!キィィン!キィィン!
エルンストは無茶苦茶に鎌を振りまわしはじめ友春に間髪入れずに切りかかっていった。
(無茶苦茶な太刀筋なのに強い!)
「負けてられるか!」
ボォォォォォオ!
友春は刀身の刀の炎を伸ばして負けじとエルンストに何度も斬りかかっていった。
「アハハハハハ!流石はファーブニルが認めた人間ってとこか!」
エルンストは翼を出し、一旦友春から距離を置こうとするが友春がそうさせなかった。
「紅蓮の炎よ!獅子となりて敵を焼き尽くせ!」
オオォォォォォォォォォ!!!
炎が集まっていき大きな紅蓮の獅子を生成するとエルンストに向かって
一直線に襲いかかった。
「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
ドオオォォォォォォンン!
エルンストは大笑いするだけで避けようともせず直撃し巨大な火柱が立った。
「やったか?」
『まだ戦いたいけどこっちには用事があってね』
「どこだ!」
『止めとけ友春。あいつの能力で異空間に入ったんだ』
友春は辺りをキョロキョロと探し回るが一切エルンストが見つからず
ファーブニルに止められた。
『また近いうちに会えるさ。じゃあな、友春』
そのメッセージを最後にエルンストの声は聞こえなくなった。
「…近いうちにだと?」
友春は顔に手をかざし炎の仮面を消した瞬間
「動かないで」
「……」
後ろから頭に対精霊用の拳銃を突き付けられたと同時に聞き覚えのある声が聞こえた。
「桜か?」
「ええ……神崎友春。貴方を精霊として捕獲します」
「……あちゃ~」
一方その頃霊界では
「今帰ったぜエックス」
「エルンスト!その口の聞き方は何ですか!」
「良いじゃねえかよサクヤ姫」
「構わないよ」
サクヤはエックスにタメ口で話すエルンストを殺そうと桜を辺りに散らせるが
エックスに止められ桜を消失させた。
「で?どうだった?」
「ああ、見つけたよ。ほら」
エルンストは回収したと思われる青色の宝石のような石をエックスに投げ渡した。
「おぉ!これが…流石だねエルンスト。これに続いてもう一つも」
「あ?」
エルンストのオーラが一気に重苦しいものになった。
「あたしに命令してんじゃねえよ。あたしは強い奴と闘えるって言われて
あんたの下にいるだけだ。いつだって抜け出すぞ」
「ああ、これは失礼」
エルンストはスタスタとどこかへと去っていった。
こんにちわ~連続更新です~
良ければ感想ください~(泣)




