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精霊   作者: ケン
フォース  ハルピュイア
25/50

第24精霊

それから3日後、友春はなんら変わりなく学園生活を送っていた。

一年生はもう直校外学習があり超解の本部がある場所にまで行く。

とは言っても本部のある場所が目と鼻の先なので校外学習とは言えない。

「なあ、友春~」

「なんだよ日向」

友春は教室で桜と荒田で昼ごはんを食べていた。

「お前この間、どこにいたんだ?」

友春はその質問にかたまってしまった。

言えないのである。自分が精霊に憑かれてそんで

精霊と死に物狂いで戦っているとは。

「え、えっとだな。他の地下にいたよ」

「あっそ…なら良いや」

友春はほっと一息つこうとするが今度は桜から質問が来た。

「友春…あんた何か私たちに隠してない?」

{っ!何でこいつらはこうも勘が鋭いんだ!}

「ま、まさか~隠し事なんかしてねえよ」

友春は目を泳がせていたが桜はそれ以上は追及せずに弁当を食べ始めた。

すると教室の空気ががらりと変わった。

なんというか甘ったるい空気である。

友春は気になり教室を見回すと入り口付近で誰かが立っていた。

「なあ、日向。あれ誰?」

「ん?……ぶはぁ!!」

「うわぁ!汚いのよあんた!!」

日向は入り口付近にいる女子生徒を見るや否や口に含んでいたものを

一気に噴き出し椅子から転げ落ちた。

「お、お前あの人を知らないのか!?」

「あ、ああ知らない」

友春は目が血走っている日向の姿に少したじろいでいた。



「あ、あの人はな!この学校の会長で日下部加奈さんだぞ!?

美少女ランキングは二年連続で一位!学年別偏差値ランキングは二年連続1位を

取った人なんだぞ!!才色兼備という言葉はあの方の代名詞

と言ってもいいくらいなんだぞ!!!」

「お、おう」

友春は鼻息をかなり荒くしている日向の豹変ぶりにかなりひいていた。

{俺何でこいつと友達になったんだ?}

友春と会長の目が一瞬あった。

その瞬間微笑をうかべて友春のところに近づいてきた。

周りにいた女子生徒はそのスタイルや凛々しい雰囲気に憧れの念を抱いていた。

また男子生徒はあまりに美少女すぎて頬を赤くしている者までいる。

日向はさっきから「あわわわわ!」とか言ってひどく狼狽している。

「君が神崎友春君ね?」

「ええ、まあ」

生徒会長は友春にそう聞くと微笑んで衝撃の一言を言った。

「私とデートしましょう」

「………h」

『えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』

友春が「はぁ?」という前に教室にいた生徒達の絶叫が響き渡った。

まあ、無理はない。

学校で一番美少女と言われている人物が平凡な男子生徒に

デートしましょうと言われれば誰であれ驚く。

「ふふ☆元気のいいクラスね。じゃ、細かいことは放課後生徒会室で話ましょ」

そう言い残し生徒会長は教室から出ていった。


『どういうつもりだ?まさか本当にあの男に』

「バ~カ、そんなはずないじゃない」

日下部は生徒会室に戻るとメモリを机の上に置いて狂喜な笑みを浮かべた。

「あの男と闘ってみたいのよ。私とは違うプロセスで強くなった彼をね」

『ならばなおさらなぜあの男をデートなどに』

「ま、色々とね」

日下部は手元の新聞に目を落とした。






そして放課後、友春は生徒会室前にいた。

ここに来るまでの間に大勢の生徒に睨まれたのは言うまでもない。

(…俺、今日この日で死ぬのかな?)

「失礼しま~す」

「いらっしゃい」

生徒会室に入るとそこには会長の座席に座っている日下部だけがいた。

「他の皆さんは?」

「みんなは帰らせたわ。貴方と二人っきりで話したいもの」

「っ!!」

友春は彼女の笑みを見て一気に顔を赤くした。

生徒会室で二人っきり、しかも学園一美少女と言われている人物とである。

男ならばいらぬ妄想もする。

「あらあら、顔を赤くしちゃって。可愛いわね」

(っ~~~~!ちょ、調子が狂う!)

友春は出会ったことのない対応の人間に少したじろいでいた。

「それじゃあ、日にちを決めましょうか。貴方はいつ空いてるかしら?」

「え、えっと基本暇人なので休日ならいつでも」

「そう…高山」

「はい」

「うおぉ!あんたいつの間に」

友春の隣にいつの間にか執事服を着た初老の男性が立っていた。

「休日って何か入ってたかしら?」

「……いえ、特にこれと言ってはございません」

「そう。じゃあ、私は出掛けるわ。SPはいらないから」

「畏まりました」

そう言って初老の男性はお辞儀をした後にドアから出ていった。

「という訳で土曜日の12時に校門に集合で」

「あ、はい」

こうして初めてのデートの日にち決めは数分で終わった。




「という訳だ」

「「「理解不能です!!!」」」

艦内の応接間の様な場所で優は隣にいる女の子を新たなメンバーとして紹介していた。

「新しいメンバーの雪原茜よ」

そう、何故か雪原が新たなメンバーとして加わったのである。

「茜も君達の正体を知ってしまった以上は何らかの

処置を取るのだがどうも入れてくれとせがまれたんだよ」

優は呆れ気味にそう言うが雪原の表情は終始笑顔で

その視線は友春に向けられていた。

「私に任せなさい!友春のケアは勿論のこと貴方のメイドになってあげるわ!

……友春がどうしてもというならメイド服着てあげるけど」

「メ、メイド服!?」

友春は雪原がメイド服を着ている姿を想像した。



先ず家に帰ると玄関にはメイド服を着た雪原が立っている。

『御帰りなさいませ』

カバンをメイドである雪原に渡しテーブルに行くとそこには既に

調理されている美味しそうな料理の数々が待っていた。

『お帰りお兄ちゃん!』

『お帰りざんす。友春さん』



「うん!ぜひ着てくれ!」

「「良い訳ないでしょ!「ざんす!」」」

ハモンと彩加は同時に友春の頭を叩いて制裁を下した。

「まあ、実際茜君と友は同学年だ。涼子もいるが生憎

一学年上なんでね。色々とすぐには情報がいかないこともある」

涼子はこの時友春よりも一年早くに生まれたことを非常に後悔していた。

両親を恨む気はないがせめて一年早くに産んで欲しかった、と感じている。

「ま、そう言う訳で友春のお世話係になったから!よろしく☆!」

雪原は横チョキをしながら言うが友春からすれば気が狂った様に見える。

いつもはクール成分が見えるのに今は一切見えない。

これが彼女の本来の性格かもしれない。

しかし、その考えは外れた。

「さて…それはさておき…友春」

雪原の纏うオーラがガラッと変わりクールなものに変わった。

「は、はい」

「貴方…今日…生徒会長にデートに誘われたみたいね」

「っ!それどういう意味っすか!!友ちん!」

「そうざんすよ!」

友春は冷や汗をたっぷりとかいていた。

「お兄ちゃんだってデートくらいするわよ……まあ、流石に。

流石に!お兄ちゃんもそのままゴールインしちゃうことはないよね~?」

彩加の笑みは冷たさを感じさせるもので友春は実の妹に

恐怖という感情を抱いていた。

「ど、どこでその情報を」

「もうとっくに回ってるわよ…さあ、友春君」

雪原がそう言うと涼子とハモンが友春の両腕をガシッと力強く

掴み彩加が彼の両足を持った。

「ちょ!お、おい!」

「あっちに応接間があるからじ~~~~~~~っくり話ましょ?」

「「「賛成~~~~~~」」」

「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

キィ~、バタン!!!

そんな音をたてて応接間の扉が閉まり鍵がかけられた。

「君も大変だな」

優はズズっと紅茶を飲み干すと自らの持ち場に戻った。


ちなみに彼が解放されたのは日付が変わる前だとか。

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