第21精霊
「……ん……あれ?私……」
彩加が目を覚ましたのは一室の病室だった。
いつの間にか来ていた寝まきは汗でビチャビチャになっていた。
隣を見ても兄である友春の姿はない。
「よ、良かったぁ~」
『何が良かったのかしら?』
メモリの中からレヴィアタンが彩加に問いただした。
「いやね、さっきいやな夢を見たの。お兄ちゃんが来年に死ぬっていう夢。
でも、あれは夢だった。うん、きっと夢なのよ!!今まで見てたのは夢で」
「残念だが夢ではない」
「優」
病室の入り口付近に白衣姿の優が立っていた。
目の下にはクマが少しできていた。
「君が夢だと思っているのは現実だ」
「な、何言ってるのよもう!そんなはずないじゃない!」
「……右隣を見てみろ」
ゆうに言われ右隣を見てみるとそこには体中にいくつものチューブを
つなぎ周りには機械が大量にありその中で眠っている友春がいた。
その光景はあまりにも人間には見えなかった。
「夜が明けてから二本で確認されている精霊が全て消失している。
恐らくサクヤが言っていた部隊が来る前兆だ」
優は淡々と話していくが彩加はうつろな表情をして友春を見つめていた。
「聞いているのか彩加」
「……そんなのどうでもいいわよ」
「なんだと?」
「部隊が何よ。そんなの放っておきなさいよ」
「お前…本気で言っているのか?」
徐々に優の言葉にも怒気が含まれ始めていた。
「ええ、お兄ちゃんの傍にいないと。私が世話をするんだから」
彩加は足をふらつかせながら友春のベッドまで歩いていくが
その途中でゆうに肩を掴まれた。
「なn」
パチィィィン!!!!
病室に頬を叩く音が響いた。
「ふざけるな!たかだか兄が負傷したというだけで
貴様は何をふ抜けているんだ!!!!」
「たかだか?そっちこそふざけないでよ!!
私にとったらお兄ちゃんは私のすべてなのよ!」
「いいか!?お前はレヴィアタンをその身に宿しているんだ!
そのお前が闘わなくてどうするんだ!!!!」
「そんなもの他の奴らに任せておけばいいでしょ!!」
「っ!もういい!!君には失望した」
優は白衣をひるがえしながら病室から出ていった。
彩加は何事もなかったような表情で友春に近づいていき
彼のもう二度と自分を撫でてくれそうにはない手を取った。
「ごめんねお兄ちゃん。うるさかったよね、大丈夫。
もう誰も来ないから。来たとしても私が追い返してあげる。
これからはず~っと二人っきりだよ。お兄ちゃん」
その頃、友春達が住んでいる地域から南に6キロの所で
超解と精霊部隊が戦っていた。
「怯むなぁ!!撃て撃て!!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!
次々とマシンガンから弾丸が何発も放たれ部隊を攻撃していく。
しかし、倒しても倒しても一向に歩みを止めることはできなかった。
「な、なんなんだあいつらは!!」
「ふふふ、この子たちは霊兵です。個体ごとの強さは
弱いですが集団の強さは貴方達以上です」
霊兵と呼ばれる集団の中央にサクヤがいた。
「くそ!」
「隊長!既に第3防衛ラインが!!」
「ちっ!撤収よ!総員最終防衛ラインで奴らを叩く!!」
超解の開発したパワードスーツを纏った女性達が次々と
その場を離脱していった。
「ふ~ん、あれが霊兵ね~」
その様子をビルの屋上から眺めている女性がいた。
「どうしよっかな~。今ここで戦いに行っても
いいんだけど~。めんどくさいし~」
女性は心底めんどくさそうな顔をしてそう呟く。
「ん?は~い、もっし~」
女性は携帯を出ると野太い男性の声が聞こえてきた。
『ハルピュイア、貴様も最終防衛ラインにて奴らを叩き潰せ』
「え~どうしよっかな~」
『報酬もある』
「いいよ~」
そう言い女性は顔に笑みを浮かべて電話を切った。
………暑い。
…………この暑さは何なんだ。
『目覚めたか』
……ファーブニルか?
『ああ』
俺今どうなってるんだ?
『お前は今死んだも同然の状態だ』
…そっか……俺死んだんだ。
『いいや、正確には違うがな。さあ、目を開けな』
俺はファーブニルに言われて徐々に目を開けていくと目の前に映った光景は
「な、なんだこれ」
まさしく火の海というべき光景が広がっていた。
荒れ狂う波の様に炎がそこらで火柱を上げ立ち上り大きな爆発音とともに
炎が空高くまで上がっていった。
『これは俺だ』
「こ、この炎の海がか?」
『ああ、友春…お前が今までしてきたのは俺からすれば
小さな火遊びみたいなもんだ。俺の炎はあんなもんじゃねえ』
ファーブニルの声は聞こえるが姿はどこにも見えなかった。
『お前は所詮花火をしているにすぎない。俺本来の力ならば
町一個は軽々と吹き飛ばせる』
「そ、そんなに強いのか?」
『ああ……だがお前が俺を弱くしている…時間だ』
友春の意識はそのままゆっくりと落ちていった。
「優さん」
「ハモンか」
ハモンは指令室にいる優の所にいた。
「…サクヤが言っていた兵隊が来た…霊兵というそうだな」
「ええ、霊兵は個体の強さは弱いですが数で来られると
少し骨が折れるものたちざんす。うんうん、ざんす」
画面には上空から撮影している霊兵の様子を写した映像が流れていた。
「ハモン…恐らく奴らは友春がいる病院を破壊しにくる」
「……てっきりこの艦で寝ているのかと思ってたざんす」
「生憎この艦には友春を生き延びらせる医療器具はないんだ」
「……あっしたちはその病院を護りに行くざんす」
「……頼む」
ハモンは片手にメモリを持ち同じ精霊でメモリに力を封印している
者達と共に病院を死守しに行った。
その頃霊兵と闘っている桜達、超解は最終防衛ライン、つまり
都市部への道を必死に護ろうとしていたが数が圧倒的に
違うために徐々に押されていた。
「隊長!もうもちません!!」
「諦めちゃダメでしょ!私達がここを護らないとどうすんのよ!!」
桜は必死に精霊用のマシンガンを放っているが既に
戦意を喪失しているメンバーもいた。
その時だった。
ドオオォォォォォォォォォオォォォン!!!!!
空から凄まじいほどの落雷が何発も落ちてきて霊兵を大幅に葬った。
「な、何?」
桜が上を見るとそこには緑色の鎧に刀身が紅色の刀を二本持った者がいた。
「ちぇ~。雑魚ばっか。ま、楽しませてくれるよね?
今私欲求不満なんだよねーーーーーーーー!!!!!!」
女性はそう叫びながら霊兵たちの群れに一人で突撃していき
二本の刀でバッタバッタと切り倒していった。
「す、凄い…あれがうわさに聞くハルピュイア……皆!!
あの方が来てくれた!!ここでサボってちゃダメでしょ!!!」
すると戦意喪失していた隊員たちは僅かな希望を持ちその手に
マシンガンを持って撃ち始めた。
「あはははははははっはははは!!!!…ん?」
ハルピュイアがバッタバッタと霊兵たちを葬っていると目の前に
桃色の髪をした女性であるサクヤが現れた。
「あらあら、こんな所にハルピュイアがいるなんて」
「ん~?あんた強いの?」
「ええ、少なくとも貴方よりかは」
「くっふふふふふふ!!!!良いねいいね!!あたしを楽しませてよねぇぇぇぇぇ!!!」
ハルピュイアが二つの刀をクロスさせると何本もの落雷が空から降り注ぐが
それらは全て桜によって防がれた。
「さあ、楽しみましょうよ!!」
2人の凄まじい激しさの戦いは周りの霊兵たちを巻き込んで始まった。
こんばんわ~。感想いただければ幸いです




