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精霊   作者: ケン
サード サクヤ姫
20/50

第19精霊

「おっす!シスコン友春!」

「パーンチ!」

「ごべぇ!」

朝一番からおちょくってきた悪友荒田をぶっ飛ばしていた。

「俺はシスコンじゃねえ!」

「お、お前をシスコンと言わずなんという。がく」

そのまま荒田はガクンと頭を下げた。

「とまあ演技は終わってだな。知ってるか?最近あちこちで

桜が吹雪いてるって話だぜ?」

だがすぐに荒田は復活しいつものように友春に絡んできた。

「桜…ねえ」

桜と言えばあのサクヤ姫とかいう精霊のトップであるXの側近の女性精霊。

何人もの超解のメンバーがバラバラにされているという報告もある。

「てな訳で遅い花見に行こうぜ!」

「馬鹿か、止めとけ止めとけ。どうせ精霊かなんかだろ」

「夢がないね~」

そう言いつつ2人は自分の席に戻った。



「今日の昼は何しようか」

今日は土曜日なので学校の授業は半分で終わりである。

友春は帰ってからの彩加とハモンの御昼ごはんを考えながら歩いていると

ふと見知った女子生徒が視界に入ってきた。

「よっ!雪原」

「あら友春じゃない」

「何してんだ?こんな所で。お前っていつも向こう方面だよな?」

普段は雪原が帰っている道は今とは逆方向なのである。

「……ねえ、桜見に行きましょ」

「駄目だ。この時期に桜はおかしすぎる」

「それでもよ」

「お、おい!」

友春は無理やり雪原に手を取られて話題になっている夏にも拘らず

桜が満開に咲き吹雪いているという場所に連れていかれた。




『え~お兄ちゃんが作ってくれないの~?』

「ああ、悪いな。ちょっと遅くなるから先に食っておいてくれ」

『は~い』

「妹さんへの連絡は終わった?」

「ああ、悪いな。でも、まあ確かに満開だな」

友春達の目の前には満開の桜が咲き狂っていた。

既に春に散った桜の木から桜が芽生え桜吹雪になるほど咲いており

とても綺麗な景色になっていた。

辺りにはその綺麗な桜を一目見ようと多くの人たちでにぎわっていた。

『おい、気を付けろよ』

{ああ、分かってる}

「ねえ、覚えてる?」

「何をだ?」

友春がそう言うと雪原は悲しそうな表情をした。

「覚えてないの?昔桜の咲いた木の下で」

「ようやく見つけました。ファーブニル」

「っ!雪原!」

「きゃっ!」

突然第三者の声が聞こえたかと思うといきなり数え切れないほどの莫大な

量の桜の花びらが二人めがけて放たれた。

友春は雪原の手を取り地面に伏せて何とか避けたが2人がいた個所には

何かで切り刻まれたような跡が残りそれを見た人々は

悲鳴を上げながらその場から逃げていった。

「も、もしかして精霊!?」

「ふふ、そうです。私の名はサクヤ。気軽に姫とでも呼んでください」

サクヤ姫の顔は笑顔なのだがどこか冷たいものを感じさせる笑顔だった。

{やべえ!ここじゃファーブニルを具現化できねえ!}

友春は手にメモリを握りしめているが雪原がいるために

ファーブニルの力を使う事が出来なかった。

「どうしました?早くファーブニルを具現化しなさい」

「な、何の事だ?精霊さん」

「ふふ、とぼけるのですね」

サクヤ姫が手を振った瞬間再び桜の花びらが友春たちに襲いかかった。

「くそ!逃げるぞ雪原!」

友春は雪原の手を取り桜の攻撃を避けながらサクヤ姫から離れていった。

「逃がしは」

ズドドドドドドドド!!!!

サクヤ姫が2人を追おうとした時何発もの対精霊弾丸が降り注いできた。

「逃がしやしないわよ、桜野郎」

「あら?貴方もそうですわよ」




「はぁ、はぁ。ここまでくればもう良いだろう」

2人は人気の少ない粗大ごみ置き場の土管に隠れていた。

「な、なんで精霊なんかに」

雪原は体を震わして恐怖を感じていた。

「雪原ここにいろ。良いな?」

「待ってよぉ!私を一人にしないで!」

「ゆ、雪原!?」

友春がサクヤのいるところに行こうとするといつもはクールな雪原が

突然狼狽しはじめ泣きじゃくりながら友春の腕を掴んだ。

「お願いだから一人にしないでぇ!」

「あ、ああ。分かった」

ただ事ではないと感じた友春はサクヤの所に行くのをやめて隣にいることにした。

「良かったぁ!貴方がいないと怖いの」

「っ!」

いつもとは違う雰囲気の雪原の笑顔を見て友春は顔を赤くした。

{いつもはクールなのに……か、可愛すぎる!!}

「な、なあ。昔した約束って何なんだ?」

「うふふ、教えてあげる☆昔ね」

それは今から9年ほどさかのぼることになる。



今から9年前、友春が両親を亡くした二ヶ月後の事。

友春が住んでいた地区は被害が凄まじく立っている家屋は皆無に等しく

瓦礫の山が大量にあった。

超解も動いているものの未だに完全に復興できていない。

そんな中一本の美しい桜の木だけが立っていた。

その根元に一人の女の子が泣きじゃくっていた。

「お母さん…お父さん…お姉ちゃん」

7歳になる雪原だった。

雪原も精霊により家族をすべてなくしていた。

住む場所は無く周りは知らない大人ばかり。

例え雪原が泣いていても誰も声をかけてはくれなかった。

皆が皆自分のことで精いっぱい、そしてこの時期は治安が悪く

気を抜けば持っている物を全て盗られてしまう。

「だ、大丈夫?」

「……誰?」

「僕の名前は神崎友春!ほら彩加も挨拶して?」

「うん……かんざきさやかです…ひぅ」

まだ4歳の彩加が友春の背中に隠れて震えながら挨拶をしていた。

「わ、私は雪原茜」

「じゃ茜ちゃんて呼んでいい!?」

「う、うん」

「遊ぼうよ!」

それから茜と友春、彩加の三人はよく遊ぶようになった。

茜からしたら彩加は妹のような存在で特段可愛がっていた。

ときには彩加をめぐって茜と友春がバトルしたこともある。

しかし、別れはやってきた。

茜の親戚が引き取りに来たのである。

「そっか…もう茜ちゃんとは遊べなくなっちゃったのか」

「うん……ごめんね?」

「ううん!でもまた絶対に会えるよ!」

「ほんと?」

「うん!この桜の木に誓うよ!!!」

「…うん!私もこの桜の木に誓う!また会おうね!」



「…覚えてる?」

「……あ~あの時の女の子が雪原!?」

「うん!良かったー思い出してくれて」

茜は大層表情を緩めて安心していた。

「ねえ彩加ちゃん元気!?」

「ああ元気だよ。今度うちに来てくれよ」

「うん!じゃあそうするきゃぁ!!」

ドガァァァン!!!

「やっと見つけましたよ。ファーブニル」

いきなり土管が真っ二つに割れ声が聞こえてきた。

「サクヤ!!!」

「ですから気軽に姫とお呼びください」

サクヤはにこにこと笑いながらそう言うが心の底

から笑っているようには見えなかった。

「雪原…今から見る光景は誰にも言わないでくれ」

「え?」

友春は手に持っているメモリを差しファーブニルを自分の体に取り込んだ。

炎が友春を包み込んでいき赤い甲冑を纏った姿に変わった。

「友春?」

「……」

雪原の呟きに友春は一瞬、耳を貸そうとするがすぐにサクヤに向かっていった。

こんばんわ~新天地であるアットノベルも中々良いですね。

ただ予約投稿がないので学生の自分はつらい。

それでは!!!!!

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