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精霊   作者: ケン
ファースト 目覚めの炎
2/50

第1精霊

「あ、あったあった。忘れてたぜ。さて、行くか……あ?」

友春が忘れ物を見つけ外に出るとそこは先程とは違う景色が広がっていた。

さっきまで立ちそびえていた高層ビルは無残に崩れさり辺りは

電源がショートでも起こしたのかあちこちから火の手が上がっていた。

「ど、どうなってるんだよ! まだ警報は! ……出てるし」

慌てて携帯の画面を見るとそこには警報として大きく表示されていた。

「さっさと逃げ」

友春が逃げようと顔を上げると目の前には一人の少女が立っていた。

「………」

友春は一瞬その美貌に目を奪われてしまった。

髪色は薄い青色で服も手に持っている剣も青一色

で統一されておりこの場にいること自体が場違いなほど美しかった。

『なぜ人間がここにいる、まあ良い。

ちょうど暇だったんだ、暇つぶしに付き合うが良い』



少女は青い色をした剣を握りしめると勢いよく

横なぎに振るうと衝撃波が友春を襲い後ろに大きく吹きとばされた。

「が! はぁ!」

一瞬、浮遊感があったと思うと次の瞬間には背中に凄まじい

痛みが走り肺から酸素が抜けていった。

「は! はっ! はっ!」

『なんだ? 貴様は人間なのか?』

青一色の女の子は怪訝な表情を浮かべて友春にそう尋ねた。

「ど、どういうげほ! 意味だよ!」

『そのままの意味だ。私の攻撃の余波ですら人間は致命傷を負う。

しかし、貴様は直撃したにも拘らずその形を保っているどころか

生存までしている。貴様は一体なんだ』

「お、俺はぐぅ!」

友春が考えようとした瞬間に体中が突然として高熱を帯び

内側から焼き尽くされるかと思うほどの熱量が発生し始めた。

「熱! 熱い! くそ! なんだってんだよ!」

『いい加減に戦えよ』

(な、なんだ!? 頭に声が)

『どうした? いい暇つぶしをしてくれ』

「どっひゃぁぁぁぁぁぁ!」

友春は目の前にいる少女が剣から放った衝撃波を

連続で受けて遠くのほうにまでノーバウンドで飛んで行ってしまった。

「はっ! はっ! はっ! げほげほ! に、逃げるが勝ちだ!」

『鬼ごっこか? 私は大好きだぞ』

友春はあちこち地面に叩きつけられたおかげで血が滲んでいるのも

気にも留めずに体を引きずるようにして逃走していくが

少女は敢えて放置しておき見えなくなったかと思うとゆっくりと歩いて行った。




「はぁ、はぁ、はぁ。ここなら」

友春は自動車が何台も置かれている月極の駐車場の

車と車の間に隠れていた。

何度かちらっと見たが先程の少女は追いかけてきていなかった。

「は~よかっ」

友春が一安心と思った瞬間車が宙を舞い地面に叩きつけられ

スクラップにされてしまった。

『見つけたぞ』

「や、やば!」

『ふん!』

「うわぁぁぁぁぁ!」

友春はさらに逃げようと立ち上がるが少女が剣をふるったのか

強い衝撃を貰い遠くにまで吹き飛ばされてしまった。

(あ~体が痛いし何より熱すぎてもう無理)

『まあ良い。いい暇つぶしにはなった、死ね』

少女はまた大きく横なぎに振るうと先程とは比べ物にならないほどの

威力の斬撃が撃ちだされ友春めがけて飛んできた。

『死にたくないだろ? 俺を使えよ』

再び頭の中に声が聞こえてきた。

(どうやってだよ!)

『俺の名を叫べ、俺の名は』



「ファーブニル!」

『何!?』

友春がそう叫んだ途端に彼の周りに炎の陣が形成され

衝撃波が炎に包みこまれ焼失した。

「す、すげえ」

『ちっ! ファーブニルか! いったんここは下がるか』

そう言い少女はどこかへと消え去った。

「今のは……うぅ」

そのまま友春は意識を失い地面に倒れ伏した。



友春が意識を失ったのと同時に突然、どこからか転送されたかのように

瞬間的に女の子が現れた。その人物は友春の妹の彩加だった。

手にはUSBメモリの様なものを持っており服装は

学校の制服を少しアレンジしたものだった。

「ごめんね、お兄ちゃん。本当は巻き込みたくはなかったんだけど」

『そうはいかないわよ、この子にはファーブニルが

憑いてる。巻き込まれるのは運命よ、彩加』

突然、彩加が持っていたUSBから声が聞こえ始めたが慣れているのか

彩加は驚きもせずそのまま話し始めた。

「それでも、お兄ちゃんには人間として生涯を過ごしてほしかった」

『そう……貴方は極度のブラコンね』

「ブラコン? そんなものじゃないよ」

彩加はUSBメモリを右手首に触れさせるとメモリが青く

輝きだし何かが彩加の体に注入されていた。

「恋しちゃってるの」

今まで黒かった髪の毛が青色に変色し周りには

水玉が生成され友春を包み込むと彩加が飛ぶと同時に

その友春を包んだ水も空中へと飛んでいった。



『お~い、目覚めたのは良いけど即効気絶するなよ~』

「あ、え? ここは? てかお前は!」

友春が目を覚ますとそこは何もないただ真っ白な空間だった。

そしていつもの通り目の前には一つの炎があると思えば

今回は目の前には赤い甲冑をしている青年がいた。

『よ! ようやく目覚めさせてくれたな!』

「確か……ファーブニルだっけ?」

『よく覚えてんじゃねえか。そ、俺の名はファーブニル』

「……それで?」

『まあそう言うな。話したいことが山ほどあんだ……

と言いたいところだが残念ながら時間だ』

「ちょ! おい!」

徐々にファーブニルの姿が薄くなり最後には

目の前の景色が真っ暗になった。



「んん?」

「あぁ、目が覚めたか」

友春が目を覚ますと目の前にというかと息が肌に当たるくらい

の距離まで近づいている女性の顔が目に入った。

「おぉ!」

「むぅ、結構うぶなんだね。このくらいの事で顔を赤くするとは」

「そ、そ、そういう問題じゃなくて! あ、あんた誰すか!?」

女性は少し残念そうな顔をした後白衣をひるがえして離れると

自己紹介を始めた。

「私は桜井優(さくらいゆう)。とある機関で研究者をしている」

「は、はぁ。で、その研究者さんが俺に何の用ですか」

「私がというより機関が君に用があるんだがね、

ひとつ聞きたいんだが君はノーマルとスペシャル、どっちだと思う」

友春は桜井優と名乗った女性のいきなりの質問に理解が追い付かなかった。

「は、はあ? 意味が」

「まあ答えたまえ」

「まあ、ノーマルかと」

友春がそう言うと優は微笑を浮かべた。

「そうか……だがそのノーマルはもう君には当てはまらない」

「ど、どういう」

「ファーブニル」

その名前を聞いて友春は肩を大きく震わして驚いた。

自分しか知らないと思っていた名前を他人が知っていたということに驚いたのだ。

「君に憑いている精霊の名だ。そうだろ? 友」

「な、なんでそれを」

「着いてきたまえ」





友春が通されたのはモニターが沢山ありどこか指令室を

感じさせる大きな部屋で多くの研究員のような人物達が

忙しそうに右往左往していた。

「ここは?」

「超解と似たような機関だと思ってくれればいい」

「それは駄目よ優」

「あぁ、帰ってきてたのか」

「……さ、彩加!?」

友春も優につられて後ろを向くとそこには愛してやまない

妹の彩加が学校の制服で立っていた。


こんにちわ~如何でしたか?

面白いと感じられた方はぜひ感想を下さい!!待ってま~す

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