第11精霊
昼休みで賑わっていた教室にけたましいサイレンの音が響いてきた。
『緊急事態発生!!!レベル4クラスの超常現象の予兆を確認!!
すぐさま生徒及び教師は地下シェルターに避難せよ!!!』
「やべえな!!桜行こうぜってあれ?いねえし!!」
しかし、優斗は学級委員長なのでそんな事にいちいち構ってられないので
すぐさまクラスの全員をシェルターにまで避難するように指示を飛ばした。
「けらけらけら!!!凄いね!!うんうん凄い!!落雷って音よりも速いんだよ!?
うんうん音よりも速い!!それなのに一瞬でファーブニルになって炎で防ぐなんて
流石はファーブニルだなー!!うんうんファーブニル!!!」
「何、訳分からねえこと言ってんだ。何か用か?」
友春はあの一瞬でファーブニルを自身に憑依させ炎をドームのようにして
展開して涼子と自分を覆い落雷を防いだ。
「こ、こいつっすよ!!こいつがアメリカからこっちに向かってるって
言ってた精霊っすよ!!コードはハモン」
「ハ…モン?そうか~屑にはそう呼ばれてるのか~
……不愉快ざんす、うんうん不愉快ざんす!!!」
ハモンが手を空に向けて挙げて振り下ろすとその動作と伴って
落雷が一発友春に向って落ちてきたがそれは炎によって防がれた。
「屑だと?ふざけるな!人間は屑じゃねえ!!」
「けらけらけらけら!!!!!まあ、それは良いざんす。
ふふふ、ファーブニルを殺すざんすーーー!!!!」
ハモンはさらに何度も手を振り下ろし何発も落雷を友春に向けて
落とすが友春は全てを炎で作った壁で防いだ。
「はははははははは!!!!楽しいざんすねーーー!!!」
ハモンは落雷を落とすのをやめ直接殴りにかかってきた。
「邪魔だ」
友春は手をかざして炎の玉を作り出しハモンに放つが彼女は
それを身を翻してかわした。
「ひゃっははははははは!!!!そらそらそら!!」
「くそ!!」
ハモンはもう一度落雷を2,3回彼に向って落とすが
全て炎に防がれた。
「けらけらけら!!!貴方は健気ざんすね~」
「何がだ」
「だって女の子を傷つけないために動かずにその場で
私の攻撃を防いでるからざんすよ!うんうん健気健気!!!」
「と、友ちん」
ハモンの言うとおり友春はさっきからすべての攻撃を一切動かずに
その場にとどまり続けながら攻撃を防いでいた。
「まあ、そんな事でいつまで続くざんすかねー!?」
ハモンは両手を挙げて空を仰ぐと凄まじい数の落雷が友春と涼子に
向けて降り注いできた。
「ちっ!!」
友春は炎で壁を作るが同じ個所に何度も当てられ遂には防ぎきれなくなった。
「ぐぅ!!」
「友ちん!!!」
「ありゃりゃ?もしかしてちょこっと電流流れたかな?
うんうん!!流れた流れた!!!」
「……涼子」
「な、なんすか友ちん?」
「お前って高所恐怖症だったりする?」
「まあ、若干は」
「………悪い!!!」
「え!ちょ!!」
友春はいきなり涼子を担ぐと学校の屋上から飛び降りた。
ちなみにこの学校は4階建てで結構高い。
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
飛び降りている最中に凄まじく高い音の涼子の叫び声が辺りに響いた。
「よっと!!逃げるが勝ちだ!!」
「けらけらけら!!!待つざんっと!!」
ハモンが追いかけようとした時に彼女めがけて何発ものミサイルが
襲いかかってきたのですべて落雷で落とすと前には霊装を纏った
隊員たちが数名いた。
その中には友春のクラスメイトである桜の姿もあった。
「識別名ハモン!あんたはあたしが倒す!!」
「あ~あ、興ざめざんす」
「あ、待て!!!」
桜が引き金を引いた時には既にハモンは消失していた。
「桜、辺りにハモンの反応はないわ」
「っもう!!」
ハモンを取り逃がした事に苛いているのか対精霊用の銃を
校舎の壁にぶつけていた。
「そんなカリカリしないの。今のところは負傷者はいないって
連絡があるし。ひと先ずはよかったじゃない」
「は~。まあ、そうだね。帰ろ……ん?」
「どうかしたの?桜」
「……気のせいかな。別に何もない」
一瞬だけだが友春に似た男子が校舎の中に入っていくのが見えたが
警報が発令されている今表に出ている人はいないので深くは考えなかった。
「あ、危なかった~」
友春はどうにかしてばれない様に校舎内に入り込んでいた。
幸い二人には目立ったけがはなかったが涼子の精神は
結構ずたずたになっていた。
高所恐怖症なのに4階建ての建物から飛び降りられたら誰だって怖くなる。
「こ、怖かったっす~」
「あ~えっと」
「むぅ!!!」
涼子は友春をキッと睨みつけた。
「あ、えっと…あ、電話だ」
どうしようかと迷っているところにうまいこと電話がかかってきて
どうにかしてその場からは逃げられた。
「はい、友春です」
『やあ友。知っているとは思うが精霊が現れた。すぐに
拾うから送られてくる場所に来てくれ』
「了解、じゃ、行こう……怒ってらっしゃいますか?」
「ふん!さっさと行くっすよ!!」
涼子はプリプリ怒りながら送られてきた地点にまで向かった。
「やあ来たね……なんだか雰囲気が良くないね」
艦に着いたことは着いたが未だに涼子はプリプリ怒っていた。
「まあ良い。揃ったことだから始めようか」
優がそう言うと目の前の大きなモニターに先程のハモンの姿が映された。
「識別名ハモン。先日アメリカの軍を襲撃した精霊だが日本には
どうやら飛行してきたらしい」
横のモニターには友春には分からないが何かのグラフが現れた。
「消失と現出の際はエネルギーが放出されるわけだが彼女は
まったく発生していないことから飛行してきたんだろう。そして
彼女の能力は主に雷撃系だ。そうだよな?友」
「え、あ、はい。確かに雷撃系です」
急に言われて戸惑うが実際に戦ったのは友春なので
彼にあててくるのは普通である。
「恐らく飛行中にレーダーから消えたのも音速以上の速さで
移動していたからと思われる。幸い今彼女は消失しているため
現出の際はすぐにわかる。友と彩加は準備をしておいてくれ」
「了解」
「はい」
友春と彩加はいつでも出発できるように各々が落ち着く事をしているのだが……
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?なんだ?」
「え、えっと」
彩加は何故か顔を少し赤くしてモジモジしながら友春を上目づかいで見ていた。
友春が可愛いと思ったのは彼のみぞ知る。
「そ、その昔よくしてくれた…あれ……してくれる?」
「あ、え、お、おう」
友春は椅子に座り香也を自分の膝の上に乗せ後ろから抱き締めた。
「こ、こうで良いか?」
「う、うん……」
彩加も友春も顔が真っ赤、そんなに恥ずかしいなら
しなければいいのにと言うのが普通。
「お、お兄ちゃん、どう?」
「ど、どうって何がだ?」
「そ、そんな事言わせないでよ!!」
友春は少し考えた。
{…………!!!}
頭の中でビッグバンが起こった。
「あぁ、凄かった」
「す、凄かった!?」
「あぁ、凄かった。かなり速いし範囲も大きかいな」
「は、早い!?ま、まあそうだね」
ここで少し二人に心の中を見てみよう。
{確かにあいつの動きは尋常じゃないくらい速かったな、ハモン。
それに落雷の範囲も広い}
次は彩加の心の中。
{は、早い!?た、確かに周りのみんなよりかは胸の成長は早いし
皆よりも大きいし肩のこる範囲も広いけど……お兄ちゃんがそう言ってくれるなら嬉しいな}
まったく別の事を考えていた。
結局その日はハモンは出なかった。
こんばんわ~ケンです!!
早く文章評価とストーリー評価されないかな~
そんな事を思う今日この頃です。それでは!!!!