第9精霊
友春がクラスメイトの雪原と話している頃、涼子と彩加は未だに睨みあっていた。
「なんで涼子は私服なのかな?しかも若干化粧もしてるみたいだけど」
「悪いっすか?あっしも女なので化粧くらいするっす」
「へ~、あの涼子がね~」
「な、なんすか?その顔は」
彩加は涼子の言った事にニヤニヤしながら彼女の顔を見ていた。
「前にあっしは化粧をしない!!って言ったのはだれだったかな~?」
「うぅ!そ、それは昔のあっしはそうでしたが今のあっしは違うっす!!」
「んん~?もしかして……恋でもしたかな~?」
彩加がそれを言った瞬間に一気に涼子の顔が真っ赤になり恥ずかしそうに
慌てて彩加の言った事に否定し始めた。
「そ、そんな訳ないでしょう!!あっしはこ、恋などはしません!!」
「ふ~ん。優から聞いたんだけどね、ある女の子が必死の形相で
化粧を習いに来たって言ってたんだけど誰だと思う~?」
涼子は心臓をドキッとさせた。
実はあれから涼子は母親同然の優に化粧の仕方を習いに
行っており以前は断ったのにな、と言って優も驚いていた。
「さ、さ~?だ、誰っすかね?あははははは熱!!!!」
「あ、バカ!!」
涼子は冷や汗をかきながら焦りを隠すようにロクにテーブルに
何があるのかすら見ずになんとなく近づけたらアッツアツの鉄板に
指をつけてしまい火傷をしてしまった。
「熱つつつつつ!!!!み、水!!!」
「ああもう!!」
彩加は自分の水にすぐに涼子の火傷をした
指をつっこませて冷やさせた。
「申し訳ないっす。彩ちんの水が」
「別に良いわよ。また入れればいいし。ていうよりも
何で気付かなかったの?」
「な、なんででしょう」
「は~……で、実際はどうなのよ」
「な、なんのことすかね~」
「惚けないで良いから」
彩加はとぼけている涼子に真面目に聞いているのか
少し怒ったような口調で涼子に聞きだした。
「……あっしも正直分からないっす。この気持ちがなんなのか」
「ふ~ん。ま、いいんじゃない。その内分かるわよ」
そうこうしているうちに友春が帰ってきて料理も運ばれ
三人は楽しく笑いながら昼飯を食べていった。
「あ~美味しかったす!!」
「確かに美味しかったな。久々に行くのがちょうどいいな」
「確かに~」
三人とも満足したのかご機嫌がとてもよかった。
「じゃあ、そろそろあっしは帰るっす!!」
「送ろうか?」
「いや、大丈夫っす。さっきメール送ったんで」
「そっか、じゃあまた今度な」
「はいっす!!」
涼子は一度満面の笑みを友春に送ってから艦に拾われた。
「じゃ、帰るか。彩加」
「うん!」
それから二人は何もしゃべらずに家路を歩いていたがふと彩加が話し始めた。
「ねえ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「お兄ちゃんは涼子の事どう思ってる?」
「涼子の事?ん~友達だろ?」
「あ、うんそうだね。お兄ちゃんに聞いたのが悪かった」
「どういう意味だよそれ」
友春はこれでもモテル方でバレンタインの日は二ケタ以上の
数のチョコを貰いその中にも本命が入っていたのだが天然なので
それに気づかずに普通にお返しをしては何度もフラグをバキバキ折っているのである。
「ねえ、お兄ちゃん。久々に手繋いでも良い?」
「え、あ、良いぞ」
「ふふ!やった!!」
彩加は嬉しそうに笑みを浮かべながら友春の手を取った。
その手は自分の手よりもいくらか大きくて温くつないでいると
安心させられる手だった。
彩加は友春の手が大好きで彼以外とは手をつないだ事はないらしい。
「暖かいね。お兄ちゃんの手って」
「ん?そうか?彩加も暖かいぞ。手は小さいけど」
「女の子だもん」
それから二人は終始笑顔で家まで帰っていった。
こんにちわ~ケンです。
今日にやっとドラクリオットが来るぜーーー!!!
なのでさようなら