ことの究明
ゼップルはなんとしても事件の真相を突き止めようと、事件現場にやってきて証拠集めに専念する。
「オスカル・・・・・・きっと証拠を持って帰るぞ。キミのおふくろさんのためにも・・・・・・」
じつはゼップル、コージマのことを親同然にも思っていたので、オスカルの死がただの事故死ではないことを予感し、もし事故死だったとしても、コージマが満足する内容であればと、ゼップルは願う。
「ああ、くそう。だめだ。何も見つけられなかった。オスカルはやはり、事故によって死んでしまっただけなのか・・・・・・」
ゼップルは暗い面持ちに加え、ひきずるような足取りでよろけながら自分の邸まで戻っていこうとするも、ゼップルはしかし、そこで妙な体験をした。
がさごそと木陰がうごめき、彼は枝を分けて中をそうっと覗いてみると、野うさぎが罠にかけられてもがいているのが目に入った。
「かわいそうに。今放してやるからな」
ゼップルがウサギを抱きかかえると、首輪に気がついた。
「こ、これはなんだ?」
持っていたキドニー・ダガー(中世で騎士が上司から譲られる、男性のシンボルをあらわしたナイフ)で首輪を切り取り、ついていたメダルを調べると、「N」の頭文字が目のなかに飛び込んできた。
「・・・・・・Nだって、すると誰かの頭文字?」
ゼップルはよくなつくこのウサギと、メダルの「N」に不審がり、自分の手で調べようと決意を固めた。
このことは無論、コージマには黙っておこうと思った。
余計な心配をかけたくないことと、真実がわからない現在のままでは、暴走しがちのお母様のこと、行動を慎むことなど考えてくれそうになかろう。
「まったく、しようのない人だ」
昔からああなのだから、と、ゼップルは、くすりと小さめに笑んだ。
「でもまあ、僕が士官になれたのだって、あの奥さんのおかげだからな。オスカルのことも大切な友人だった・・・・・・」
拾ったメダルをポケットの奥へとしのばせ、壁が白塗りの豪邸――邸の外へ出た彼は、ベランダの真下で沈む夕日に誓うのだった。
「オスカル・・・・・・必ず事の真相を究明して見せるから、待っていてくれ」
ゼップル〜ん(´Д`υ)