表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

名探偵ゼップル登場!

「こんにちは」

 コージマがディーターの邸を追い出されてから、約二日が経過していた。

「まあ。これはアクセル伯爵様」

 コージマは自らでむかえ、この将校ゼップル・フォン・アクセルに挨拶をする。

「堅苦しい挨拶は抜きにして、おばさま。大変でしたね、オスカルのこと」

 ゼップルは将校のしるしであるヘルムを脱ぐと、ソファに腰をかける。

「ええ、そのことで相手の方にちょっと・・・・・・」

 コージマは葬儀にも顔を出さないディーターに不審を抱きつつあったことを告げると、ゼップルは身を乗り出して協力したいと申し出た。

「おばさまには世話になった身だ。なにせ・・・・・・身よりもない僕に、オスカルと同じような愛情を注いでくださり、ボヘミアの大学にまでやってくれた。おかげで今は出世し、貴族を称号も得られました。僕は今こそ、恩返しのときだと考えます」

「アクセル様・・・・・・」

 コージマはハンケチで涙をぬぐうと、

「わかりました。ふたりでオスカルの仇を討ちましょうね」

 決意を胸に、ゼップルの両手をかたく握り締める。 

「ところで、おばさま。彼の描きかけていた絵ですが、まだ完成しなかったのでしょう? 僕に見せてほしいんだけどなあ」

 オスカルの描いていたものは、ゼップルの肖像画。

 キャンバスにかぶせられていた布をめくると、真っ白なオーストリア軍の軍服に身を包んで、すまし顔をしたゼップルの姿が、凛々しくも、勇ましくも写って見えるのが不思議であった。

「ほんとうに、立派になられました。これでオスカルが生きていてくれたら・・・・・・」

「そんな、おばさま。さあ、弱音を吐いてばかりもいられません。これからが大勝負なのです」

「大勝負?」 

 ゼップルはコージマに大きくうなずいて答えた。

「そう、博打ですよ。なんとしても彼が殺されたという証拠を見つけなければ。ただでさえ、相手は憎らしい貴族です。といっても、あのダンクヴァルトなど、公爵になれそうでいてなれない、へっぴり腰の少尉にすらなれぬ器でしかありません。実は僕の邪魔ばかりをしてきて、やつは将校の地位に就きたがっているんですよ・・・・・・外道め!」

「なんということ」

「ですから、なんとしても真実を突き止めるんです」

 コージマはそんなことを露とも知らない、ただの女でしかなかったことを思い知らされると、はらはら涙をこぼしながら、ゼップルを今の地位から引き摺り下ろすわけには行かないと、固く誓うのであった。

「あなたのことはわたくしが、命がけでお守りするわ。最初こそ、謝ってもらえたらすむと思っておりましたのに、あなたからも地位をうばおうだなんて、虫のいい話ですわ。おばさまにお任せなさい」

「いや、そのことよりも、オスカルの仇が先決です」

 コージマはそれはそうだが・・・・・・と考えあぐねるのだが、今、彼から士官の地位を息子のかもしれない相手から奪わせるわけになど、いかなかったのだから。

「おお! 神様。どうしてあなたは、このように酷い仕打ちをなさるの!? わたくしの子にばかりでなく、ここにおわすアクセル様までも不幸になさろうというの」

「あまり気にはしていませんから・・・・・・」

 コージマは思い込みが激しいというか、ここがゼップルには付き合いにくい理由でもあった。 

 根はいい人なんだけど、ゼップルは苦笑しながら心の中で、そうつぶやく。       

 う〜ん・・コージマのキャラは、パルムの僧院のジーナおばさんに似てる・・笑

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ