ファザコン脳内変換
わたしは、よく大人になってからも実家を度々訪れる。
そもそも車で五分の距離に実家もあるから、気兼ねなく遊びにいく。
ある日、家の前がなにやら騒がしかったので、窓の外をこっそりのぞいてみた。
すると、お向かいのお家に何人もの子どもの姿がみえた。
…
みなさん制服をまとっていた。
そして、小学生くらいのお子さんは黒を基調にしたお洋服をまとっていたのだ。
わたしは、その様子を見て一瞬でピンときた。
お向かいのおばあさんが亡くなったのだと。
それをみたわたしは、実家のおばあちゃんに無性にあいたくなり、車を走らせた。
ガチャリと玄関をあけると、そこには父がいた。
「ばあちゃんいる?」
ばあちゃんは、いつも畑やら草むしりやらで、外にいることも多い。
「いない。病院だ」
⁉︎
「な、なんで⁈」
「亡くなったんだ」
「は?えっ?意味がわからないよ。普通亡くなる前に連絡とか…わたしもらってないし」
「急だったんだよ。今連絡しようとしていたところだ。さっきまで、そこの廊下を歩いていたくらいなのだから」
…
普通は、病院へとすぐさま向かうだろう。
でも、わたしはなぜか父の寝室へと向かっていた。
⁉︎
な、なんで…
わたしは、驚愕した。
さっきまで、わたしと話していた父が布団に眠っていた。
いや…亡くなったかのようにもみえる寝姿。
これは…まさか…
…
玄関に戻ると、なぜか亡くなったと聞かされていたばあちゃんがいた。
え?
ばあちゃんは、
「わたしのために病院に行ってくれるのかい?ありがとうねぇ」
と、涙ながらに微笑んだ。
どういうこと?
亡くなったばあちゃんが…いて、それで父が…
バッと、目が覚めた。
涙を拭い、ボーっとした頭で思い出した。
これは…夢。
そして、現実は…ばあちゃんが健在で父は、すでに他界しているという現実。
ばあちゃんが生きていてホッとした。
あぁ、そうだった。
父は、もういないんだ。
受け入れ難いことは、夢でわたしを混乱させる。
でも、夢ででも父にあえるならそれでもいい。
また、あいにきてください。
おしまい。




