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夫婦の日常

夫婦の日常 #3 〜  見えているもの 〜

作者:
掲載日:2025/11/05

今日は、夫の実家に帰省している。

というか、今まさに車で向かっている途中。


片道約4時間。


あえてサービスエリアに寄り道しながら、ゆっくりと進んでいる。


夫のご両親はとても良い人たち。


それでも私は必要以上に気を遣ってしまう。過去にはこんなことがあった。


私が料理を作った翌日、お母さんが同じ料理を作ってくれた。

たったそれだけの事が、気まずくて堪らなくなり、そのせいなのか、

首に蕁麻疹が出てしまった。


状況を説明することもできず、余計に気まずい空気に……。


その時は、普段、人の感情や空気を読むのが苦手なはずの夫が、

驚くほど素早く動いた。


「なんか、つまんないから、もう帰ろうか」

「え? 昨日来たばかりだよ。友達に会ったりしなくていいの?」


「うーん、まぁ別にいいよ。また来れば。」


私は安心と、申し訳なさと、後悔と、

そして、猛烈なかゆみに首を何度も叩いた。


けれど夫が、

「恵だからね、蕁麻疹出るんだよ」と、いつもの調子で淡々と言ってくれた。


――そんなことを思い出すと、少し安心する。

夫はちゃんと私を、理解してくれているのだと。


今、私はサービスエリアでさつま揚げを食べている。


車に戻ると、夫は休憩がてらスマホでゲーム中。


私はというと、ネットニュースで気を紛らわす。

行き先への心の準備と、ほんの少しの緊張を和らげるためだ。


記事の関連するニュースの中に、『戦時中に若者が家族へ宛てた最後の手紙』

というものがあった。読んでみると、そこには、家族を思う切実な思いが綴られている。


そして、恐れや、未練のような悲しみが、温かい言葉に滲んでいる。


叫び出したい衝動を抑えて——そんなふうに見える。


読んだあと、彼らの思いの純粋さが、美しいと思えた。


同時に自分の考えている、浅はかさが、くだらなく思える。

自分に反省する。


私が黙り込んでいると、夫が言った。


「今日さ、蕁麻疹出たらすぐ帰ろうね。また来ればいいんだから」

「うん。ありがとう。流石に大丈夫だと思うけどね。」

「まぁ、恵だからね。」


そしてまた、いつも通り淡々と話す。


「そろそろ課金しようかな。今月くじあるし。」

「すればいいじゃん。そんなに無駄遣いしてるわけじゃないんだし。」


「うーん、帰ったらしようかな。チャチャっと家に行って、

俺たちの家に、早く帰ろう」


そう言って、車は走り出した。


気づけば、私の不安やモヤモヤは静まっていた。


「……あたしも課金しようかな。」

「ガチャる?」

「そこには課金しません!」


窓の外に顔を向けると、お茶畑と緑の山々が、空が広がっている。


その景色が綺麗——そう、強く感じた。


「窓開けたいっ」


「開ければいいじゃん。」

「え、ここ高速だよ。」


「そうだね。」


夫の実家までのドライブを楽しむことにする。


私に、見えている世界を——


最後までお読みいただき、ありがとうございました。人は悩みを抱えると、

自然に周りが見えにくくなってしまうように思います。


本当は、そういう時だからこそ、一旦立ち止まり、

少し視野を広げてみるのが、何かの気づきにつながるのかもしれません。


……わかってはいても、そんなに簡単にいかないのが、

人間かもしれないですね(笑)

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