表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

男の子

作者:

自分の中ではガチホラーです。

 



 西日に照らされたカーテンが、部屋を明るく照らす。


 今は冬のはずだが、私は長袖一枚と薄い生地のパンツを着ているだけ。

 真冬の季節にこんな薄着だけだと寒いはずだが、不思議なことに寒さは感じなかった。


 昔住んでいた自分の部屋に、一人立っていた。

 何をする訳でもなく、ただ部屋の中でぼぅっとしている。


 家の中には、私しかいないのだろう。

 辺りはとても静かで、何の音もしなかった。

 ただ微睡(まどろ)むようなトロリとした温もりが部屋に満ち、居心地の良い空間がそこにはあった。



 しかし突然、静寂(せいじゃく)は終わる。



 玄関から私の部屋へまっすぐ続く廊下から、ダダダと足音がしたのだ。

 開けっ放してあったドアから、何事か(のぞ)く。


 男の子が玄関から家の中へ入って来ている。

 年は四歳か五歳くらい。

 見知らぬ男の子は笑顔だった。

 半袖半ズボンの格好をしており、彼は靴を脱いで上がり(かまち)へ上がったのだろう。

 玄関は開けっ放しにしたまま、私の部屋へと続く廊下へと彼は足を踏み入れた。


 笑顔の男の子は私に向かって、廊下を駆けて来た。

 白の靴下を穿()いた足で、笑顔でまっすぐ駆けてきた。


 咄嗟(とっさ)のことに、驚いて固まる。


 この部屋の中へ入って来るつもりかと思ったが、彼は廊下の流れに沿って、壁に手をつきながら走る速度を減速して、私の目の前を通り過ぎて行った。

九十度直角に廊下を曲がって、そのまま駆けて行った。


 少しホッとした。

 私の部屋へ突っ込んでくるのかと思っていたから。


 私の部屋の前の廊下の形は、L字型の構造になっている。

 玄関をゴールとするなら、私の部屋が縦棒の終わりの位置。

 長い縦棒の位置をあの子は駆けてきたのだ。


 そして縦棒の行き止まりとなる私の部屋の前で、彼は九十度直角に曲がって、妹の部屋のドアにぶつかった。


 ぶつかったかと思ったが、ただドアにタッチしただけな気がする。

 何故なら、彼は来た道筋を戻り、私の部屋の前を通り過ぎ、玄関へ向かって廊下を駆けて行ったからだ。


 帰るのかと思ったが、彼は廊下の終わりまで近づくと、Uターンして笑顔で私の部屋を目掛けて、廊下を駆けてくる。


 ゾッとした。

 何故か、彼はこの部屋へ入ろうとするという、確信にも似た直感があった。


 硬直していた身体を素早く動かし、私の部屋のドアを勢いよく中から閉めた。

 ドン!という衝撃がドアから伝わってくる。

 男の子がドアに突進して、体当たりをされた。

 体当たりした衝撃で、(わず)かに開いたドアの隙間(すきま)から、笑顔の男の子の顔が少し見えて閉まる。


 背筋にゾワッとした怖気(おぞけ)が走る。


 そしてまた玄関側へ廊下を駆けていく音がして、また此方(こちら)へ向かって駆けてくる。

 ドン!!先程よりもドアにかかる強い衝撃に、ドアを開けさせまいと必死に抵抗する。


 (わず)かに開いたドアから、笑顔の男の子の顔が見えて閉まった。

 目を見張る。

 彼は成長していた。

 先程までは四歳か五歳の年に見えたが、今は八歳から十歳くらいになっていた。

 成長した分、彼は強い力でドアに圧力をかけることが出来たのだ。


 そしてまた、玄関へ向かって廊下を駆けていく。


 ドアに鍵があればと思うが、鍵はないのでドアを押すしかない。

 私の部屋に鍵がないのは、母親が子供の部屋のドアに鍵を掛けられると、子供は非行に走るという訳の分からない心情に基づいた経緯(いきさつ)の結果だ。


 ダダダダダダ!!

 玄関から廊下を掛ける足音が聞こえて、パニックをおこしそうになりながら、あらん限りの力でドアを外へ押す。


 ドン!!!

 とても強い衝撃がドアに走り、火事場の馬鹿力で部屋へ押し入られる事を拒否した。

 死守したドアがぶつかった衝撃で、また(わず)かに開き、力付くで閉じた。

 ドアの隙間(すきま)から見えたのは、無垢な笑顔の青年だった。


 ゾオオオッと全身の血が体の下へ落ちる。

 戦々恐々(せんせんきょうきょう)としながら、必死にドアを外へ押した。


 ドアを押す上下に置いた上の手に、温かな感触があり、目を向けると私の手に大きな手がドアを通過して、優しく重ねられていた。



今日の夢でした。

この場面の後で恐怖にかられて目覚めたので、この後の事は分かりません。

起きた後も余りにも怖すぎたので、作品に落として気持ちを浄化させる目的で、思い出しながら書きました。

夢占いで調べたところ、笑顔の男の子が夢に出ると、気力に満ちている状態らしいのですが、そんな事より私は怖かった。もっと出方を考えて、としか言えない気持ちでいっぱいです。

この状況で彼にトゥンク出来る人は強者ですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ