私を脳筋だと思っている婚約者候補達に側近が真実をばらしてくれました
教皇を倒した後が大変だった。
ピカッ
ドカーンといきなり大爆発が起こったのだ。
うーん、やっぱり聖剣を使ったのが良くなかったらしい……
慌てて、ポーラを抱っこして、ドラちゃんに飛び乗った。
そして、まだ攻撃の余波で頭を押さえているドラちゃんを励まして、空に飛び上ったのだ。
私達を見つけて攻撃してきた王国の騎士達は、援軍として駆けつけてきたエイブらの飛竜部隊が攻撃してくれた。
「リディ、今日はすまなかった」
モスリムに帰る途中でレックスが謝ってきた。
「えっ、何か謝られることがあったっけ?」
私が不審に思って振り返るとレックスが下を向いていた。
「事前に教会の罠に気づけず、リディを危険にさらした」
「えっ、ああ、あれ? あんなの誰も気づけないよ」
竜殺しの秘宝はダメージが大きかったが、私も予想だにしていない最終兵器だった。というか、黒い煙ということは闇魔術だ。光の聖女教会が、あんな暗黒の秘密兵器を使うなんて思いもしなかった。
「でも、過去の竜王様の記録とか調べれば記録が残っていたはずだ」
レックスが言ってくれるんだけど……
「うーん、でも、あれくらいどうってことないわよ。レナードの訓練に比べたらまだましだから」
私が話題を変えてあっさりと言うと、
「姫様。何をおっしゃるのですか? 私はあのような禁じられた卑怯な禁術を使って攻撃などしておりませんぞ。やるなら正々堂々と正面から攻撃します」
「そうよね。いきなり五歳の私を崖から突き落としたり、滝壺に落としたりしてくれたもんね」
私がむっとして言うと、
「ふんっ、昔のことを蒸し返すなど姫様らしくもないですな。全ては姫様のためです。それに聖剣に頼るとは何事ですか? 今回の教会のあの貧相な攻撃など、本来は無名剣をもって一撃で弾き返せないといけませんぞ」
そうレナードに言われて私は黙ってしまった。
確かにそうだ。最近敵が弱くて、少し油断しすぎていたきらいがある。
レナードの言うようにあんな卑怯な攻撃、本来ならば無名剣で返せないと……
もっともっと努力しないといけないと改めて思ってしまったのだ。
モスリムに帰ってからもベティにも、もっと事前にいろいろ考えろと注意されてしまった。
私はもっと翌朝から訓練しようと心に決めたのだ。
でも、翌朝訓練に行こうとして、いきなり宰相に捕まってしまった。
「姫様、いきなり飛び出されるとはどういう事ですか?」
ここから怒濤のお説教が始まったのだ。
「姫様は既に一国の王なのです。出撃する時は事前に重臣達の了解を得てですな……」
私はそれから黙って一時間聞いていたのだ。
言いたいことはいろいろあったけれど、一言でも反論すると倍以上になって返ってくるのだ。お母様と一緒だ。だから私はただひたすら我慢して聞いていた。
「マトライ、姫様にそんなこと言っても無駄じゃぞ。馬の耳に念仏、馬耳東風、姫様は貴様の言葉など右から左に流しているだけだ」
せっかく、私が黙って聞いていたのに、レナードの奴が余計な事を言ってくれた。
何でそんなこと言うのよ! 馬鹿レナード!
私は心の中で悲鳴を上げたのだ。
「レナード!」
マトライは眉を上げて今度はレナードを睨み付けてくれたのだ。
「そもそも貴様が一緒になって飛んで行くのが悪いのだ。何故、姫様をおとめせん。そもそもきさまは昔からだな……」
そこからマトライ宰相の怒濤のお小言がまた一から始まったのだ……
私がヘトヘトになってマトライから解放された時はもうお昼前だった。今日は訓練に行けない……取りあえず、お昼を食べに行こうとした時だ。
「リディアーヌ様!」
「ああ、我が麗しの花よ」
「このバラをお受け取り下さい」
「おい待て、俺の方が先だぞ」
「いや、俺だ」
私は花束を抱えた男達に囲まれてしまったのだ。
ええええ!
私はうんざりしてしまった。
「ええい、貴様等、どけ! もしどうしてもリディアーヌ様に婚姻を申し込みたいのならば俺様を倒してからにしろ」
ハワードが間に入って言ってくれた。
「何を言う。貴様は剣術だけだろうが」
「そうだ。俺様はこの知識でリディアーヌ様のお役に立ちたい」
「そうだ。俺様は王立学園ではBクラスだったぞ」
「俺様もだ」
「何を言う。俺様はAラスだぞ」
「そうだ。俺様もAクラスだ」
成績のことを言われてハワードは少し引いてしまった。
でも、こいつらは私に喧嘩が売りたいのか?
私はいい加減にムカムカした。
万年Eクラスだったけれど、それは私を勝手に減点したあのぼけなす学園長が悪いのだ。
失敗した。王宮も大聖堂も破壊したし、ついでに王立学園も破壊すれば良かった。
思わず私はとんでもないことを考えてしまった。
「はいはい、皆、成績の件で何か言いたいのなら、王立学園の最終試験の成績で、せめてリディアーヌ様に勝ってから言ってもらおうか」
横からレックスが私の前に立ってくれた。
「えっ、でも、リディアーヌ様はEクラスでは」
「そうだ。俺もそう聞いたぞ」
皆頷いていやがる。私はむっとした。この男達、完全に私に喧嘩売っているのだ。
「あの腐れ聖女のアナベラと一緒になりたいどうしようもない王太子の陰謀でそうなられただけだ。君たちは知らないかもしれないが、リディアーヌ様の最後の成績は8割取られていた」
レックスが援護してくれた。
そうだ。こいつら絶対に私も脳筋だと思っていたのだ。まあ、見た目は完全に脳筋だけど……勉強も少しは出来るのだ!
「えっ、最終試験でか」
「そんな馬鹿な……」
男達は絶句した。
「そうよ。私もやれば出来るのよ。
というか、試験の成績なら、レックスの方が上よ。あのどうしようもない王太子は王太子と言うだけで500点加点されていたから首席だったけれど、実際の首席はこのレックスよ。レックスより賢かったら考えてあげても良いわ」
私はそう言うと、唖然としている男達を残してレックス達を引き連れて立ち去ったのだ。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
最終決戦に進みませんでした。
続きは今夜です。
最終決戦と言えば、このネトコンで最後まで残った
『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』
https://ncode.syosetu.com/n8911gf/
ついに最終章始めました。
これから土日を中心に更新していこうと思います。
まだの方は是非ともお読みください。
面白いこと保証します。