王太子視点 大軍を率いて竜娘を討伐することにしました
バシーン
むかつくリディアーヌを婚約破棄して喜んでいた俺は、その時、目にも見えない速さでリデイアーヌに張り倒されて気を失っていた。
次に気付いた時は俺は瀕死の状態で病院にいた。
「エイベル! 良かったわ気付いて」
母上が喜んでくれたが、俺はほとんど身を動かせない事に気付いたのだ。
母上によると全治3ヶ月の重傷だったそうだ。
まさかあのか弱いリデイアーヌにあんな力が秘められていたなんて知らなかった。
がさつな田舎娘のリデイアーヌに、あのような目に遭わされたことは俺には屈辱だった。
治療師が必死に治療してくれたから、命がなんとか助かったというほどの重傷だったのだ。
俺は何としてもリディアーヌに思い知らせてやろうと思ったのだ。
でも、中々体は治らなかった。必死に治療師が治してくれたのだが、俺の体は竜の呪いがかかっているとのことで、治療師の治療魔術が効きづらかったのだ。
俺が寝ている間に、リディアーヌはアラベラの父の率いた我が国の10万の大軍を破ってくれて、次にリディアーヌの友人を捕まえたら今度は救出したついでに王宮を破壊尽くしてくれたのだ。俺は今度は逃げ遅れて、火傷を負わされた。もう踏んだり蹴ったりだった。
その上、リディアーヌはその後、古竜王国の版図で独立、あっという間に勢力をギンガルメを含む広大な地域に広げてくれたのだ。
俺はそのさまを指を咥えて見ているしか出来なかった。
そうしているうちに俺の怪我もやっと治ってきたと思ったら、今度は大聖堂を焼き討ちしてくれた。敬虔な聖女教の教皇猊下を始め多くの司祭やシスターが亡くなったという。
そのような傍若無人な行いがいつまでも許されるわけはない。
というか、俺はこの手で我が国に仇なすリディアーヌを退治しようと心に決めたのだ。
俺は父の了解を得て、半死半生の母を見舞った。
母上も、リディアーヌに張り倒されて、病床についていたのだ。
「エイベル、大丈夫なの? あなたはまだ、治ったところではないの?」
母上は俺の事を心配してくれた。
「元々リディアーヌは俺の婚約者だったのです。いつまでも、勝手な振る舞いをさせておけませんよ。必ず俺が成敗して参ります」
俺は母上に自分の決意を語ったのだ。
「エイベル、あなた、私の仇を取ってきてくれるの?」
「この命に替えましても」
「ありがとう。エイベル。でも、命などかけなくて良いわ。必ず、生きて帰ってくるのよ」
母上は心配そうに言ってくれた。
「わかっていますよ」
俺は母上に頷いた。
なあに、敵は寄せ集めの混成軍だ。
統制も我が軍のように取れてはいないだろう。
烏合の衆だ。
それに引き換え、我が軍はシュタイン王国の精鋭。罪もない、敬虔な教皇猊下を始め、シスター達を焼き殺した悪魔のようなリディアーヌは、必ず、ここで退治せねばならなかった。こちらは動員すれば、30万の軍勢が集まるはずだった。
対するリディアーヌの竜王軍は集まっても5万、絶対に勝てるはずだった。
なんと父は全騎士団、全ての領主に総動員をかけてくれたのだ。
元々シュタイン王国の人口は2千万人を誇る。そのうち軍の騎士や兵士、各領主が抱えている騎士や兵士を総動員すると50万人はいたはずだ。まあ、各地への抑え等もいるから全ては揃わないが、40万人は動員できるはずだった。
これで絶対に勝てる! 俺は勝利を確信したのだった。
軍は王都の北の平原に続々と集まってきた。
見渡す限りの一面に兵士が集まったのだった。櫓から見る様は壮観だった。
端から端が見えないのだ。
これだけの大軍を見るのは俺も初めてだった。
王都近辺の公爵家や侯爵家は元より伯爵家も領主自らが軍を率いて駆けつけてくれた。
「全部で20万の軍勢が集まったぞ」
側近のトミー・マクレガー侯爵令息が報告してくれた。
「思ったより少ないな」
俺は少し落胆して呟いていた。
「遠方の領主は遠いからどうしても集まるのが遅くなりますからな。でも、20万もいれば十分でしょう。竜王国の軍は5万ほどだと言いますからな。それも混成部隊です。我が軍の大軍を見れば多くは戦意を喪失しましょう」
今回の実務を担当するアンダーソン公爵が言ってくれた。
「そうだな。勝ちを確実にするために40万は集めたかったが、やはり難しいか?」
「それは難しいでしょう。40万は総ざらえですから。王都や国境、ドミバン族への抑えも必要ですから。当てる戦力としてはこれくらいが限界でしょう」
アンダーソン公爵が教えてくれた。
「古代竜への対策はどうなっている?」
俺は懸念事項を伝えた。竜王の唯一の戦力と言って良いだろう。
これを抑えられるかどうかが今回の作戦の要と言えた。
「我が領地の魔道具士達が開発した投擲兵器があります。これで十分かと思いますが、王都の第2魔術師団、および我が領地から50名の精鋭の魔術師をつれて参りました。これで十分でしょう」
自信を持ってアンダーソン公爵が言ってくれた。
「さようでございます。古代竜は過大評価されているといるのではありますまいか。前回、大聖堂を攻撃した時は古代竜もあまり活躍しなかったそうです。古代竜とて所詮爬虫類に過ぎません。我がシュタインの精鋭の前には手も足も出ないのではありませんか」
第2魔術師団長のゲイツが意見を言ってくれた。
「そうだな。これで攻め込むしかないか」
俺はこの戦力で決戦を挑むことにしたのだ。
「よし、明日全軍に出撃するように伝令を出してくれ」
「了解しました」
公爵の元から各部隊に指示が次々に伝えられたのだ。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
ここから最後の山場です。
ご期待下さい。
続きは明朝です。








