刺客を殴って壁に突き刺してしまいました
「はははは、やったぞ、やっと竜娘を殺してやった」
私を刺した男は大笑いをしてくれた。
大方、シュタイン王国か聖女教会から派遣されてきた刺客なんだろう。この男の服を見ると護衛の兵士の服だからその中に紛れ込んでいたということか。捕虜の中にいた男か、と私は頭の片隅で思った。
刺された私を見て、皆ぎょっとして私を見ているんだけど……
慣れているレックスとかハワード等はちらっと見た他だけで残りの刺客の相手しているんだけど……
少しは心配してよと私は言いたかった。
まあ、いい、私はお腹に少し力をいれた。
パリン
次の瞬間、私に刺さっていたナイフが粉々に消えてしまった。
「えっ?」
私を刺した男は馬鹿みたいに呆けた顔をした。
「あなた、そんなちゃちなナイフで私をさせると思ったの?」
私は馬鹿にして見下すように男に言ってやった。
「そんな馬鹿な、このナイフは聖女様に竜殺しの祝福をかけて頂いたナイフで更に猛毒のトリカブトの毒まで塗っていたのだぞ」
男は唖然として呟いた。
「本当に馬鹿よな。リデイアーヌ様は竜神様の化身であるぞ。人間の聖女ごときが竜神様に勝てるわけは無かろう」
マトライが言ってくれた。
そう言うわけでもないんだけど……確かに私は丈夫だけど今回も身体強化でナイフの切っ先を私に突き刺さるところで粉々にして柄だけ残していただけなのだ。最後にその柄を粉々にしただけなんだけど……
「そ、そんな、化け物だ。金髪の山姥だ!」
男はそう言って後ずさりしようとした。
「何ですって!」
私は男の最後の言葉を聞いた瞬間ぷっつん切れていた。
そして、余計な事を口走った男の顔を一撃で殴り飛ばしていたのだ。
バシン
大きな激突音とともに男は皆の頭上を吹っ飛んでいって
ズコーン!
と壁に突き刺さっていた。
あちゃー、またやってしまった!
後で捕まえて前後関係を調べられましたのにとか、レナードとかにグチグチ怒られたんだけど……でもそれ言いだしたら最初にドモライ子爵を斬り殺したハワードはどうなるのよ! と私は反論したのだが、あの場での護衛の行動は致し方ありますまいと右から左に流されちゃったんだけど……何か解せない。
皆は私の思いの他の馬鹿力に唖然としていたみたいだ。まあ、見た目はどこのお嬢様かというほどのしおらしい美人なのだ。誰がなんと言おうともだ!
「さすが、竜神様の化身のリディアーヌ様。このブランドン・ノール、感服いたしました」
そう言うとブランドンが跪いてくれたのだ。
「ブランドン・ノール。改めて竜神様の化身たるリディアーヌ様に忠誠を誓わせて頂きます」
「このミッチェル・モスリムも忠誠を誓わせて頂きます」
「アレン・アラカルトも忠誠を誓わせて頂きます」
ブランドンに次いで皆次々に跪きだしたんだけど……
結局私はまた、全員に跪かれることになってしまったのだ。
「これでシュタイン王国が、畏れ多くも竜神様の化身たるリディアーヌを暗殺しようとしたのは明白です。今こそ、シュタイン王国に報復の軍を起すという大義名分が出来ましたぞ」
バスター伯爵が嬉々として言いだした。
「さようでございます。今こそ、竜王リディアーヌ様のお力をシュタイン王国の奴らに見せつけてやるべきです」
「是非とも進軍を!」
辺境伯のブランドンやモスリム伯爵まで賛同しだしたんだけど、私がちらっとマトライを見ると首を横に振ってくれた。
まあ、そうだ。ここは我慢の時なんだろう。
「皆さんの言うことはよく判りました。けれども、今はまだ攻撃の時ではありません。命を狙われたと言っても私一人の命が狙われただけですから、私一人が我慢すれば良いだけです」
私は賢王宜しく言ってあげたのだ。
「しかし、リディアーヌ様。あなた一人の命とおっしゃいますが、リディアーヌ様はこの竜王国の国王陛下であらせられて、リディアーヌ様のお命が狙われたということはこの竜王国への挑戦ではありませんか」
バスター伯爵か食らいついてきたが、
「バスター伯爵、あなたの言うこととは判りますが、まだ竜王国は発足したばかりです。マトライの言うように、今は足下を固める時です。此度のことは私一人が我慢すればすむことです。それに私の我が儘で兵士達の命を危険にさらすことは出来ないのです」
私は言いながらなんて立派なことを言う王様だろうと一人悦に入っていたのだ。
「おおおお、なんと慈悲深いお言葉でしょう」
マトライがここぞとばかり褒めてくれたのだ。
「まあ、さようでございますな。リディアーヌ様がそこまでおっしゃるのでしたら、ここは我々も我慢せねばなりませぬな」
ブランドンが納得してくれて、なんとか抗議の使者を出すだけで出兵せずにすんだ。
「マトライも余計な事をするものじゃな。どのみち、シュタインとはこのままで終わらないのだから、さっさと終わらせれば良いものを。姫様がまたぷっつん切れて飛び出すのは時間の問題だというのに」
レナードがブツブツ言っていたが、私は無視した。
私はそう簡単に飛び出したりしないんだからと心の中で呟いたのだ。
ここまで読んで頂いて有難うございました。
リディがどこまで我慢できるのか?
我慢できないと思われる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』
https://ncode.syosetu.com/n8911gf/
ついに最終章始めました。
これから土日を中心に更新していこうと思います。
まだの方は是非ともお読みください。この12月発表のネトコンで最終選考まで残った作品です。
面白いこと保証します。








