聖女教教皇視点 竜娘を罠にかけることにしました
「何だと、ポプキンスが失敗したと申すのか!」
私はその報をジョスリンから聞いて驚いた。
私を振って大恥をかかせてくれたエリーゼを私の前に跪かせて、泣きわめかせてやろうと期待していたのが、それも出来なくなったのかと私は少し落胆した。
「はい。さようでございます」
その私の落胆も含めて、ジョスリンが頷いてくれた。
「奴には聖騎士団一個師団を付けていただろうが! その騎士団の連中はどうしたというのだ?」
「魔女を拷問して白状させていたところに、竜娘が一群の飛竜を率いて侵攻してきたそうで、聖騎士団はその竜娘の前にほぼ壊滅したそうにございます」
「おのれ、竜娘め! 爬虫類の分際であくまでも我が聖女教会に楯突くというのか!」
私は手に持っていたグラスを地面に叩きつけたのだ。
バリン!
大きな音を上げて、グラスが砕けて飛び散った。
「その上、我々が調べた情報よると、竜娘らは今度は古竜王国の復活をもくろんでいるようです」
ジョスリンはとんでもないことを報告してくれた。古竜王国はその地に100年前まで存在した現地の未開人達が爬虫類を崇めていた王国だ。我が宣教師達が聖女様の教えを広め、未開人共に人の理を教え込ませて最近やっと人らしくなってきたと安心していたところだったのだ。竜娘の攻撃によって現地の我が神聖なる聖女教会は完膚なきまでに破壊されたそうだ。
「何だと、奴らはまた、爬虫類の王国を復活させるというのか!」
私は思わず椅子から立ち上っていた。
「各地の領主に国王の就任式に出るようにと招待状を送っているようです」
「おのれ、その就任式に参加しようとする領主達には直ちに破門すると伝えよ」
「判りました」
私の怒りに満ちた声に、ジョスリンは頭を下げてくれた。
「して、竜娘はいかがなさいますか? このまましばく様子見いたしますか?」
「そのようなことが許される訳は無かろう」
ジョスリンの言葉に私は黙って見ている訳には行かないと強く思った。
このまま座して見ていれば絶対に良い結果にはならない。竜娘を調子に乗らせたら、竜娘は次々に回りの領地を占領していくやもしれない。気の触れた付近の領主どもが、愚かにも竜娘の傘下に入ろうとするやもしれぬ。それを事前に防ぐためにはできるだけ早く、対処せねばなるまい。
その為には竜娘をなんとか排除する案を考案しないといけないのだ。
しかし、1万の聖騎士をつけたポプキンスでも、うまく行かなかったのだ。ここは生半可なことでは難しいだろう。
私ははたと良い案がないかと額を押さえた。
「猊下、この大聖堂には対竜戦闘用の最終兵器がございます」
ジョスリンが言い出した。
「竜殺しの秘宝か」
私も前任の教皇から聞いたことはあった。爬虫類の輩と戦う時は大聖堂に最終兵器が埋め込まれていると。その名が竜殺しの秘宝。なんでも、強大な竜の力を弱める効果のある最終兵器だそうだ。
「はい。初代聖女様がお作りになられた物で、大聖堂に取り付けられた、竜の力を無効化する魔方陣でございます。一度王都に攻め込んできた竜王軍を撃退したと言い伝えがございます」
ジョスリンが補足してくれた。
「それを使うというのか?」
「はい。確実に竜娘の力を弱めるにはもはやそれに頼るしか無いのではないかと思います。ここは勢いに乗っている竜娘を撃退するために、是非とも必要なものではないかと思うのですが」
「そうじゃな。この秘伝の魔方陣が作動すればさすがの竜娘も力が奮えなくなろう」
私も頷いた。
「おそらくそうなりましょう」
「しかし、竜娘をここまでおびき寄せねばならんぞ」
私は懸念事項を伝えた。いくら最終兵器があってもここまで竜娘が来ないことには使いようがない。
「お任せ下さいませ。それについても私めに考えがございます」
「どうするのだ?」
「竜娘のクラスメートがまだ何人か王都に残っておりまする。そやつ共をしょっ引いてきて、異端審査にかけるのですよ。今回みたいに拷問にかければ、友人思いの竜娘はすぐに飛んで参りましょう」
鬼畜な案をジョスリンは考えてくれた。確かにスマートな案とは言えないが、ここはなりふりは構っていられない。
「そうだな」
私は頷いていたのだ。
「のこのこと竜娘がやってきたところを竜殺しの秘宝を発動させて、力が使えなくなったところを殺すなり捕まえるなり、好きにすれば宜しかろうかと」
「そうじゃな。傷ついた竜娘を今までの恨みも込めていたぶり殺すのも良いかもしれんな」
私はにやりと笑ったのだ。
「さようでございますな。我が方でも、念には念を入れて暗部の最精鋭を配置いたします。例え魔方陣が効かなくても竜娘の攻撃は制限を受けるはずです。そこをやります」
「ふんっ、竜娘め。何が竜王国だ。ふざけたことを申したことを、私の前に跪かせて命乞いをさせて後悔させてやる。必ず思い知らせてやるわ」
私達はそう言うとお互いに顔を見合わせて高笑いしたのだった。
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