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兄嫁を張り倒しました

 ブスリ

 私に兄嫁のナイフが刺さったのだ。

 私はビクッとして、そのナイフの柄を握った。


「姫様!」

 慌てたエイブが私に駆け寄って来ようとした。

「リディ!」

 今まで黙っていたお母様が私に駆け寄って来ようとした。

 私は二人を視線で制したのだ。


「あっはっはっはっは」

 いきなり、兄嫁が笑いだした。

「これは我がギンガルメ王家に代々伝わる竜殺しの剣よ。いくら竜姫のあなたでも、ひとたまりも無いわ」

 兄嫁は喜んで喚いていた。


「これで、聖女様に逆らう爬虫類のやからは終わりよ」

「ふうーん、この件は聖女教会も絡んでいるんだ」

「そうよ。我ら人間が、爬虫類である竜なんかに負けるわけはないのよ。その剣は遥か昔に我が王が教会から頂いた聖剣なのよ。これで忌々しい、爬虫類に頭を下げることももうないわ」

 そう言うと、兄嫁は高らかに笑ってくれたのだ。

「ふーん、そうなんだ。今までそんな不埒な事を思って竜神様にお祈りしていたのね」

「違うわ。私は聖女様にお祈りしていたのよ」

 兄嫁はますます訳の判らないことを言い出した。

「竜神様の子孫の兄上の嫁なのに、本当に見事なまでに罰当たりな嫁なのね」

 私はいかにも馬鹿にしたように見下してやった。

「ちょっと、あんた、何故立っていられるの? 竜殺しの聖剣は霊験あらたかで、即座に効くはずなのに……」

 兄嫁がやっと気付いて、驚いて聞いてきた。


「えっ、何故って、このちゃちなナイフの事言っているの?」

 私は握っていた、ナイフの柄を離すとポトリと柄だけが落ちた。ナイフの剣先は無くなっていた。


「えっ?」

 兄嫁達の目が点になった。

「あなた、竜殺しの剣が……」

「こんなちゃちな剣が私に通用すると本当に思ったわけ?」

 私は心底馬鹿にしたように言ってやった。

 その剣の柄を踏みつけると、バキバキと剣の柄が粉々になった。

「なんか当たったと思った瞬間、溶けて消えちゃったわよ」

 私がにこりと笑ってあげた。


「ヒィィ、ヤバい、姫様が怒っている」

 さああああっとザカリーが逃げるように下がった。

「金髪の山姥の怒りだ」

 余計なことを言ったザカリーをひと睨みで黙らせると、私は兄嫁を睨み付けたのだ。


「そ、そんな馬鹿な。爬虫類の化け物が、聖剣に勝てるわけが……」

「よくも竜神様のこの国に来て、竜神様を馬鹿に出来るわね。あなた、何しにこの国に来たの?」

「それは爬虫類から人間の世界にするためよ。それに、嘘よ。竜殺しの剣は完璧だったはずよ。聖女様にも加護をかけてもらったんだから」

「聖女って、あの性悪女のアラベラの事? 道理で剣が腐っていたと思ったわ。そんな奴が加護をかけた剣で私がどうにかなるわけ無いでしょ」

 私が一歩、兄嫁に近寄った。

「そして、お義姉様。そこまで竜神様を馬鹿にして、この国に無事にいられると思うの?」

 私は一応警告してあげた。


「何言っているの? この国は聖女様の国になるのよ。聖女教会に逆らって生きていけるわけないわ! この竜も聖女様の竜になるのよ」

「ドラ、そこを退きなさい」

 私はぷっつん切れていた。


「ピッ」

 瞬時にドラちゃんはコーデリアの膝の上から降りたのだ。


「世界最強の古代竜とうちの姫様が争ったらどちらが勝つか、見たか、見たか! 姫様の圧勝だな」

「そんなの当然だろ」

「いやあ、ドラも結構強いと思っていたんだけどな」

「本気で姫様怒らせたら勝てるわけ無いだろ」

「本当だな」

 私は余計なことを話しているザカリーとトマスにも切れて、小石を蹴飛ばしたのだ。

 小石は二人の目の前を高速で通り過ぎて、

 ダアアアアン


 大音響とともに地下に穴を開けていた。


「ヒィェェェェェ」

「申し訳ありません」

 二人は私に土下座してくれたんだけど。


「悪霊退散悪霊退散」

 今度は兄嫁は護符みたいなのを前に突き出して祈りだしたんだけど……

「何をしているわけ?」

「変ね。聖女様の護符は竜のお化けにも効くはずなのに」

 兄嫁の言葉に私は更に切れてしまった。

 ここは竜神様の本拠地インスブルク王国なのだ。

 その腐った根性の国王夫妻がいる国では無いのだ。あの聖女自体と竜神様を比べるのもおこがましいと言えた。その崇高なる竜神様をここまで馬鹿にするとは!

 そもそもこの兄嫁も竜神様の前で兄と夫婦の契りをしたはずなのに!

 ここは竜神のお使いと言われる私が、この女に目に物見せるしか無いだろう。


 私は未だに私に訳の判らない護符を突き出して祈る兄嫁の手から護符を奪い取った。

「ヒィィィィ、なんでなんで効かないの」

「だから言っているでしょう。ここは竜神様の国なのよ」

「そんな馬鹿な。爬虫類に聖女様が負けるなんて」

「いい加減におし」

 私はそう言うと兄嫁を張り倒したのだ。


「ギャッ」

 悲鳴を上げて兄嫁はお兄様を巻き込んで一緒に飛んで行った。

 そのまま牢の鉄格子にぶち当たったのだ。


 ガシャーン

 大きな音を立てて鉄格子の中に兄嫁の顔が挟まっていた。

「貴様、良くも殿下を」

 護衛騎士が遅ればせながら私に立ち向かってきた。


 パシーン、パシーン

 2発で騎士達も吹っ飛んでいった。


 兄嫁の愚痴を聞いたから時間がかかったが、実際の制圧は数秒で片がついたのだった。


ここまで読んで頂いて有難うございました

怒ったリディの圧勝でした。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

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