隣国の大軍を宝剣一閃で潰走させました
「これ以上、ギンガルメに好きにはさせない。ドラちゃん!」
私の声で、小さくなっていたドラちゃんは瞬時に大きくなった。
「姫様、我々も」
飛竜騎士団の面々が申し出てくれたが、
「あなたたちは王宮解放の準備をして。飛竜は連絡用に二騎ついてきてくれたら良いわ」
「そういうわけにも参りますまい。第三部隊は姫様と一緒に行け」
エイブが命じてくれた。
「リディ、俺も」
「いやらしいレックスは私の後ろに乗るのは禁止よ」
「いやだからあれは、落ちそうになってだな……」
「ふん」
必死に言い訳するレックスを私は無視した。
「では、リディアーヌ様。後ろには私めが」
やっと追いついてきたハワードが何か言ってきたが、
「ハワードあなたも王宮解放の準備をして」
「そ、そんな」
ショックを受けるハワードを残して私はドラちゃんを飛び出させたのだ。
「第三部隊もゆっくり来て。ギンガルメの国境まで私は先に行くわ」
「姫様!」
私は第三部隊の面々も後にして、ドラちゃんを一気に加速させたのだ。
今回は後ろの人間が気絶することを心配する必要はまったく無かったので、全力で飛ばす。
山をあっという間に抜けて、地上500メートルくらいを全力で飛ばした。
ギンガルメ王国との間には大きな湖があった。
南部は切り立った崖だったが、北部は少し開けたところがあって、そこに砦があったのだ。
この砦はシュタインとの国境の砦と違って立派な城作りだったが、兵士はほ100名ほどしか居ないはずだった。
今は王太子妃をギンガルメから迎えているはずだから、本来は友邦のはずで、今までは警戒する必要も無かったのだ。
一応、国境の壁は作られていて通れるのは水上か砦だけだった。
上空から見るとその砦の前に一万の軍が今にも押し入ろうとしているみたいだった。
「おい、竜だ」
「黄金の竜だぞ」
「姫様だ」
「姫様が帰ってこられたぞ」
兵士達が私達を見て歓声を上げた。
「ギャオーーーーー」
ドラちゃんが咆哮して、砦の前に向かう。
「竜だ」
「竜が来たぞ」
慌てた敵兵が下がった。
私はドラちゃんをその前に着陸させたのだ。
「姫様、来て頂いて良かったです」
司令官のムスタフは私を見て涙目になっていた。
「その方は、インスブルク王国を追放されたリディアーヌでは無いか」
敵の将軍とおぼしき無礼者が何か叫んでいる。
「あの無礼者は誰?」
私がムスタフに聞くと
「何でも、ギンガルメの全権将軍で王太子殿下の依頼を受けてこの国の中に入ろうとかふざけたことを言ってくれまして」
「我は貴国の王太子殿下から依頼を受けて参ったのだ。追放された平民風情が我を邪魔するのか?」
傲慢な男は叫んでくれた。
「本当に、ギンガルメの奴らは礼儀も知らないのね。我が国に軍を派遣するなど愚の骨頂。今すぐ立ち去らねば侵略の徒と見なし、攻撃するがそれでも良いのだな」
私は一応警告してやった。
「何を言う、貴様こそ追放された王女では無いか。平民風情が王太子殿下の命に反するのか」
傲慢将軍が言ってくれた。
「何を言っているか定かで無いが、私はこの竜神様を祖にするインスブルクの竜姫、リディアーヌ・インスブルク。我の横に竜神様の使いの金の竜が居る限りインスブルクの全軍の指揮権は我にある。王太子が何を言おうが我が命が最優先されるのだ」
「なんだと、貴様王太子殿下に反逆するのか」
将軍は理解できなくて聞いてきた。
我が国は黄金の古代竜を連れた初代様が打ち建てられた国で、竜神様のお使いの金の竜を連れた者が軍を統べるのだ。それは古からの習わし。
もっとも金の竜を連れたのは私は3人目だそうだが……
だから追放されようが、王女で無くなろうが、私が竜姫であるのは変わらないのだ。
すなわち、全軍の指揮権は私にある。
「ふんっ、貴様等ギンガルメの不逞の徒が兄上を扇動して反逆を起したのはもう調べがついている。そして、私はインスブルク王国の竜姫として、その行いを許すわけにはいかん」
そう言うと私は背から聖剣を引き抜いたのだ。
「いかん、姫様が聖剣を抜かれたぞ」
「全員伏せろ」
インスブルクの兵士達は全員伏せてくれた。
「ふん、やろうというのか。愚かしい。全軍攻撃開始」
空気の読めない傲慢将軍が叫んだ。
「「「わああああ」」」
敵が雄叫びを上げて突撃してきた。
「喰らえ!」
私は宝剣を振り下ろしたのだ。
バシーン
金色に光った宝剣から光が発して私の振り下ろした先にいた傲慢将軍も兵士達も瞬時に蒸発していた。
一直線に光が走り、その先にある物が次々に破壊されていく。
その光はギンガルメの国境の城をも一瞬で破壊していた。
私の攻撃で、将軍もろとも軍の半数が消滅していた。
残った兵士は唖然と立っていた。
「ギャオーーーー」
そして、ドラちゃんが雄叫びを上げてくれた。
「ギャーーーー」
「殺されるぞ」
「化け物だ」
「金の山姥が出たぞ」
兵士達が叫んで一目散に逃亡していった。
でも、金髪の山姥って何なのよ!
金髪の山姥って!
私は納得いかなかったのだ。
リディの怒りの一閃でギンガルメの大軍は逃亡しました
次は王宮解放です。
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