大国国王視点 小娘の征伐を辺境伯に任せました
俺はクラーク・シュタイン、この大国シュタイン王国の現国王だ。
俺の父の前国王は破天荒で天才型、やることなすこと何故か全て上手くいって、賢王の呼び名も高かった。
でも、子の俺からしたらたまったものではなかった。勝手にいつの間にか外遊するわ、勝手に同盟を結んでくるわ、勝手に俺の息子の婚約者を決めてくるわ……
息子の婚約者なんて、小国インスブルク王国の王女だった。インスブルク王国なんて我が国の公爵領よりも小さい国だ。
一応我がシュタイン王国は大国なのだ。なのに、そんな小国の王女を婚約者にしてどうするのか?
見た目も特別きれいでもない。あかぬけてもいない。礼儀作法もなっていない。どう見てもど田舎の王女で、我が国の王太子の婚約者としては不適格だ。せめて帝国の王女とか、もう少し大きな国の王女にしてほしかった。
でも、父はその理由を説明するでもなく、
「これでシュタイン王国も安泰だ」
と一人で悦に入っていた。
勝手に決められた俺にしたらたまったものではなかった。
妻もうるさかったし……
何でも、剣術の腕はたいしたものがあるのだとか。
いやいやいやいや……大国の王太子の嫁の基準ではないだろう!
騎士の妻ではないのだから。
その娘は、この国の学園にやってきて、女だてらに剣術部に入っていた。
意味がわからなかった。
でも、それを見て父は喜んでいたと言うから更に訳が判らなかった。
大国の王太子の婚約者を父の気まぐれで決めていいのかと唖然としたものだった。
まあ、父が亡くなれば決め直せば良いかと思ったのだが、父の遺言がその娘との婚約だけは何が何でも破棄するなというものだった。
まあ、別に我が国は大国、王太子妃の趣味が剣術でもびくともしないだろう。
息子には悪いが俺は諦めた。
だが、それに不満な妻と息子がいろいろ画策してくれたのだ。息子は聖女と言われた教会が押している公爵令嬢と結婚したいみたいだった。
暗部から報告を受けたが、お俺は黙認したのだ。教会に恩を売るのも良いかと。
それに小国の王女を婚約破棄したところで大した影響はないと。
でもそれは甘かったのだ。
その結果、息子は3ヶ月の重傷を負わされ、娘を追った暗部は精鋭が殲滅された。
怒り狂った俺は、10万の精鋭をインスブルク征伐に派遣したのだ。
万全だったはずだ。
しかし、その精鋭10万はその娘によって殲滅されたのだ。
さすがの俺も戦慄した。
父はこれが判っていたのかと。
娘の力が10万の精鋭よりも上回ったのだ。
でも、俺様は信じられないものがあった。
これは嘘に違いないと。
そして、娘を今度は呼び出させようとしたのだ。
呼び出して王宮で処分すれば良いと。
今度は魔術師団の精鋭を準備させたのだ。
しかし、娘は王宮に乗り込んできて、なんと精鋭の魔術師団を殲滅してくれたのだ。
我が妻も重傷を負わされた。王宮も壊滅したのだ。
もう踏んだり蹴ったりだった。
でも、俺はまだ信じられないものがあった。
これは何かの間違いに違いないと。
それに我が軍はまだ40万の戦力が残っているのだ。
まだまだ大丈夫だと。
「陛下、大変でございます」
そこに宰相が駆け込んできたのだ。
「今度は何があったのだ!」
俺様は不機嫌に聞いていた。
「アラカルト男爵領にあの娘が現れて、占拠いたしたとの方でございます」
「あの反逆罪でホーキンスに捕まえるように指示した男爵か。やはり小娘と繋がっていたのだな」
俺は苦虫をかみつぶしたような顔をしていたのだと思う。
「娘はあろうことか、このような檄文を周りの諸侯に送っているとのことでございます」
「何だと!」
俺はその檄文を見て激怒した。
「誰が変態国王じゃ! 俺はホーキンスにアラカルト男爵夫人を襲えなど一言も命じておらんわ! あいつが学生時代から募らせた欲望を暴走させて勝手に襲ったのだろうが。ホーキンスはどこにおる」
俺は思わず叫んでいた。
「ホーキンスは男爵領で娘に股間を蹴り潰されて張り付けの刑に処せられているとか。その看板に、陛下から男爵令嬢を襲うように命じられましたと書かれていたと暗部からの報告が上がっております」
「直ちにその看板を下ろさせて、ホーキンスを処分しろ」
俺は命じていた。
「陛下、報告してきた暗部のものが看板の破壊とホーキンスの処分を行うと連絡したきり、連絡を絶ちました。おそらく娘に殺害されたと思われます」
宰相が役に立たない情報を教えてくれた。
暗部も主力が小娘に殲滅させてから質が落ちていた。
どんどん役に立たない奴が増えているのだ。
この王宮跡に立てた、臨時宮は、掘っ立て小屋だし、再建計画もまだ立っていないのだ。
このままでは大国の矜持が保てない。
「ええい、こうなれば致し方ない。辺境伯に命じて付近の諸侯を連合して小娘を討伐するように伝えるのだ」
「よろしいのですか? 辺境伯の息子が小娘の軍におりますが」
「かまわん。小娘の軍も父相手にはやりにくかろう。お互いに潰し合いをしてくれれば手間も省けるわ」
俺はそう思ったのだ。それに辺境伯の剣術はおそらく王国一だ。いかに小娘が剣術に優れているとはいえ、辺境伯には勝てないだろう。
「ついでに第二騎士団も派遣しろ」
「騎士団長の息子も敵方におりますが」
宰相は言外に止めた方が良いのではないかと言っていたが、どのみち使えないのならばさっさと判明させた方が良かった。
付近の軍を糾合すれば10万とは言わずとも5万は集まるはずだ。
それだけあれば男爵領を落とすことも可能なはずだ。
俺は妻と息子に怪我させた相手の処分を剣術自慢の辺境伯に託したのだった。
ここまで読んで頂いて有り難うございます
次は剣術自慢対決です。
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