小国王女の親友視点 王妃に殺されそうになっていた時に親友が竜に乗って助けに来てくれました
私は子供の頃よく外で一人で遊んでいた。
とある晴れた日だ。
私が外で1人遊びをしていたら、ふとした拍子に空を見上げた。きれいな青いお空だった。
でも、何か点が見えた。
「えっ?」
私は目をこらした。
それはどんどん大きくなってきた。
ドシーン
あっと思っている間に大きな音がして地面に落ちてきたのだ。
私が慌てて駆け寄ると、落ちた衝撃で開いた穴にはそこには尻餅をついた私と同じ年くらいの女の子がいたのだ。
私は驚いた。
「うわあ、失敗しちゃった」
女の子は笑ったのだ。
それは天使かと思えるほどきれいな子だった。
「あっ、ごめん、怪我しなかった?」
その子は驚いて、目を見開いている、私に声をかけてきた。
「あなた、天使様なの?」
「えっ?」
私の質問にその子は驚いたみたいだった。
「だって、お空から降ってきたし、落ちても平気なんだもの」
「うーん、まあ、そんなものかな」
女の子は苦笑いしていた。
「ねえ、お空の上って、どんな所なの?」
私はその子に聞いていた。
「うーん、空を飛ぶととても気持ち良いよ」
その子は教えてくれた。
私もいつか飛びたいと思ったのだ。
ばしゃっ
冷たい!
頭の上から水をぶっかけられて私は目を覚ました。
「いつまで寝ているの? さっさと起きなさい!」
そこには山姥のように目をつり上げた王妃がいた。
パシーン
「うっ」
痛みを感じた。
私はその王妃に鞭で打たれていた。
そう、ずうっと鞭で打たれているのだ。
あまりの痛さに気絶すると水をぶっかけられて起こされるのだ。
「あの小娘を呼ぶ気になった?」
王妃と名のついた山姥は私に聞いてきた。
私は軽く首を振った。
最初は威勢良く反論していたのだ。でも、そのたびに鞭打たれて、もう、答える気力もなくなっていた。
「どうだ。キャメロン、この小娘はリディアーヌを呼ぶ気になったのか?」
そこにはなんとこの国の国王が立っていたのだ。
私はこんな形で国王に会うことになるなんて思ってもいなかった。
「いいえ、この小娘は強情なのよ」
パシーン
パシーン
「ギャッ」
力任せに鞭打たれて私は思わず悲鳴を上げた。
「いい加減に来るように手紙を書きなさい!」
王妃は叫んでくれた。
「ぜ、絶対に呼ばない」
私はもうやけだった。
「何ですって!」
王妃は更にいきり立ってくれた。
「まあ、待て」
そこに国王が前に出てきた。
「小娘、貴様、アラカルト男爵家の娘だな」
私は頷いた。
「男爵がどうなっても良いのか?」
「な、何をするの?」
私は思わず国王を見た。
「貴様が、リディアーヌをかばうということは、我が国に逆らってインスブルクの肩を持つということだ。すなわち反逆罪だ」
「えっ」
私の頭は真っ白になった。
反逆罪?
友人を殺させないために呼ばないということが反逆罪になるの?
私には信じられなかった。
「反逆罪ともなれば当然連座で貴様の両親も処刑だ」
「そんな、や、止めて!」
私は頭が真っ白になった。
私のために両親を殺さすなんて出来ない。
「ならばリディアーヌにここに来るように書面を書け」
国王は鬼畜な事を言ってくれた。
前国王陛下は名君と言って良いほど、臣民の事を考えていろいろやってくれたと聞いていたけれど、この国王はくずだ。普通国王がそんなことをいうのか?
まあ子供がエイベルだからこの子あってこの親だと言えなくはなかったが……
「どうだ、書く気になったか?」
国王は聞いてきた。
「出来ない」
「何だと、もう一度言ってみろ!」
「友人を売ることは出来ない」
ガン!
その瞬間、頬を衝撃が襲った。
国王に殴られたということがおぼろげながら判った。
「貴様、男爵の小娘のくせにこの俺様の言うことが聞けんのか!」
私は何度も殴られたと思う。
そして、意識をなくしていたのだ。
それからどれくらい経ったかよく判らなかった。
気絶するたびに水をかけられてまた鞭打たれた。
「小娘よ。お前も馬鹿よな。さっさと手紙を書けばこのような目に遭わなくても良かったのに。両親共々、処刑されなくても済んだものをな」
王妃が哀れみの目で私を見てくれた。
でも、私は首を振ったのだ。
両親からもいつも言われていた。友人を絶対に裏切ってはいけないと。
「しかしな、せっかく貴様が努力したことも無駄になる」
王妃が笑ってくれた。
「な、何を」
したのか私は聞けなかった。
「貴様の筆跡を真似て捕まったから助けてほしいとリディアーヌに手紙を送ってやったのよ」
王妃は悪魔のような笑みを浮かべてくれたのだ。
「うそ……」
私は絶句した。
そんな、そんな手紙リディが見たら絶対にやってくる。
「リディアーヌは剣術の腕は立つみたいだけど、魔術はからきしだそうね」
王妃が言ってくれた。そうだ。リディは放出系の魔術はほとんど使えなくて魔術の点数はそんなに高くなかったのだ。
「そう、我らの魔術師団の待つところにのこのことあの小娘がやってくるのよ」
「や、やめて」
「ふん、今更遅いわ。今回は我が精鋭の魔術師団がお出迎えしてあげるのよ。
あなたも小娘がやられる様をそこで見ていれば良いわ。1週間もせずに来るはずだから。尤も一週間もあなたが生きていられるかどうか判らないけれど」
そう言うと王妃は笑ってくれたのだ。
「そう、それと、この男を捕まえたわ」
王妃が合図すると黒ずくめの連中が縛られた血まみれのアーチを地面に放り投げてくれたのだ。
「アーチ」
私は悲鳴を上げた。
「一人であなたを助けに来たそうよ。本当にけなげね。もっともあっさり捕まってしまったけれども」
王妃は笑ってくれた。
「ベティ」
「アーチ」
私は驚いた。なんでリディと一緒にインスブルクに行ったアーチがここにいるのよ!
「こいつら」
怒ったアーチが暴れだそうとして、黒づくめの男達に抑えられていた。
「ふん、貴方たち二人もリディアーヌと一緒に殺してあげるわ」
そう言うと王妃は笑ってくれたのだ。
こいつは本当の悪魔だと私は思った。
でも、その瞬間だった。
ドカーン
遠くで爆発音がしたのだ。
「どうしたの?」
王妃が聞いていた。
「はっ、すぐに調べます」
黒ずくめの男が外に出て行った。
ドカーン
ドカーン
しかし、続けざまにどんどん爆発音が近づいてきた。
そして、ドカーーーン
大音響と共に壁が吹っ飛んでいた。
そして、そこには巨大な竜の顔が覗いていたのだ。
「キャーーーー」
竜の巨体に驚いて王妃が悲鳴を上げた。
でも、私はそれどころではなかった。
竜の頭の上からリディが飛び降りてくるのが見えたのだ。
何とリディは王妃の真上に飛び降りてくれて、その前に飛び降りてくれたのだ。
私は逃げてと叫ぶのも忘れて唖然としていた。
リディは今まで散々私を鞭打ってくれた王妃の顔を踏み台にしてくれたのだ。
そして、私に駆け寄ってきてくれた。
「ベティ!」
「リディ」
私はかろうじて声が出せた。
「良かった生きていて」
リディが言ってくれたが、私は逃げてと言おうとして、もう口が動かなかった。
そう、魔術師達が待ち構えているここにリディは来てはいけないのだ。
でも、私の心配は杞憂だった。
リディはあっという間に魔術師達を退治してくれたのだ。
私はリディがこんなに強かったなんて知らなかった。
獅子奮迅するリディは伝説の古竜王国の始祖、竜王様みたいだった。
リディは最後に王妃の胸ぐらを掴むと持ち上げてくれたのだ。
「ヒィィィィ」
王妃が悲鳴を上げてくれた。
「キャメロン。私の親友を傷つけた罪、地獄に落ちて詫びよ」
バシーン!
リディは王妃を私の代わりに張り倒してくれたのだ。
私はその後どうなったかよく覚えていなかった。
でも、リディに助け出されたのだけは判ったのだった
ここまで読んで頂いてありがとうございました
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話はまだまだ続きます。
次は逃亡する王女軍団の一行のお話です。
父にたんかを切って国を飛び出たリディ。
帰る国もなくどうするリディ?
今夜更新予定です。