大国の王宮を灰燼と化しました
トーマスが近衛の騎士に捕まっていた。
ナイフを突き付けられて……
「リディアーヌ、剣を捨てなさい! この男を殺しても良いの?」
鞭を片手に顔に私の足跡をつけた王妃が言ってくれた。
最悪だ!
別にトーマスだから無視して、攻撃しても良いけど……確かこいつはこの前余計なことを言ってくれていたし……
私は余計なことを考えたが、
「姫様」
真っ青な顔でこちらを見てきたトーマスが可哀相になって私は仕方がないと諦めたのだ。
「判った。私とその男を交換しろ」
私が言うと
「貴様、この状況で私達に条件を付けるのか?」
「何を言っているの? ドラちゃんが暴れたらこんな王宮一瞬で灰燼よ。ドラちゃん」
「ギャオーーーー」
ドラちゃんが雄叫びしたのだ。
ダダダダダダ
大きく建物が震えて、天井にヒビが入った。
「な、何をするのだ。この者を殺して良いのか!」
王妃がヒステリックに叫んでくれたが、
「やれるものならやってみればよいわ。その代わり貴方たち全員ドラちゃんが皆殺しにしてくれるけど」
私は平然と言ってやったのだ。
「姫様!」
トーマスは泣きそうな顔で私を見てきた。
あなた男でしょ。どんと構えていなさい!
私は目で合図したのだ。
「どうするの? 私とその男を交換するのかしないのか? さっさと決めなさい。ドラちゃんは短気よ」
私は脅してやった。
「判った、リディアーヌ、まず貴様が剣を捨てろ。その上でこちらまで歩いてこい」
王妃が言ってくれた。
「嫌よ。先にその男を解放しなさいよ」
私が要望した。
「そんなことが出来るか! 貴様は解放した瞬間剣で攻撃してくる予定だろうが」
「後ろにたくさんの魔術師がいるんだから問題ないでしょ。私が攻撃したら反撃すれば良いじゃない」
王妃に私が反論すると
「いや、貴様が剣を捨てるのが先だ」
王妃は譲らないみたいだった。
「後ろの魔術師団の皆さん。誰か王妃に言ってあげなさいよ。私なんてたいしたことはないから先に解放して大丈夫だって」
「さようでございます。妃殿下。こんな小娘、例え剣を持っていても我々魔術師団がいれば問題ありません」
魔術師団長が言ってくれた。
「何を言っているの? 貴方たちこの小娘の実力を過小評価しすぎよ」
王妃は的確な判断をしている。
仕方がない。潮時か? トーマスが失禁してくれても困るし……
「高々小娘一人に大げさね」
私は笑ってやった。
「ええい、早く剣を捨てるのだ!」
王妃がキイキイ声で叫んだ。
仕方がない。タイムリミットみたいだ。
「判ったわ」
私は頷いた。
「リディ!」
レックスが止めろと言ってきたが、ここは無視した。
私は私についてきた聖剣、決して王宮から黙って持ちだしてきたものではないを王妃の足下に放ってやったのだ。
そして、ゆっくりとトーマスの所に行くと
「代わりなさい」
私は命じていた。
トーマスをレックスの方に追いやって、人質を強引に代わってやったのだ。
「よし、よくやったぞ」
王妃が笑って言ってくれた。
「小娘、良くもわらわのエイベルを傷つけてくれたな」
つかつかと王妃は私に近づいてくると私を張ってくれたのだ。
「ギャッ」
でも、手を押さえて地面に転がったのは王妃だった。
私は強化魔術でその瞬間頬を強化したのだ。
「何をしているの?」
私は馬鹿にして王妃を見下した。
「貴様、王妃様に何をした」
私を捕まえている男が叫んできた。
「何もしていないわよ。日頃お箸しか重いものを持ったことがなかったから私を張って手を痛めたんじゃない?」
私は完全に馬鹿にした口調で言ってやった。
「貴様、何を言っている。そんな訳ないだろう」
男はそう言うと私の首筋に剣を突き立てようとして、ボキンと剣が折れてしまった。
「えっ?」
男は唖然とした。
次の瞬間その男に私は肘鉄を食らわせてやった。
男はその後ろにいた魔術師団の面々を巻き込んで壁に突っ込んでいった。
「おのれ、やれ!」
後ろにいた魔術師団長が命令する前に私は捨てた聖剣に手を伸ばしたのだ。
バシーン
聖剣はのたうち回っていた王妃の頭に当たって、私の所に飛んで来た。
王妃は更に鼻血混じりの凄惨な顔になっていた。
魔術士達が私に爆裂魔術で攻撃してきたが、私はその攻撃を全て聖剣ではじき返したのだ。
ドカーン
ドカーン
ドカーン
続けざまに爆裂魔術が破裂して男達が吹っ飛ぶ。
私は魔術は素では使えないが、聖剣は魔術を跳ね返せるのだ。
「貴様、何をした」
私を睨み付けて血まみれになりながら王妃が叫んでいた。
「それを言うのならば、よくも私の親友を傷つけてくれましたね。キャメロン」
私は王妃を呼び捨てにした。
もうその息子が私の婚約者でないから呼び捨てても良いだろう。
「な、わらわを呼び捨てにするな!」
キャメロンはそう叫んでくれたが、こいつは自分の立場が判っているのか?
「何か言った?」
私は王妃の胸ぐらを掴むと持ち上げたのだ。
「ヒィィィィ」
王妃が悲鳴を上げてくれたが、私は許すつもりはなかった。
「キャメロン。私の親友を傷つけた罪、地獄に落ちて詫びよ」
バシーン!
私はキャメロンの頬を張り倒した。
放物線を描いてキャメロンは壁に飛んで行った。
「陛下、侵入者はこちらです」
「小娘、貴様か、このような狼藉を働いたのは」
そこに国王と近衞の騎士達が駆け込んできた。
「ふん、シュタイン国王、クラークか? 良くも我が親友に手を出してくれたな」
私は宝剣を抜いたのだ。
宝剣の金の輝きが屋内を照らす。
「陛下、危険です。お下がりください」
「ええい、何を言っておる。あの小娘を討ち果たすのだ」
騎士達が私に斬りかかろうとした。
「ふんっ、喰らえ!」
私は怒りの聖剣を一振りしたのだ。
その瞬間、私に斬りかかろうとした男達はぶった切られて、ソニックブレードは王宮の主殿を平行に真っ二つに切り裂いていた。
ズドーーーーン
次の瞬間主殿は凄まじい爆音とともに崩壊した。
私達はドラちゃんに飛び乗って主殿から外に出ていた。
外は丁度到着した、飛竜部隊の攻撃で火の海となっていた。
「皆、離脱するわよ」
私はそう叫ぶとチャーリーに合図した。
ドラちゃんは王宮の城壁の上を低空で飛行したら、南面の城壁がその風圧で吹っ飛んでいった。
そして、ドラちゃんについて皆はシュタインの王宮から離脱したのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
リディアーヌの怒り爆発です。
ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
しかし、故郷から追い出されたリディはどこに向かうのか?
明朝更新予定です
お楽しみに