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戦闘で疲れてきた時に持っていた棒が汗で飛んでいって、抜剣した兵士の前に丸腰で立つことになってしまいました

新しい朝が来た。希望の朝だ。

私はついに決着をつけるときが来たのを感じた。


今日は、やっと待ちに待った敵が攻撃してくるのだ。昨日、すぐそばまで敵がやってきたことは聞いていた。今日こそ、今まで考えてきたことを実践するのだ。


そのためには

「絶対にリディは砦から飛び出さないこと」

「何を言われても、我慢すること」

「部下達を殴らないこと」

レックス達が朝食の席で延々と注意してくれたんだけど…

「ちょっと待った。最後の一言おかしくない!」

私は余計な一言を口から発したザカリーを睨み付けた。

「ヒィィィィ」

ザカリーは慌てて、私の前から逃げ出した。

「まあ、最後のひとつは関係無いかもしれないけれど、リディ、頼むよ」

「判っているわよ。どんなことがあっても、砦から出ないから」

私は何度も念押しするレックスに頷いたのだ。


「本当かな?」

横からアーチが疑い深そうに見てくれたが、

「大丈夫だって! 私が約束破った事なんて、今まである?」

「あるぞ、この前もいきなり一人で飛び降りたし」

「この前はたまたまよ」

「はっはっはっは。姫様が約束を破ることなんてよくあることですからな。皆も最悪のことも考えておいた方が良いですぞ」

レナードが余計な一言をことを言ってくれた。

「レナード、それはどう言うことよ! 私はそんなに破っていないわよ」

「いやいや、姫様は昔の知り合いのアレックスとかいう小僧と、剣が強くなったら、お嫁になってあげるわと約束していながら、シュタインの国王にケーキで釣られてあっさり反古にしたではありませんか」

「えっそんなことあったっけ?」

私の言葉に何故か、レックスが頭を押さえているし、「俺の想いはケーキに負けたのか」という言葉は聞こえなかった。

皆が残念なものを見るように私を見てくれるんだけど……

「ふん、レックスの想いなど所詮、ケーキ以下なんだ」

ハワードの言葉の意味もよく判らないんだけど。

「私がケーキを目の前にぶら下げられたら、飛び出すっていうの?」

私がむっとしていうと、

「それが一番あり得る」

ザカリーが手を打って叫んでくれた。私が睨み付けたんだけど何故か、他の皆が頷いてくれるんだけど解せない。


「「「わあーーーー」」」

今回は敵は皆が心配していた私を挑発することもなく、一斉に突撃してきたのだ。

「よし、今回は十分に引き付けてから、攻撃するぞ」

砦の司令官のジェフが皆に注意している。

敵は雄叫びを上げてこちらに突っ込んできた。10万人が突撃してくる様は、さすがに凄まじいものがあった。

「司令、攻撃しないで良いのですか?」

兵士達が怖がって、叫ぶが、

「大丈夫だ。敵が少なくとも、この壁にとりつくまでは、なにもするな。引き付けるんだ」

歴戦のジェフはさすがだ。全く動じていない。


しかし、敵は必死に駆けてくる。皆が雄叫びを上げて駆けてくる様は圧巻だった。

早いものは一つ目の柵を乗り越えて、空堀の中に飛び込んできた。

そして二つ目の柵によじ登り出す。

「まだだぞ、まだ攻撃するなよ」

ジェフが逸る味方を必死に押さえていた。

兵士達は弓をつがえて今にも放ちそうだ。

それを押さえるジェフも大変だ。

「少しは俺たちの苦労が理解できたか?」

アーチが言ってくれるが、

「だから、今回は我慢して、ここにいるでしょ」

私はむっとして反論した。

敵の先頭が二つ目の柵を越えた。残り一つだ。

「よし、敵が三つ目の柵を越えたら弓で攻撃するぞ」

ジェフの声に兵士達は矢を弓につがえて構える。

敵の先頭が柵を越えた。

堀を降りて、そのまま、持っていた梯子をかける。携帯用の梯子だ。広げたとたんにぐんと伸びて壁の上までの梯子になる。

「射て」

先頭の優秀な兵士は次の瞬間矢を突き立てられて針鼠になって倒れていた。

しかし、次から次に敵兵は乗り越えてくる。弓兵が必死に矢を射るが、間に合わずに、壁を乗り越えて来た、勇敢な敵兵がいた。


「死ね」

しかしそこには待ち構えていたハワードに剣で叩き斬っていた。

「ギャー」

鎧ごと斬られた男は梯子を登る途中の兵士達を何人か巻き込んで落ちていった。


それからも、次々に兵士達は越えてくる。ハワードだけではたりなくて私も棒で対処した。

「よし、一番乗りだ」

そう言って登ってきた兵士は、弓を射ている我が軍の兵士に向かって剣を抜いた。

ハワードは遠くで他の兵を相手にしていた。

弓兵がぎょっとする。矢を引き絞る暇がない。

兵士がにやりとした時だ。

「やあ!」

私は問答無用でその兵士を棒で弾き飛ばしていた。

「ギャー」

その兵士は叫んで落ちていった。

その私に隣から上がってきた兵士が斬りかかってきたが、それも棒で弾き飛ばす。

「ギャー」

悲鳴を上げて落ちていった。

次に上がってきた兵士に向けては私は上でお湯をわかしていた釜を強化魔術で掴んでお湯をぶちまける。

「ギャー」

お湯は上がってきた兵士を押し流して、その兵士はその下にいた兵士達を巻き込んで落ちていった。

隣から上がってきた兵士にはそのでかい釜を投げつけた。その兵士は釜をまともに食らって一緒に下に落ちていった。


「これこそ、楠正成の戦法よ」

私は得意になって叫んでいた。

「リディアーヌ様、何ですか、そのくすのきなんちゃらって?」

ハワードが聞いてきた。

「なんでもないわ。気にしないで」

私は飛んでくる弓矢を棒で弾き、走り回って、敵兵を次々に叩き落とした。


しかし、敵兵は私達にやられてもやられても上がってくる。ハワードと私だけでは足りなくて、他の兵士達も剣を抜いて斬り合いをし出した。乱戦だ。

私は必死に棒を振り回して、敵を落としていったのだ。


いい加減に疲れてきたところで、交代になった。

私とハワードの代わりにレックスとアーチが出てきて、屋上で戦っている兵士達も100人が交代した。

前面が狭いので、敵も全てが攻めて来れない。昼時までこの2交代で乗りきったのだ。


でも、私達にはほっとする暇もなかった。

敵は昼も休まず攻撃してきたのだ。

敵は10万人もいるのだ。対してこちらは500人だ。

いくら交代制にしてもこちらには限りがある。

敵は次々に新手が出てくる。

500人で対処するには難しい物があった。

それに、こちらの兵もやられるものも出始めた。それは順次交代させるが、こちらの予備兵力の限界があった。

当初は100人ずつの5交替制を敷こうとしたのだが、敵の攻撃が凄まじく、150人の3交替制にしたのだ。

その三交代がやられる兵が多くなってその日の夕方には予備兵が完全にいなくなったのだ。


「もう少しで日暮れだ。それまでの辛抱だぞ」

私はそう言って味方を鼓舞したのだ。



しかし、敵は日が暮れても攻撃を止めてくれなかった。

敵はそのまま松明を灯して攻撃を続行してきたのだ。



「リディそろそろやばいんじゃないか」

レックスが私に話してきた。

「もう少し大丈夫よ」

私は気丈夫に言ったが、兵士達の疲労は結構蓄積しているみたいだった。

敵も相当な数のダメージを受けているはずで、夕暮れとともに一旦撤退すると思っていたのだ。

それが夜間に攻撃を続行してくるとは想定外だった。

「ギャッ」

私の横の兵士が敵兵に斬られてしまった。

「おのれ!」

その兵士を棒で弾き飛ばす。

「ギャーーーー」

その兵士は悲鳴を上げて落ちていった。

しかし、その間に次の兵士が現れた。私達は少しも休憩する時間がなくなってきたのだ。

さすがの私も疲れたが溜まってきた。


次の兵士を棒で叩こうとした時だ。

スポンッ

私が振り回そうとした棒が汗で滑って飛んで行ったのだ。

私の手から武器がなくなった。


目の前の兵士がニヤリと笑ってくれた。

目の前の敵兵が剣を振り上げてくれた。

私は絶体絶命のピンチに陥ってしまったのだった


絶体絶命のリディ。

どうする?

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


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