表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/116

ハワードが隊長を叩き斬ってくれて私達は残った敵を潰走させました

私達は完全に囲まれていた。ざっと見渡した限り、千人以上はいる。敵は前方に厚く、側面と後方は手薄だった。

でも、戻るのは悪手だ。両側に山が迫っていて一本道なのだ。そして、他の道をたどるとなると結構遠回りになる。

両横は薄いがその先は林で馬を駆けさせるのは中々厳しそうだ。何しろ私の乗っている馬は王都にいた普通の馬なのだ。領地の林を駆け抜けるのになれた馬ではない。今でも体力的には結構きつそうなのだ。

最後の正面も結構分厚そうだ。これを突破するのに、斬らないで突破は難しい。シュタイン王国と戦争の可能性が出てきた。

私は心配して3人を見た。

でも3人は頷いてくれたんだけど、どういう意味で頷いてくれたんだろう。

本当にシュタインと戦っても良いのか?


そう思った時、再度敵の指揮官が叫んできた。

「もう一度告げる。私は第8騎士団第1大隊長のオズモンド男爵である。貴様ら4人は完全に包囲された。元王太子の婚約者のリディアーヌ・インスブルク。公爵令嬢のアラベラ様を傷つけ、王太子殿下に傷を負わしたこと。重罪である。直ちに剣を捨てて降伏せよ。さもなくば、その体を裸にひんむいて磔の刑にしてやろうか」

なんとも指揮官は下品だ。

配下の者達がどっと笑った。


「リディ、抑えろ。これは敵の策だ」

レックスがぷっつん切れた私を抑えようとした。

「えっ、あのはげを叩き斬って一点突破で」

「いや、それはまずいだろう。ここは穏便にだな……」

私の言葉を遮ってレックスが何か策を言い出そうとしたときだ。


「おのれ!」

私以上の単細胞なハワードが飛び出したのだ。

「そこのオズモンド!、貴様、インスブルクの王女殿下であらせられるリディアーヌ様をそこまで侮辱するとは許しがたし。不敬罪でその首、跳ね飛ばしてやるわ」

そう叫ぶと剣を抜いて、ハワードが馬を駆りだしたのだ。

「ちょっとハワード、待ちなさいよ!」

でも、私がハワードを止める間もなかった。

「おい、追いかけよう」

「あいつ本当に策も何もないじゃないか」

アーチと舌打ちしたレックスが駆けだした。

仕方なしに私も続く。

「何を言う。貴様こそ、死にたいのか? えっ?」

オズモンドが叫んだ時にはハワードは既にオズモンドの真ん前に迫っていた。

怒り狂った時のハワードの怖さをこいつは知らなかったのだ。

「皆の者、やれ、やるのだ……」

オズモンドは叫んだが、ハワードのスピードが勝っていた。

逃げようとした指揮官は遅かった。

敵がハワードを止めようとしたときには既にハワードは指揮官の目の前で剣を振り上げていた。

指揮官の顔が恐怖に歪むのが見えた。

「死ね!」

叫ぶと同時にハワードの巨体から剣が振り下ろされた。

オズモントは剣で防ごうとしたが、その剣もろともヘルメットがたたき割られていた。

私は敵を殺さずに逃げようとしていたのに、怒り狂ったハワードの前には関係無かった。

私に不敬なことを叫んでいたオズモンドは怒り狂ったハワードに真っ二つにされていた。


「オズモントは不敬罪で、処刑した。次に不敬罪で死にたいのは誰だ?」

その声に敵兵はさああああああっと引いたのだ。

この辺りの騎士団は実戦経験が少ないみたいだった。

いくらハワードが恐ろしいからって、普通は戦いで避けるなんてあり得なかった。

本来ならば無血逃亡する予定が、ハワードが男爵とはいえ、指揮官を叩き斬ってしまった。

一人でも二人でもこうなったらもう同じだ。やるしかない。


その開いた穴に私達が飛び込んだのだ。

「誰か我が剣の前に出ようという不届き者はいないのか?」

「ハワード行くわよ」

なおも挑発を続けるハワードに叫ぶと私達はそのまま敵陣に向かって駆け出したのだ。

慌ててハワードもついてくる。

「お退き!」

私はそう叫ぶと、指揮官をなくして右往左往する敵を追い散らしたのだ。

「「「わあああ」」」

「化け物だ」

「化け物が攻めてきたぞ」

慌てた敵兵が蜘蛛の子を散らしたように逃げ出してくれた。


私は前を逃げていた兵士を馬で弾き飛ばしたくらいで、抵抗してくる兵士達はいなかった。


そのまま私達は北上したのだ。


あっさり1個大隊を突破して私はほっとした。


私はこの戦いが私達が4人が1個大隊を殲滅したと噂されるようになるなんて思ってもいなかった。

地上に金髪の山姥が現れて鬼のハワードに命じて指揮官を惨殺すると残った兵を剣で撫斬りにして皆殺しにしたと噂されたのだ。


これを聞いて「鬼のハワードか」

といってハワードは喜んでいたが、

「金髪の山姥って何よ」

私はぷっつん切れたのだ。

王女相手に金髪の山姥だなんて、絶対に不敬だ。許せない。


「まあ、突撃する時の怒り狂ったリディは顔が少し怖いからな」

「何か言った?」

アーチが言ってくれたので、睨み付けたら首をすくめていた。

次からは突撃する時はもう少し凜々しい顔にしようと密かに私は決意したのだ。



ここまで読んで頂いてありがとうございました。

お忙しい中誤字脱字報告、感想、良いね等ありがとうござます。

ブックマーク、評価して頂いた親切な方には感謝の言葉もございません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

私の次の作品はこちら

『もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい』https://ncode.syosetu.com/n9267kb/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【10/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【11/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【11/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【10/19発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【10/19発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】

https://www.cmoa.jp/title/1101429725/

■【9/20発売アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【9/20発売楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ