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王女だとバレて逃げたら大軍に囲まれて絶体絶命の危機に陥ってしまいました

「そろそろ行くか?」

 まだ、太陽は高かったが、居たたまれなくなったのか、レックスが言い出した。

「そうだな。行くか?」

 アーチまで頷いた。

「でも、昼間動いて、大丈夫かな?」

 私は少し不安だった。

「まあ、でも、リディは少しでも早く国に帰りたいんだろう?」

「それはそうだけど……」

「なあに、見つかったら、その時はその時です」

 ハワードまで私のような事を言ってくれた。

「仕方がないわね。行きましょう」

 私は皆に押されるように頷いたのだ。

 でも、それが間違いだった。


 そもそも馬に乗って移動する女性というのが、まだ少ないのだ。それに私は変装さえしていなかった。いや、伊達メガネはかけていたんだけど、それだけじゃ、ダメだった。

 それでも、最初の方は上手く行っていたのだ。途中のレストランで食事を取ったのが間違いだった。

 慣れないものだから、伊達メガネがスープの蒸気で曇ってしまったのだ。

 それを外して拭いていたら、

「あなた、王太子様の婚約者の王女様じゃないのかい?」

 レストランの女将さんにばれてしまった。

「いいえ、似ているけれど違いますよ」

 私が否定したが、

「そうかい、それならそうしておくよ」

 女将さんは笑って言ってくれたが、

「女将さん、お勘定を」

 慌てて、レックスが言った。

「えっ、でもまだ食べていないんだけど」

 私が言うが、

「リディ、良いから」

 私は強引にアーチに手を捕まれて外に連れ出された。

「ああん、ほとんど食べられなかったじゃない!」

「外に出ていった怪しい奴がいた」

 私にレックスが言ってくれた。

「本当に?」

 私は気がつかなかった 。

「あれは下手したら、シュタインの暗部だ」

「まあ、暗部がいくら来ても大丈夫だけどね」

 私が笑って言うと、

「暗部だけじゃなくて、騎士団とか出てきたら不味いだろう」

「そうね。先輩らが出てきたら不味いもんね」

 私は頷いた。

「そういう問題か?」

 アーチが首を振るが、

「別にシュタインの1個騎士団くらい、私一人で何とかなるわよ」

 私が自信満々に言うと、

「いや、リディが強いのは知っているけど、さすがに1万人の相手は厳しいと思うぞ」

「そうだ。さすがに厳しいだろう」

 レックスとアーチが言ってくれた。

「そうかな。私が全力を出せば」

「そうですよね。リディアーヌ様が本気を出されれば、無敵ですからね」

 ハワードは私の言うことは全て信じるつもりらしい。というか、全て本当だと思ってしまうのだ。それはそれで良いのか? とまた思ってしまうけど……


「いや、待て! それって巨大なクレーターが出きるとか言うんじゃないだろうな」

「最悪、見渡す限り焼け野原になるんじゃないか」

「なんですって!」

 アーチとレックスの言葉に私がムッとしたが、二人とも肩をすくめてくれたんだけど。


 二人に急かされて、私達は馬を駆けさせた。

 じきに日が暮れてきた。

 私達はそのまま、馬を走らせた。

 途中で早馬が後ろから駆けてきたので、横に避けること2回。


 途中の町は入り口でかがり火を焚いて、警戒していたので、大きく遠回りする。


 なんか結構、警戒しているみたいだった。


 私達は林に入って休憩することにした。

「貴方たち、本当に良いの?」

 私が3人に聞いていた。

「特にアーチとハワード。このまま行くと下手したらシュタイン王国とインスブルク王国で戦争が起こるかもしれないわ。私と一緒に来るということはシュタイン王国を捨てる事になるかもしれないわ。もう二度とこの地に帰ってこれないかもしれない。それに我がインスブルク王国は小さい国よ。その王女についてきても、普通の騎士くらいにしかさせられないわよ。それでもいいの?」

「俺の所は兄がいるからな。俺がいなくても別に問題ない」

 アーチが言ってくれた。

「ハワード、あなた、辺境伯の跡取りじゃなかったの?」

「私は学園でリディアーヌ様に初めて負けたときから、あなた様について行くと決めたのです。私には弟もいますから、私がインスブルクの騎士になれば弟が継ぐでしょう。リディアーヌ様の騎士になれたらそれで十分です」

 ハワードも言ってくれるんだけど、辺境伯よりも弱小国の騎士になりたいってどういうことなんだろう?


「レックスはどうするの?」

「帰る途中だからインスブルクまでは行くよ。後は少し考えさせてくれ」

 レックスが言うと、

「そうか。レックスがいなくなるのか。これでリディアーヌ様は俺が独占できる」

「何を言っている。俺はリディを諦めるつもりはないぞ」

「でも、大変なリディアーヌ様を置いて、国に帰るんだよな」

「だから帰らないって」

「今考えると言ったぞ」

「国を捨てるかどうかは少し考えると言ったんだ」

 二人が端で何かよく判らない言い合いを始めてくれたんだけど……


「おい、後ろから誰か来るぞ」

 アーチが後ろを指さした。

 松明を持った騎士がこちらに来るのが見えた。

「おい、何かいるぞ」

 ピーーーー

 私達を見つけた騎士が笛を吹いた。


「仕方がないわ。行くわよ」

 私達は騎乗したのだ。

 そのまま前に駆け出す。


 道に飛び出して、全力で駆けだした。


 あっという間に後ろの騎士を引き離す。

 しかし、私達が森を抜けたところで、前にかがり火の列が見えたのだ。


 よく見ると目の前に大軍が展開していた。

 慌てて私達は止まった。

 前の松明だけで500本は超える。下手したら千人くらいいるかもしれない。


 大将らしき男が前に出てきた。

「リディアーヌ・インスブルク。王太子殿下暗殺未遂容疑で貴様に捕縛命令が出ている。素直にお縄につけば良し、反抗するならば容赦せんぞ」

 男が叫んでくれた。


「何、それ。私ちゃんと手加減したわよね」

 私が3人に言うと、

「本当です。元々、あのへぼ王太子が先にリディアーヌ様を気絶させたのです。リディアーヌ様は仕返ししただけで、悪いのは王太子でしょう」

 えっ、別に私は仕返ししたかった訳ではなかったんだけど……でも現実問題はそう見えたかもしれない。


「まあ、でも、王太子はリディの張り手をもろに受けて半死半生になっているからな。暗殺未遂ということでお触れを回したんだろう」

 レックスが言ってくれた。


 いくら囲まれたからって言っても、私はまだ、シュタイン王国の暗部しか倒していない。正規兵を殺すと下手したら本当にシュタインとインスブルクの戦争になってしまう。

 出来たらそれは避けたかった。でも、この大軍を剣で斬りつけもせずに、突破するのは至難の業だった。私の守役のレナードがいればなんとでもなったけれど、ここにいるのは皆騎士だ。


「おい、後ろも囲まれたぞ」

 アーチの言葉に後ろを見ると、多くの松明が見えた。

 私達は絶体絶命の危機に陥ってしまった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

果たして4人の運命やいかに。

続きは明朝です。

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
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