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男達の昔話に出てきた強い女の子を紹介してもらおうと思ったら、皆に呆れられました

 私たち四人は夜通し馬を走らせた。道はアーチが間道を教えてくれた。

 とりあえず、幹線を避けたのが良かったのか、それとも追っ手は出ていないのか、夜の間に我々を誰何する騎士や兵士達には会わなかった。

 朝方になって私たちは林の中で休むことにしたのだ。

 交代で見張ることにして私たちは横になった。川のせせらぎの音がここちよくて私はすぐに寝てしまった。



 私は夢を見ていた。

 子供のころの夢みたいだ。

 棒を持って城の裏の小山を駆け上がっていた。

「アレク、早く!」

 私は後ろからふらふらついてくる銀髪の子に声をかけていた。

「リディ、早いって」

「あなたが遅すぎるのよ」

「待てって」

「待たないわよ」

 私はその子を置いて頂上に駆け上がったのだ。道も一本だし迷いようがなかった。


 そして、頂上に着いた。

 ここからは王都が一望できるのだ。私の視界いっぱいに王都の家々が見える。すぐそばには王宮の塔も見える。遠くには雪を抱く神々の山脈も見えた。天気は快晴だ。

 ここは私の一番のお気に入りだった。

 そこへハアハア言いながらやっとアレクが登ってきた。

「遅いわよアレク」

 私が文句を言うと

「リディが早すぎるんだろう」

 地面にへたり込みながらアレクが文句を言ってきた。

「本当にあなた体力が無いのね」

「お前がありすぎるんだろう」

「ふんっ、女には負けないって言っておきながらなんなのそれは」

 私が馬鹿にしてやると、

「何を言う。剣術では負けないぞ」

「じゃあ、やる?」

 私が棒を構えた。

「ようし」

 そう言ってアレクは棒を構えたが、既に息切れしていてふらふらだ。

 緑の目だけ光らせているんだけど、これではだめだろう。

「籠手!」

「痛い!」

 私はそう叫ぶとアレクの手にうち付けて、アレクは棒きれを落としいた。


「アレクは全然だめね」

 そう呆れて言ったら、思いっきり体が揺れた。

「えっ?」

 私ははっとして起きたらそこに私をのぞき込む緑の瞳があった。

「えっ、アレク?」

 私は思わず、そう言ってしまったが、そこには驚いた顔のレックスがいた。

 驚いて飛び起きる。

「あっ、ごめん。昔知っている子供に似ていたから」

 私は改めてレックスを見た。

 銀髪緑眼でアレクと同じだった。でも、子供のアレクとは大きさも雰囲気とかも全然違った。少なくとも私から見ても少しは頼れる大人だった。

「ほかの男と間違うなよな」

 ぼそりとレックスが文句を言った。

「ごめんごめん、子供の頃会った子とレックスの髪と瞳の色が同じだったから。交代の時間よね」

 私が言うと驚いた顔をレックスがしていた。

「でも、その本当にお坊ちゃまで、体力も無いし、剣もからきしでレックスとは全然違うのにね」

 私が呆れて言うと何故かレックスが目をそらしてくれるんだけど何でだろう?

「そいつは今どこにいるんだ?」

「うーん、どこかの国の王子様だったと思うのね。お母様に少し面倒を見てやってくれって言われたから、面倒見てあげたけど、本当にダメダメで苦労したわ」

 私はそう言うと火のそばで暖をとった。

「そうか、それは大変だったんだな」

 何故かレックスは私についてきた。

「寝なくていいの?」

「まあ、十分に寝たからな」

「そいつはそんなにだめだったのか」

「えっ、そうね。体力もないし、剣術もないし、根性だけはあったかな。でもそれに体力が全然ついていけないって感じだった」

「そうか」

 レックスは何故か残念そうにしていた。

「レックスはどんな子供だったの?」

 私が聞くと

「俺か、俺もその子みたいに全然だめだったな」

「えっ、そうなの? 剣術もそこそこ使えるし私からしたら、子供の頃から結構できたんじゃないかと思うんだけど」

 私はレックスの言葉に驚いた。

「俺も女の子に馬鹿にされたんだよ。コテンパンに負けてね。それから必死に努力したのさ」

「そうなんだ。レックスに勝てたって、その子相当強かったのね」

 私がそう言うと何故かレックスは頭を抱えているんだけど……


「俺も強い子なら知ってますよ」

 ハワードが後ろから現れた。

「おまえら寝てるんじゃなかったのかよ」

 その後ろからアーチも現れた。

「おまえらの声が煩くて寝れなかったんだよ」

「ごめん、寝ていたら良いのに」

「起きたからもう良いですよ」

 ハワードはそう言う私の横に座った。

「俺は冒険と称してその日は裏山登ったんですよ」

「へええええ」

 どこでも皆裏山登るんだなと私は感心した。

「そうしたら駆け下りてきた女の子と遭遇したんです」

「お前、魔物かって俺が言ったら、その子は『あんたこそ、ゴブリンね』って言われて、剣で勝負してコテンパンに負けたんですよ。その後『姫様』って叫び声が聞こえて、その子怒られて連れて帰られましたよ。リディアーヌ様だったんですね」

ハワードの声に私は驚いた。

「えっ、私なの? 私国境越えた記憶はないんだけど」

私が言うと

「その時は全然判っていなかったですよ。リディアーヌ様にお会いしてからです。姫様ってリディアーヌ様だったって判ったのは。インスブルクの王都から辺境伯領までなんて、普通は中々超えられないですけどね。途中に魔物も多いですから。それを超えてきたなんて、どんなお姫様だよって驚きました。俺もその女の子に負けてからです。必死に剣術やり出したのは」

 ハワードが言ってくれた。

「くっそう、俺も昔リディに会えていたらもっと強くなれていたかもしれないのに」

 と横でアーチがブツブツ言っていた。


 私は中々強い女の子に会ったことがなかったので、紹介してもらいたかったけれど、ハワードのは私だったら、仕方がない。

「ねえ、レックス、今度その強い女の子を紹介してよ」

 私が言うと何故かレックスが額を抑えていたし、ハワードとアーチが残念そうに私を見ているんだけど、なんでだろう?

 結局それからすぐに出発したので、教えてもらえなかった。


いつもお忙しい中、私のお話読んで頂いてありがとうございます。

誤字脱字報告良いね感想等本当にありがとうございます。

ブックマーク、評価して頂いた親切な皆々様には感謝の言葉もございません。

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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このお話の前の話

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