敵本陣を急襲して私の竜が総大将の王子を咥えてしまったので、敵は降伏するしかなくなりました
私を乗せたドラちゃんを先頭に飛竜騎士団の面々が続く。私のすぐ後ろはチャーリー等の第一騎士隊だ。
私は彼らがついてきていることを確認する。
ハワードらに手を振って抜く。
「「「うおおおおおおーーーーー」」」
ハワード等は雄叫びを上げて、私の開けた道をひたすら突撃していた。
それを抜くと、ハワード等を塞ごうと、敵がわらわらと出てくる。
私は高度を下げて、ドラちゃんのスピードを更に上げた。
ハワード等の前に出てきた敵はまだ薄い。
その敵兵の上を猛スピードですぐ上をドラちゃんに飛ばせた。
ぶわあああああ
凄まじい風が起こる。
「「「ギャーーーーー」」」
超低空で飛ぶドラちゃんの巻き起こす風圧で多くの敵兵と騎馬が吹き飛ばされた。
そして、後ろに続く飛竜隊が、周辺に魔道爆弾を次々に落としていった。
敵が大混乱に陥る。
「「「うおおおおおおーーーーー」」」
そこにハワード達の軍が突撃して蹴散らしていく。
更にハワードの明けた穴に本隊が突撃して続いていく。
前衛五万はあっという間に中央突破出来た。
おそらく私の聖剣の攻撃で中央の司令部も一緒に葬り去ってしまったみたいだった。
全く組織だった抵抗が出来ていなかった。
私はそのまま、一気に敵本陣目指したのだ。
猛スピードで飛ぶ、ドラちゃんは10キロなんてあっという間だった。
「りゅ、竜だ」
「竜が来るぞ」
敵の兵士達が騒ぎ出した。
まさか、いきなりここまで敵が来るとは全く想定していなかったみたいだ。
こいつら10万シュタイン軍を率いた公爵を攻撃した方法を学んでいないのか?
私は当然想定しているものだと思っていたのだ。
魔術師達の攻撃も無いんだけど
「攻撃してこないわね」
「まあ、私が魔術したにはミラーで返しましたからな。下手したらあれで殲滅できたのかもしれませんな」
横でレナードが教えてくれた。
「でも、リディ、油断は禁物だぞ」
「大丈夫よ、その時は聖剣で攻撃してやるわ」
「姫様使い過ぎると焼け野原になってしまいますぞ」
私の言葉にレナードが注意してくれたが、少しくらいなら良いだろう。
「それより本陣は、あれね」
私は兵士達が頑強な守りを固めている陣形の中心を見つけた。
「ギャオー」
ドラちゃんが、咆哮してくれた。
どうやら、エイベルを見つけたみたいだ。
一目散に、エイベル目指して、すっ飛んでいく。
「な、なんだ!」
「竜だ。古代竜がすっ飛んで来るぞ」
「ヤバい」
「殺される」
「逃げろ」
「ばか、殿下を守れ!」
本陣目指して飛んでくるドラちゃんにシュタイン軍本隊は大混乱に陥った。
「ええい、殿下を守れ!」
そう叫んでいる偉そうな男がいた。おそらく、実際の総大将、アンダーソン公爵だ。
剣をこちらに向けて必死にエイベルを守ろうとしていた。でも、そんなのドラちゃんにかかったら、一瞬だった。
「ギャーーーー」
次の瞬間にはドラちゃんの前足で弾き飛ばされてどこかに飛んでいた。
エイベルの周りには、その一瞬誰もいなくなっていた。
近衛達はどこに行ったのよ?
私はいぶかしんだ。丁度交代で昼休憩している時だとは知らなかったのだ。
「く、来るな!」
ドラちゃんに驚いたエイベルは恐怖の顔をして、地面に仰向けに倒れていた。必死にドラちゃんから逃げようと後ずさりしていた。
良くやった、ドラちゃん!
私は喜んで叫んで飛び降りようとしたときだ。
ぱくり
ドラちゃんはエイベルの上半身を咥えてしまったのだ。
「ギャーーーー」
エイベルの悲鳴が、ドラちゃんの口の中から、周りに響いたのだ。
「で、殿下」
「殿下が、竜に食べられるぞ!」
寄ってこようとした敵兵士達が唖然としていた。
「えっ!」
しかし、それは私にしても想定外だった。
「ちょっと、ドラちゃん、そんなバッチイ物咥えたらダメよ」
「バッチイ物って、リディ、仮にも一国の王太子に向かって、何て事を!」
レックスが注意してくれるけれど、私にとっては汚ならしいものには変わらないのだ。
「ちょっと、ドラちゃん、離しなさいったら」
私がドラちゃんに乗ったまま、説得しようとするが、ドラちゃんは首を振ってくれたのだ。
「ギャーーーー」
振られたエイベルの悲鳴が響いた。
「殿下を離せ」
そんな中、ドラちゃんに斬りかかろうとした騎士を見つけたわたしは叫んでいた。
「刺激を与えちゃダメ! 食いちぎるわよ!」
私が注意すると、その騎士達はぎょっとして、止まっていた。
「直ちに剣を捨てて、降伏しなさい。いつ食いちぎっても知らないわよ」
私は大声で叫んだのだ。
「そんな事はできるか?」
騎士達は叫ぶが、
「ギャーーーー!」
大きくドラちゃんが、首を振ると、エイベルが悲鳴を上げた。
「で、殿下!」
「このままでは、不味いぞ」
「どうするんだ」
「わかった。仕方がない。降伏する」
騎士の一部が剣を捨てて降伏したのだ。
「シュタイン軍に継ぐ。総大将のエイベル殿下は我らが捕まえた。直ちに降伏せよ」
騎士達は納得していないみたいだったが、ドラちゃんに振り回されて悲鳴を上げるエイベルを見て次々に降伏していったのだった。
我々はほとんど戦わずにあっさりと勝ったのだった。
ここまで読んでいただいて、有難うございました
ドラちゃんの活躍でほとんど戦うことなく勝ってしまいました……
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