敵の先制攻撃を聖剣で弾き飛ばして突撃に移りました
攻撃に移ろうとした私たちの前に、敵は先制遠距離攻撃をかけてきた。
この先制遠距離攻撃を放っておいて敵に突撃すれば、味方は甚大な被害を受けるかもしれない。
そうかと言って、防戦していたら、突撃する機会を失うかもしれない。
私は一瞬どちらにしようか迷ってしまった。
「リディ! どちらでも良いから判断しろ!」
後ろからレックスが大声で叫んでくれた。
そうだ。大将が迷ってどうする!
私はレックスに向けて手を上げると、そのまま背の聖剣の柄に手をかけたのだ。
こんなのは一瞬で終わらせるに限る。
そして、私は背から聖剣を抜いたのだ。
地上で使うと周りに甚大な被害を与える聖剣を。
でも、空の上なら問題ないはずだ。
聖剣は抜いた瞬間、燦然と黄金色に輝いたのだ。
「「「おおおお!」」」
初めて私が聖剣を抜くのを見た兵士達は驚いて見ていた。
「初代様が使われていた聖剣だぞ!」
「さすが陛下!」
「金色に輝いているぞ!」
始めてみる兵士達は喜んで叫んでいた。
「ヤバい、天災の剣だ」
「皆伏せろ!」
いつも被害に遭っているザカリーとトーマスはそう叫ぶと、慌てて、地面に伏せてくれた。
今回は地上で振るつもりはないっていうのに!
私はムッとして二人を見たが、奴らはびくともしない!
私は無視する事にした。
私は黄金色に光輝く聖剣を構えると、
「とりゃーーーー!」
そう叫ぶと剣を上空の飛来物めがけて、思いっきり振り払ったのだ。
そして、勢い余って地面まで斬ってしまったけれど……なに、ちょっと手が滑っただけだ。
上空を飛んでいた飛来物に私の聖剣の軌跡が重なる。
ピカッピカッピカッ!
ドカドカドカーン、ドカーン、ドカーン!
凄まじい爆発が次々に起こる。魔道爆弾が爆発したのだ。
火炎魔術は私の聖剣に叩き落とされて、その下にいたシュタイン軍の上に降り注いだ。
ズドーン、ドカーン、ドカーン
各地で次々に爆発が起こる。
甚大な被害を敵にも与えたはずだ。
そして、私が勢い余って地上にまで振ってしまった剣の射線上にいた敵は……
ズキューーーーン!
大音響と共に、皆、叩き斬られていたのだ。
一直線に数キロの真っ黒に焼け焦げた跡を残して……
それは、丁度、攻撃しようとしていた敵の右翼を斜めに真っ二つに叩き斬っていた。
良かった!
射線上に自軍の兵士がいなくて!
私はほっとした。丁度この位置の兵士は誰もいなかったのだ。
レックスらが、考慮してくれたんだろう。
「ヒェェェェ!」
その軌跡は、ザカリーの目の前で終わっていた。
「ヤバい、危うく姫様に殺される所だった」
「本当に伏せて正解だったよな」
ザカリーとトーマスが頷き合ってくれた。
「なに言っているのよ! ちゃんとはずしたでしょ」
私がムッとして言うと、
「本当に外してくれたんですか?」
疑い深そうにザカリー達が私を見てくれたけど……おそらく無意識に外したはずだ。
私はそう思うことにした。
これで、飛来物の六割は落としたはずだ。
「レナード、残りは任せたわ」
「ほんに人使いの荒い」
レナードは文句を言いつつ、手から雷撃を空に放ってくれた。
私の聖剣の軌跡から逃れた魔導爆弾がレナードの雷撃で次々に爆発する。
後は火炎魔術だけだ。
残った火炎魔術の前に次々にレナードはミラーを展開してくれた。
そして、そのミラーが火炎魔術を次々にはじき返していく。
そして、それは発射したと思われる地点に向けて、正確に帰って行ったのだ。
ズドーーン、ズドーン、ズドーン
遠くで大爆発が次々に起こった。
おそらく、遠距離攻撃してきた魔術師達がいたところに命中したはずだ。
皆はそれをただ、口を開けて、唖然としてみていた。
「凄いな。リディとレナード様さえいれば勝てるんじゃないの?」
アーチの言葉に皆頷いているんだけど。
「何を他人事のように言っているの? これからよ」
私は皆を見回すと言った。
「姫様、行きますか?」
「そうね」
レナードの言葉に頷いて、私はもう一度聖剣を取り出す。
聖剣はまた黄金色に輝いた。
今度は地上に放つのだ。突撃の道を作るために。
私は聖剣を振りかぶると
「喰らえ」
剣を一直線にエイベルのいる方に向かって振り下ろしたのだ。
聖剣が黄金色に光輝き、光の奔流が一直線に地面に叩きつけられたのだ。
ズキューーーーン
「「「「ギャーーーー」」」」
私の振り下ろした聖剣の射線の先に金の光が走る。そして後ろから光の奔流が、その先にいた者を全て叩き斬っていた。
一直線に道筋が出来たのだ。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ホラ貝が戦場に響いた。
「突撃!」
「「「「うおーーーーーー」」」」
ハワードが剣を抜いて、主力の騎馬隊が私の開けた穴に向けて突撃した。
そして、それに合わせて、全軍突撃に移る。
「行くわよ」
私もドラちゃんに飛び乗った。後ろから、レツクスも飛び乗ってくる。
そして、ドラちゃんは素早く飛び上がってくれた。
「全軍突撃、目標はエイベルの首よ!」
「「「「おおおお!」」」」
飛竜騎士団、全員が雄叫びをあげてくれた。
「姫様、行きますか!」
私はドラちゃんをレナードの先導のもとエイベル目指して、低空を凄まじい早さで飛ばしたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
まず敵の先制攻撃を防御反撃しました。
次は突撃です。
エイベルの運命やいかに?
続きは明日です。
お楽しみに。
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