第9話 カッルフッド・ホルデ
「どーもハインさん、ミカエルだにゃ」
ハインは目を見開いた。と言っても糸ほどのものが麻紐ほどになっただけだが。
「こいつは驚いた!! オスの三毛猫だけでも希少なんだがな」
やはりオスの三毛猫は希少らしい。みんなの反応が希薄なのでたくさんいるかと思った。
よかった!!!
「討伐にはハルホスニ家の連中も参加している。もう状況は佳境で、中央広場に追い詰めて一網打尽にする予定だ。そこに行けばホードゥもいるはずだ」
「父の部隊は今何処に?」
「カッルフッドの部隊は街の南から中央広場に向かってるはずだ」
「できれば父の部隊とも合流して事情を説明しておきたいわ」
「わかった、では少し南よりから回っていこう、馬があるなら先に行ってくれ」
「了解、先に行くわ。……あの出来れば早めに来てくれたら」
「ああ、分かっている。心配するな」
叔父さんはそう言ってにっこり笑った。
ご主人様と俺は馬に乗って南側から中央広場に行くルートを取る
少し行くと小鬼が黒焦げになっていたり、大ネズミが転がっていたりした。
「父の部隊はここを通ったみたいね」
そう言って進路を右に変える
しばらく行くと戦闘している部隊が見えた。
槍を構えた兵士が4人、大きな黒いカエルを追い詰めている。
兵士の1人が槍を突くと、カエルは上に飛び跳ねた。
指揮をとっていた男が、長剣で空中に円を書いた。
「げゴォお」という叫び声と共にカエルは真っ二つになった。
すかさず兵士が槍で抑え、火術で焼き払った。
「クロッカーなんて街に出た事ないのだが」なんて兵士が言っているのが聞こえて来た。
俺たちは近づいて馬を降りる。
「お父さん」
ご主人様は指揮をとってた男に話しかけた。
他の兵士達より頭一つ大きく顎髭を蓄えた威厳のある風貌をしている。長剣も近くで見ると刀身がゆうに1m以上あり、剣を地面に立てると柄が胸元のところまであった。
「ん、シグヴァールか。どうした? 討伐には不参加だと聞いているぞ」
「緊急事態よ、ちょっと2人だけで話しできない?」
「うむ」
お父上はそう言って『くいっくいっ』とジェスチャーして少し離れたところまで歩いて行った。
おれもご主人様の後ろをついて行った。
お父上は顎髭をいじりながら話しを聞いていた。まるで部下の報告を聞いている上司のようにに見えた。
特に驚くことも否定したりすることもなく、ご主人様の話を最後まで聞いた。俺が魔術を使ってドーフ達を倒した話しにも眉毛を一瞬ピクリとさせただけだった。
「なるほど、まずはシグが無事で良かった。俺も最近の魔物の増え方には違和感があったのだ。しかし証拠は無いし証明は困難だ。今糾弾するのは悪手だな」
ご主人様は少し考えて「確かに」と言った。『私が証拠よ』というのは通用しないのだ。
「今は討伐を終わらせるのが優先だ。後日魔物を街に運び込んだ方法や手伝った者を調べて証拠を集めよう。ハルホスニ家の連中の関与を証明するのはもっと厄介だ」
「このまま討伐が成功すれば、間違えなくホードゥ達を追求してくるわ。そうなるとドーフ達の死が私達にとってとても不利になる」
「うむ、だからといって討伐をしない訳には行かないし、ホードゥの計画に加担していた証拠を見つけなければいけない」
「うーん。彼らは証拠など残してなさそうだし」
「まあ、今日討伐後に奴らがどう出て来るか。それ次第だ。必要ならハルホスニの連中の1人を証人として攫ってしまおう」
「そんなことできるの?」
「ああ、うちの連中に指示を出しておこう。お前を攫った計画を立てた奴が誰かも気になる」
そう言って、兵士の方をみると、ちょうど道の向こう側からハイン叔父さんが走って来た。
......ご主人様、また俺が喋れる事話して無いにゃ。
作品を読んでいただいてありがとうございます。
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