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第6話 闇対闇

 

 俺は窓から飛び降りた。

「スタッ」とやわらかい音がして、杖の男と目が合った。


「しゃああァァァ」と威嚇して、背中の毛を逆立たせる。

 ご主人様は目を大きく見開いて『どうして?』と言う表情をしている。


 俺は杖の男に飛び掛かった。すれ違いざま魔力の爪で首を引っ掻いた。

 男は一瞬の出来事で何が起きたか分かっていない。首から血が吹き出して切られた事に気づいたが、もう手遅れだ。

 力が抜けて足元から崩れ落ちる。そのまま倒れて気を失った。おそらく助からないだろう。


 サル顔の男が短刀をこちらに向ける。


「何だこの猫は?」

 引き攣った表情でそう叫んだ。


 そりゃそうだろう、いきなり現れた猫に仲間をやられたのだ。

 サル顔が短刀を構えたままジリジリと間合いを詰める。

 ドーフはご主人様のそばに立ったまま、様子を見ている。


 俺はあえてゆっくりサル顔の方に歩いて行く。

 一刀足の間合いに入るとサル顔が短刀を俺に向けて突いてきた。


『ガキンッ』鈍い音を立てて刃は俺の目の前で止まる。

 黒い障壁が俺を包んでいる。

 そして前のめりになったサル顔の胸部を床から伸びた黒い刃が音もなく貫いていた。


「ミカエル、何で?」

 ご主人様は困惑の声をあげた。


「こいつは驚いた。お前の所の三毛猫か?助けに来ただけでも驚きなのに、闇術まで使うとは!」

 ドーフはニチャとした嫌な笑みを浮かべ持っていたメイスを俺に向けた。


「貫け!!」


 俺の足元から4〜5本の闇の刃が現れた。

 黒い魔法障壁に当たり俺の体ごと中空へ飛ばす。


「なるほど、こいつはめんどくせえな」

 ドーフは呟く。


 俺は空中でクルッと回転して着地した。

 そしてそのままの勢いでドーフに突進して行く。


「ダークバインド」

 ドーフが唱えると無数の黒い手が襲いかかってきた。

 しかし魔法障壁に阻まれ俺には届かない。


 俺はそのまま魔力の爪でドーフの喉元を狙う。

「ガシ」「キン」と言う音を立て今度はドーフの魔法障壁によって阻まれる。死角から放った闇の剣も効かなかった。


 マズイな、魔力量がドーフの方が多い、魔法障壁も強力だ。そしてこのまま持久戦になったら確実に負けるだろう。


「同じ闇術使いとは珍しいな、楽しませてもらおう」

 そう言ってドーフは空中に黒い魔力を放ってそれを凝縮させた。


「ブラックスフィア」

 拳より一回り小さい黒い球が俺めがけて飛んでくる。


「ゴギィィン」鈍い金属音がして俺は魔法障壁ごと壁に叩きつけられた。前面の魔力障壁にヒビが入っている。

 すかさず追撃の弾が飛んでくる。俺は闇の剣を使って受け流す。外れた球が石臼に当たり轟音と共に粉々に砕けた。もう一発、さらに一発と次々と攻撃を出してくる。

 何とか受け流していたが、ついに一発喰らってしまった。魔力障壁は砕け散り俺は壁に叩きつけられた。

 俺はゆっくり立ち上がり、新たな魔力障壁を張り直した。そして後足を引き摺りながらドーフに向かって歩く。


「もうやめて!!」

 ご主人様は叫び、椅子ごと倒れる。何とかしようともがいている。

 俺にはご主人様の体が淡く白い光を放っている様に見えた。


 その時ドーフの手元に渾身の魔力が集められた。

 大きな黒い塊はみるみる圧縮されて発火した。


「闇の業火に灼かれろ、ダークフレア!!!」

 黒い炎が火の玉となって襲いかかってくる。


 俺は込み上げて来るものが抑えられなかった。


「ニャ、ニャァ、、、ニャーハハハハー。消し炭になるのはお前のほうニャー」



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