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第32話 延長戦

 


 俺たちはヴァーロス達に気づかれない様に地上を歩いて赤龍の元にむかった。

 ここは街の中心部よりやや東に位置する丘の上にあって、眺望が良く人気のある高級住宅街だ。

 しかし大きな屋敷たちも赤龍に破壊されて、まるで竜巻の被害にでもあったかの様になっている。


 まずは赤龍の動きを止める必要がある。

 下手に攻撃が外れて、飛んで移動されてしまったら被害が広がってしまう。

 エリザベッタに小声で相談すると『それなら大丈夫、任せて』と言った。


 俺とエリザベッタは二手に分かれた。

 すでにここにも骸骨兵やゾンビがうろついていて、気付かれない様に近づくのは困難だった。

 故に俺が囮になって、正面から骸骨兵を蹴散らしながら突破する。

 すでに闇の執事を16体召喚複製しており、目の前の敵をあっという間に一掃した。


「ヴァーロス!!」

 俺は大声で叫んだ。こんなに大きな声を出すのは生まれて初めてだったかもしれない。


 ヴァーロスはやや驚いた顔をしていたが、すぐに『ニヤリ』と気持ち悪い笑みを浮かべ赤龍から降りて来た。

「ずいぶんと遅かったじゃないかヘリオス君」


「何の為に罪のない人々を襲ってるんだ」


「教えたらおとなしく殺されてくれるかい?」

 ヴァーロスはニヤけて軽口を叩く。


「ふん、どうせ赤龍の強化と時間稼ぎって所だろ。 あの場所で戦っても流石に勝ち目は無かったはずだ」


「おーおーずいぶんと見くびられたものだね。 だが半分は正解さ、あのドラゴンは私が作った合成魔獣なのだよ。 魔力を吸収してさらに強くなる」


「……なぜ王選の魔石を奪って行かなかったんだ?」


「んーなかなか鋭いね。流石だよ!!」

 ヴァーロスはヘソの前あたりで拍手をした。

「あれはドラゴンに与える訳にはいかない代物。 それにすぐに王の魔術が使える訳ではないからね」


「王の魔術??」


「本当に何も知らないんだね。 ではドラゴンの餌にでもなって貰おうか!!」


 ヴァーロスが合図をすると、赤龍が鋭い爪で襲いかかって来る。


 ……その瞬間!!

 地面からキラキラと輝く巨大な箱がせりあがり、赤龍を丸ごと飲み込んだ。

 箱の上蓋が閉じると、その上にエリザベッタが飛び乗った。


「これはダイヤモンドの牢獄、魔獣の力では破れないよ」

 エリザベッタがそう宣言すると、どこからともなく冷気が漂う。


 エリザベッタめがけて氷の礫が竜巻の様な形状をとって襲いかかる。

 鬼の様な形相のムラヤニドが睨みつけていた。


「私の可愛い子に何するのよっ!!」

 次々に繰り出される氷の嵐(アイスストーム)に一面が白く染まる。

「アーハッハッハハハ」

 ムラヤニドの笑い声が響き渡る

 まるで別人だ。

 まあ死んでいるから当然なのだが。


 牢獄に近づいたヴァーロスの手には小さな槌が握られていた。

 槌を軽く牢獄にあてると、乾いた音を立てて粉々に砕けてしまった。

 ダイヤモンドのキラキラとしたカケラが宙を舞い、一面の白い世界と重なってとても幻想的な風景を作り出していた。


「んー良いね、良い景色だ。ロビンに『ゴヴニュの鎚』を教えたのは私なんだよ」


 俺は闇の執事達に指令を出して、ヴァーロスに攻撃を仕掛けた。

 ヴァーロスも骸骨兵を土から作り出す。

 しかし闇の執事の方が圧倒的に強く、一気にヴァーロスを取り囲んだ。


 一方エリザベッタは苦戦をしていた。

 怒り狂ったムラヤニドの氷術と暴れ回る赤龍に防戦を強いられていた。

 触れると凍りついてしまう氷の嵐を土壁で防ぐが、片っ端から赤龍に壊されてしまう。

 魔導兵を作れれば良いのだが、隙を与えてくれない。


「よそ見をしてて良いのか?」

 ヴァーロスが自分の周りに溜めた魔力を針に変えて解放した。

「『千の輝き(ラディアンス)』をくらえ!!」


 硬度を極限まで高められたキラキラした無数の針が闇の執事を防壁ごと貫く!

 俺の方に流れて来た針は3重に貼られた闇の障壁によって何とか止める事ができた。

 本気で殺しに来たらこの威力だ。

 接近戦は避けるべきだ。


「あ、あぶねえ……」

 俺は後ろに飛び、とりあえずエリザベッタと合流する事にした。


「ルブク マーザ フェニックス バハッ シャイン バーダック リターチャー アン テイネン ラッサハ」

 俺の魔力を火術に変えて、炎の嵐でムラヤニドの攻撃をレジストすると、エリザベッタは空中に足場を作り高く舞い上がってこちらへ着地した。


「焼き尽くせ」

 俺は大火球をムラヤニドに向けて放つ!


 一瞬怯んだ表情を見せたが、赤龍が火球を弾き飛ばす。

「んー素晴らしいわ! 私のかわい子ちゃん。守ってくれたのね」

「ガウガウ」


 何なんだこいつら。

 エリザベッタと顔を見合わせた。


「ちょっとかわいいそうだけどアレをやろう。光術使ってくれ」

「……わかった!!対人で使うのは初めてね」


 行くぞ!

 俺は闇術のオーラを空中に放り出す。

 エリザベッタはそれに向かって光術の矢を放った。


新星(ノヴァ)爆発(エクスプロージョン)!!!」


 辺りに強烈な光と闇の光線が放たれた。



 

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