表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/42

第30話 暴走

久しぶりにシグヴァールの登場です。

過去編のクライマックスに近づいて来ましたが、最近忙しく執筆が追いつきません。

次回は2/8土曜に投稿します。

楽しみにしている方申し訳ありません。

 


「それでそれで、どうなったの?」


 シグヴァールは馬の上で俺の両腕を抱え、上下に揺らしている。


「落ち着くにゃん。……体が揺れて喋れないにゃん」

「ご、ごめん興奮しちゃって・・・」


 馬に降ろしてもらってあたまを撫でてもらう。

 呼吸を整えて質問に答える


「リフレクションズで反射した黒い玉はまっすぐヴァーロスに向かって飛んでいき、彼を封じ込めたにゃ」


「じゃあ王選の儀はミカエルが勝ったの?」


「まあ、そういうことになるにゃあ。ヴァーロスを封じ込めたあと、奥に扉が現れてそこで大きな魔石を手に入れたにゃ」


「じゃあなんでエリザベッタさんが王様になったの?」


「それは……ここからがちょっとシグヴァールにも関係があるかもしれないお話しになるにゃあ。落ち着いて聞いてほしいにゃあ」



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 転移魔法陣を使ってダンジョンを出ると王都の職員がリタイヤした参加者の介抱をして慌ただしく動いていた。

 怪我をしているものに、女王フレデリカが治癒魔法を使い治療をしていた。


 王都職員は魔石を持って出てきた俺を見つけると、慌てて女王陛下の元に言いに行った。

 女王陛下も俺に気付き、自ら此方に歩み寄り手を取り祝福してくれた。

 アン・ジェームス校長も来ていて俺と目が合うと、とびっきりの笑顔でウインクを飛ばして来た。

 それから辺りは職員や見物客などからの祝福の拍手に包まれたのだった。


 王選の儀で手に入れた、頭の大きさ程ある真紅色の魔石は一旦王城に保管される様で、王都の職員が箱に入れて回収してくれた。


 闇の玉に封じ込められたエリザベッタとヴァーロスは光術でレジストする事で封印が解けるらしく、宮廷魔術士が対応しているとの事だった。

 俺はエリザベッタの方に行き、様子を見ることにしたんだ。


 レジストマジックは同じくらいの魔力量と魔力密度で正反対の術をあてることによって、完全に消えるか弱まって効果が無くなる。

 光術の適性がある宮廷魔術師が色々な光術を試していた。

 ヴァーロスの方が先に解けたらしく、『リューナグ』と呼ばれる魔術の光線を当てることで解除できた様だ。

 程なくエリザベッタの方の封印も解けた。


 黒い球の中にいても意識はハッキリとしていたらしく、エリザベッタも俺に祝福の言葉をかけてくれた。

 しばらくエリザベッタと談笑してたが、辺りが騒がしくなった。


 どうやらヴァーロスが結果に納得がいかない様で、大きな声をだしている。

 ムラヤニドがなだめて止めようとしてるが、怒りは収まらずムラヤニドも突き飛ばされてしまった。


「あれは英雄ノート・テリングそのものなのだ!! 我々が手にしてこの国をあるべき姿に戻すっ!!!」


 ヴァーロスが雄叫びを上げる様に叫ぶと、迷宮内にいた黒い女神像が突然現れた。


 転移魔法!?あるいは何かしらの術式を組んでいるのかもしれない。

 女神像の手を組み祈る様なポーズを取る。

 目は赤く光り、赤い涙を流し始めた。かなり異様な光景に見える。


 ヴァーロスは魔力を解放して辺りを吹き飛ばし自分の足元を隆起させる。

 召喚陣付きの土術の石板を大量に作って辺りに配置した。


「ムラヤニド!!こっちに来い」

 強い口調でムラヤニドを呼ぶと召喚陣に魔力を込め始めた。

 ムラヤニドも一緒に魔力を流し込み、大量の魔獣が召喚陣から出現し始める。


「もうやめなさい!!」

 フレデリカ女王が大型の火球を魔獣に向け放つと、吹き飛ばされ黒焦げになった魔獣が足元に転がった。


「フフフ、やめないさ、この国など滅んでしまえばいい!」

 そう言ってヴァーロスは強大な魔力を練り始める。

「これが私の土術の最高傑作だ!!」


 大地に向けて両手を置き魔力を放つと、土の中から大量の骸骨兵が這い出て来る。


 さらに真っ黒い巨大な石板をを生成して魔力を込める。


「出よ、死霊の王(デッドロード)よ!」

 召喚陣の中から巨大なゾンビが顕現した。

 ゾンビは土色の肌をしており、所々骨が剥き出しになっている。手に持つ杖は先端に怪しく光る魔石が付いており、禍々しい魔力を感じる。


 死霊の王(デッドロード)が杖を振ると骸骨兵が土槍を生成して一斉に投げた。

 王都の職員や見物客にあたり、凄惨な状況だ。

 しかしそれだけではない!

 絶命した人がそのままゾンビ兵として復活して、死霊の王(デッドロード)の指揮下に入り人々を襲い始める。

 味方の中に突然現れた敵に更なる混乱と絶叫が木霊した。


 フレデリカ女王が先頭に立って死霊を封じ込め、人々の安全を確保する。

 俺たちも魔法障壁を張り土槍を防ぎつつ、ゾンビ兵を葬っていく。

 もはや手がつけられなく撤退戦の模様だ。

 一度体制を立て直さなくては、もう対抗できなくなっている。


「このまま街に突入されたら、ゾンビ兵が一気に増殖して本当に国を滅ぼしかねないわ」

 女王フレデリカが強い結界魔法で死霊たちの動きを止めた!


「今のうちに民の安全確保を!」

 女王フレデリカが命じると王都職員や宮廷魔術師は避難する為一気に動き始めた。


 戦う為に残ったのは女王陛下とその側近、そしてアン校長と俺たち王選の儀参加者だ。



 しかし、信じられない光景を俺たちは眼にする。



 黒い女神像の下でヴァーロスはムラヤニドの心臓を剣で貫いたのだった!!


作品を読んでいただいてありがとうございます。


・ブックマークへの追加

・画面下の「☆☆☆☆☆」からポイント評価


などをしていただけたら励みになります


よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ