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第12話 女神の裁き

ようやく第一章書き上がりそうです。

今回ちょっと長いですが、1話の理想の長さって何文字くらいですかね?

次回は来週28日土曜日15時にアップします。


☆シグヴァール視点


洪水(フロウツ)」と唱えてアザエルが辺り一面を水浸しにした。私はアンバーの土術で作った高台に登り、父達と合流した。

 父は捕らえたハルホスニのハンターを尋問していた。

 男は手枷と拘束具で身動きが取れない。

 フードを取ると父も知っている顔で、クラッグという男らしい。


 父がクラッグに聞いた事はシンプルだ。


『あれは何者だ?』と『あれの倒し方』だ。

 前者はこの一帯に昔から住んでいる精霊のような物に受肉させたらしい。

 魔法陣を使い精霊の召喚と受肉を同時に行った。と自慢げに言っていた。


 後者は言葉を濁していたが、2〜3発殴られたら素直になって話していた。

 簡潔に言えば精霊体は倒す事は出来ないらしい。肉体は滅んでも精霊体は不滅らしく、またこの辺一帯を漂う霊的存在に戻ると思うと言っていた。


 問題は、彼らがこの厄災を制御したり打ち破る何かしらの方法を持っているのか?

 という事だ。

 もし、このまま暴れさせたら自分達にも被害が出るし、街が滅んでしまうような事になったら何の為に危険な橋を渡ったのか分からない。

 クラッグは口を噤んでいたが、『女神の裁き』に頼るという答えに、一同呆れてしまった。

『女神の裁き』というのは都市伝説みたいな物で、人や魔物が一度に何人も殺したり、罪のない人の命を奪うと、この国を建国した初代女王『ポアーン・ダヌ』の怒りが降り注ぐというお話だ。

 幸いこの国で女神の裁きが目撃されたり、極悪人が裁かれたという事は伝わっていない。故に『女神の裁き』が本当かどうかだれも解らない。

 だからこの御伽噺は、悪い事をしたら地獄に落ちると言って、いたずら小僧に説教するのと同じ様な寓話に近い言い伝えだ。


 つまりクラッグはアザエルを適当に暴れさせて、後は野となれ山となれとするつもりだった。まさに神頼みという訳だ。


 父は問う

「このままにしていたら被害は拡大していく。戦う以外に選択肢は無いと思うが、どうか?」

 父の隊員はもちろん、ハイン叔父さんと私も戦うと言った。


「ではアンバーとジェイドをクラッグの見張りにおいて残りのメンバーで戦おう。」

 父は隊員にそう告げる

「俺の雷はみんなを巻き込んでしまうので、水術と光術で攻撃に参加する」

 ハイン叔父さんがそう言うと

「では俺が前線で戦おう、ジェスパとグレファーは援護を頼む。シグはハインと一緒に後方から支援しろ」


「お父さん、あのね。実は……」

 私が話を切り出そうとした、その時。


 ホードゥは吹っ飛ばされて目の前に転がった。



 ☆ミカエル視点



 ホードゥは気を失っていた。鼻が曲がり口の中は血だらけ、歯は何本かイッてるようだった。

 窒息しない様に高台の上に移動して介抱されたが、もうこの戦いには戻ってこれないだろう。


 アザエルは笑っている。まるで動物が戯れてるようだが、そんなにかわいい物では無い。

 奴がその気になれば、もっと容易く全滅させることも出来そうだ。

 カッルフッドは勝算はあるのだろうか? 俺もあれこれ考えたが勝ち筋を見つけられない。

 どうしても前世の自分の戦い方で考えてしまうので、魔力量が足りない。


 俺はご主人様の肩によじ登り、少し戦い方を見する事にした。

 何か弱点を見つける事が出来るかもしれない。


 カッルフッドは右足を前に出し、半身に構えて剣は腰の高さに地面と並行に構えている。

 ジャスパはカッルフッドの右側に槍を構え、グレファーは左側から隙を伺っている。


「行くぞ!」

 カッルフッドが号令をかけると、グレファーは氷の槍をアザエルの足元に放った。

 アザエルの足元が凍りつき、動きが取れなくなる。

 すかさずカッルフッドが斬り込む。火術を長剣に付与(エンチャント)して肩口から袈裟斬りを叩き込んだ。

 アザエルは唸る

 真っ赤な切り口が胸から腹にかけて出来たが浅い。

 もう一撃加えようかという時、アザエルの身体から水が噴き出す。水飛沫は霧のようになり視界が悪くなる。

 グレファーのそばに水飛沫が上がり、アザエルが現れる。

 反射的に氷の槍で攻撃すると、アザエルは凍りつき砕けた。

「!?」

 グレファーの背中に強い衝撃があり、吹き飛ばされる。

 カッルフッドが剣を振ると、炎の斬撃がグレファーを攻撃した辺りを走ったが、手ごたえがないまま消えていった。

 カッルフッドの後ろに水飛沫が上がる。

 アザエルは拳を振りかざし、カッルフッドを殴ろうとしている。

 ジャスパは炎を鞭状にしてアザエルに巻き付ける。

 大量の水蒸気が上がるが、また跡形もなく消滅してしまった。


「逃げろ!!」

 ハインが大声で叫んだ。


 足元の水から5体のアザエルが現れ、大きく息を吸い込んだ

 5体のアザエルの口から勢いよく水が発射されカッルフッドとジャスパを吹き飛ばした。


「みんな集まれ!!」

 ハインが大声で指示をだす。同時に頭の上に大きな光の魔法陣を作った。

光の剣(クラウ・ソラス)

 ハインが唱えると数百の光の剣がアザエルに向けて飛んでいく。

「バシュ、バシュ」という音を立てて水人形のを破壊し地面に剣は突き刺さった。

 霧の中に数百の剣が十字架のように見える。まるで集団墓地のような怪しさだ。


 カッルフッドらが集まって来た。

「火術を使うと霧が発生して非常に厄介だ。斬撃なら致命傷を与えられるかもしれないが、近づくとかなり強力な水撃が飛んでくる」

 カッルフッドは剣を肩に乗せてそう話した。

 歴戦の強者である事は間違い無いのだろうが、今回の敵は規格外だ。多少の焦燥感は否めない。


「霧の方は俺が何とかするにゃ。ハインさんとカッルフッドさんは本体が見えたら攻撃して欲しいにゃ」

 俺はご主人様の肩の上からみんなにそう話した。


「わかった、ではお手並み拝見する」

 カッルフッドはニヤリと笑った。

 

 俺はご主人様から飛び降り

「では行くにゃ!!」

 と大きな声を出した。


 俺は魔力を放出して、練り上げる。

 魔力は紫色に光り、中から俺より少し小さい鼬が出て来た。

 鼬は丸くなって眠っており、額には三日月の模様がある


「なにそれ!可愛いんですけど。そんなことも出来るの?」


「妖魔を作ったにゃ。もっと大きいものも作れるけど、今の俺にはこれが限界だにゃ」

 

 鼬の頭に手を乗せて命じた。


「風を起こし、霧を祓え」

 

 鼬は目を見開き、身体を大きく伸ばした瞬間、消えた。


 上空から、冷たい風が降りて来た。次第に風が吹き始め、辺りの空気を全て奪ってしまうような強風になった。

 やがて巨大な旋風が広場に現れて、地面の水と霧を連れて北東の方角に抜けていった。


 霧が晴れ、視界に入って来たのは地面に刺さった大量の光の剣と、頬杖をつき寝そべっているアザエルだった。

「グファファァァァ」と気持ち悪い笑い方をすると胡座のような姿勢に直る。


「行くぞ!」

 カッルフッドはすかさず間合いを詰め、乾坤一擲の覚悟で剣を両手に持ち、大上段から斬りつけた。

竜斬り(ブラブオドラゴン)

 アザエルは片膝立ちになり、右手で剣をいなす。

 そこにハインが飛び込んできた

閃光弾(グラナダ)

 高熱の光が顔面に直撃した。


 カッルフッドは返す刀で剣を捲り上げる。

 アザエルの左の肘から先が宙に舞った。


「グオおぉぉ」たまらず立ち上がる。


 すかさずカッルフッドアザエルの左足に剣撃を喰らわすが、断ち切れない。

 長剣の先が骨にはまって抜けない!


 ハインが両手拳を前に突き出し魔力を込める!


極大閃光弾(アーダ・グラナダ)

 昼のような明るい光が広場に走った


 至近距離からの強い熱閃光がアザエルの上半身に直撃して黒焦げになり白目むく


「やったか?」カッルフッドは剣を抜こうと力を込める


 その刹那


 アザエルの足元がから水が巻き上がり、大きな渦を作り始める



 俺はご主人様の肩に飛び乗り

「準備はできてるかにゃ?」

 と聞く。


 乳白色の光に包まれたシグヴァールは

「いつでも行けるわ」

 と静かに言った。


作品を読んでいただいてありがとうございます。

これから時間を作って投稿していくつもりです


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