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第11話 ホードゥ対アザエル

第一章、全然書き終わりません涙

とりあえずここまで。続きは来週21日土曜日、15時に投下します。

 

 魔法陣の中心から巨大な生物が現れる。

 全体的に赤黒く、頭はヤギのようで2本の角が生えている。鬣は三つ編みにされ、蛇のように見える。 体は毛深い男の体、背中には猛禽類の様な大きい羽が3対生えているが、その巨体では空は飛ぶのは無理だろう。足は熊のような太さで黒い毛に覆われている。

 

 獣は「ごおぉぉぉお」と叫んだ。巨大な雷がそばに落ちたような地響きが辺りに轟く。


 カッルフッドは動く!!

「アンバー、グレファー来いッ」そう叫ぶと、それに呼応する様に2人の兵士がカッルフッドに続く。

 狙いは逃げようとしていた召喚魔法陣を使ったハルホスニのハンターだった。

 あっという間に取り囲むと、グレーファーという方が冷術で動きを止め、アンバーの使う土術で拘束した。


「みんな、戦闘体制を取れっ、油断するな!!」


 それぞれ距離を十分取り武器を構える。

 ご主人様もレイピアを抜いて戦闘体制を取っている。


 ホードゥは青い顔をして槍を構えていた。これが何だかなんて分かっていない。今どうするべきか分からない。そんな顔をしていた。


 ハルホスニの連中もここに残っている。少し混乱しているが逃げ出さない所を見ると、詳細は拘束された男以外知らなかったのかもしれない。


 獣は大きな欠伸をした。それだけで空気が震えた。辺りをキョロキョロと確認すると、ちょうど正面の建物の窓に映る自分の姿を見つけて笑い出した。

「ガハハハハァァァァ。またこの様に肉体を得ることができるとはな」

 そう言って、また笑った。空気が震える。


「我の名はアザエル。弱きもの達、復活の礼に何か褒美をやろう」


「あは、あはは。おい聞いたか?褒美だって、こいつ意外と良い奴なんじゃないか?」

 ホードゥは引き攣った顔をしながらそう言った。


 俺は、このドス黒く巨大な魔力の持ち主が『良い奴』な訳ないだろうと思った。

 少なくても、ガキ大将の方が御し易い。


「おいアザエルさんよ。褒美は何でも良いのかい?」

 ホードゥはデカい声で叫んだ。


「そうだな、我は復活したばかり故、金銀財宝の様なものは持っておらん」


「だったら何ならくれるんだい?」


「そうだな、こんなものは如何かな?」

 そう言うとアザエルの足元から水が湧き始めた。


洪水(フロウツ)

 アザエルがそう唱えると、一気に水かさが増えてあっという間に膝の高さまで飲み込まれた。


 俺はご主人様の肩の上に駆け上がり、魔法障壁を張った。多少水の抵抗を感じるが耐えられそうだ。

 ハイン叔父さんは水魔法で流れを操り問題なく立っている。

 カッルフッド隊は咄嗟に土魔法で高台を作って避難している。

 ホードゥ隊は多少流されたが建物に捕まって堪えている。

 ハルホスニ隊は流されて散り散りになっていた。水路に流されたのか、人数が正確に分からない。

 それにしても、ものすごい魔力量だ。前世の俺とどちらが多いだろう?


「ご主人様、お父さんのところに行けるかにゃ?」


「わかったわ。行ってみる」

 そう言ってシグヴァールは走り出す。


 その時、轟音が響き渡った!!

 ホードゥが放った大火球がアザエルに直撃したのだ。

「舐めやがって、何が褒美だクソッタレ!!」



 アザエルは右手で顔を押さえ、片膝をついて唸っている。


 地表に流れる水の量が一気に減り、足が取られなくなった。


「チャンスだ、集まれ!」

 ホードゥ直属のハンター達が素早い動きで集まる。

 7人の部隊は、三日月の様に広がりホードゥ中心にに鶴翼の陣形をとった。


「いくぞ!」

 号令と共に一斉に槍を突く

 アザエルは左手で薙ぎ払ったが、一本が左膝に槍が刺さる。


 蚊でも退治するかの如く冷静に水魔術で槍の柄を切り落とす。


 しかしホードゥがすかさず胸元に向けて槍を突く。


 アザエルは咄嗟に右手で防ぐが、槍は腕に突き刺さった。露出した頭部の右側は焦げて頭の毛がチリジリになっている。


 アザエルは「グオぉぉぉー」と雄叫びを上げると水の壁が噴き出し、水圧でホードゥ達は吹き飛ぶ。


 再び陣形を整えながら、ホードゥは司令した。

「最大火力の火術で一斉に攻撃するぞ」

「おう!!」


 ハンターたちは一斉に巨大な火柱を6柱、アザエルの足元に作った。

 水の壁を出して防ごうとするが消えない。大量の水蒸気が辺りを包む。


 ホードゥが先程の火球よりもさらに巨大な火球を、アザエルにめがけて放った。


「ゴオォォン」という衝撃音が響き、アザエルは炎に包まれる。


「やるな、人間どもぉ」ドスが効いて、地面から響く様な声だ。

 その瞬間、上空から大量の水が降って来た。まるで滝の中にいるみたいな衝撃がホードゥ達を襲う。


 視界が戻るとそこには、背中の羽に包まれたアザエルがいた。羽根の空気の層で本体へのダメージを減らした様だ。


「くあははは、楽しいぞ、楽しいぞ。今度はこんなのはどうだ?」

 アザエルは魔力を練り、自分の周りに巨大な水の渦巻きを作る。

 辺りの水がどんどん吸い寄せられ、巨大な竜巻の様なものにアザエルはすっぽり入ってしまった。


水の城攻砲(ディッケべシャス)


 地を這う言葉と共に、高速で水の球が発射された。

 最初の一撃がホードゥの顔面を直撃した。

 まるで水面を飛び跳ねる魚のような軌道で、数十メートル吹き飛ばされ、カッルフッドのところまで飛ばされて来た。

 高圧の水球は次々に発射され、ホードゥ隊は全て吹き飛ばされた。


「グハハハァァァ」

 アザエルの笑い声があたりに響き渡る。


作品を読んでいただいてありがとうございます。

これから時間を作って投稿していくつもりです


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