第10話 急転直下
只今、第1章クライマックスを書いてます。
全部書いてから推敲したいので、次回は9/14頃予定してます。
「どーも、カッルフッドさん、ミカエルだにゃ」
移動の馬の上から俺は挨拶した。
ご主人様が魔術の使える猫について聞かれたので、俺から話しかけた。
「な、なんと!言葉まで扱うのか?」
お父上はそう言って口をあんぐりさせている。
ハイン叔父さんはその光景を見てニヤニヤしていた。
「いやいや、なんとも驚きだが娘を助けて頂きありがとう」
「どういたしましてだにゃ、ご主人様にはお世話になっているので当然だにゃ」
「なるほど、主人思いの忠犬ならぬ忠猫と言ったところだな。帰りは是非うちの方にも寄って行ってくれ。ウルズヘルム特産のアマゴを御馳走しよう」
「ありがとうにゃ、是非伺うにゃー」
俺がそう言うとご主人様が俺の顎を撫でた。
「ミカエル、よだれ垂れてるわよ」
そう言って微笑んだ。
~~~~~~~~~~
俺たちと討伐隊は中央広場に着いた。
丸い月はちょうど真上に輝き町を明るく照らしている。
カッルフッドの部隊も戦闘に加わる為に戦闘体制をとる。
広場では局所的に戦闘が行われており、あちらこちらに魔物の死体が転がっていた。
東側のちょうど真ん中には修道院のような大きい建物があり、その前でホードゥ達は戦っていた。
カッルフッドと同じように、集団で囲み動きを止め、魔法でトドメを刺すというやり方だ。
大規模な魔法で街に被害を出す訳にもいかず、確実に倒さなくてはいけないので理にかなっていると思う。
ホードゥは長槍を持ち率先して魔物に攻撃を仕掛けていた。でかい体躯には似合わぬ素早い動きで魔物を確実に仕留めている。
「なかなかやるにゃん」
俺がそう言うと
「ホードゥは強いわ。身体能力だけでなく、魔法もしっかり使える」ご主人様が答える
「なんで功を焦るような真似をしたのかにゃ?」
「おそらくだけど家の問題が一つね。彼には弟がいて、なんと言うか何でもそつなくこなす優等生なの。ホードゥはどちらかというと愚連隊を率いるガキ大将見たいな感じだったから」
「そうゆうコンプレックスがあったという事かにゃ?」
「うん、後継のことは私には分からないけど。みんなに、何より親に認めて欲しいという感じは前からあったわ」
「ドーフはご主人様の気を惹きたいからと言っていたにゃあ?」
「うーん、それを言われると複雑ね。でもそれはないと思う」
「どうしてにゃ?」
「私が彼にとって、簡単に手に入りそうなのに手に入れられないから意地になってると思うの。彼は名家の御曹司で私は雇われのハンター。私が靡かないから彼は求婚までして周りに言いふらしたわ。紳士的に振る舞ってるけど狂気を感じるのよ」
「……ご主人様、意外とよく見てるにゃ」
俺は内心、ご主人様の方が怖いと思ったが言わないでおこう。
そんな会話をしていると、魔物の討伐は完了した様子で、部隊は真ん中あたりに集まり出した。
西の方から、おそらくハルホスニ家のハンター達も戦いを終え集まって来た。十数人いるが、この感じだとカッルフッド部隊は接触はできなかっただろう。
みんなが集まるとホードゥが大きく咳払いをして話し始める
「皆さん有難うございます。おかげさまで魔物討伐は成功しました。これから少し休んでいただいて、朝になったら魔物の死体を片付けて解散になります。我が家の方で軽い食事などをご用意してありますので、日の出までお休みください」
ホードゥはそう言ってみんなをねぎらった。ご主人様の姿に気づいて近づいて来る。
「やあ、シグ。来てくれたのかい?」
何やら嬉しそうに話しかけて来た。
「そうね、ちょっと色々あって。……父さんとハイン叔父さんを交えて少しお話ができないかしら?」
「あ、ああ。もちろん大丈夫だ。今がいいかい?それともうちで別室を設けようか?」
「ありがとう、皆さんが休憩に入ってからで良いわ」
「わかった、では移動しよう」
討伐隊のみんなはもう移動を始めている。
カッルフッドさんとハイン叔父さんはこちらの様子を伺って残っていた。
俺の視界の端に何か変な動きをしている奴が飛び込んできた。
濃い緑色のフード付きのローブをまとい地面に両手をついて、礼拝の様なポーズをとっている奴がいる。
あのローブはハルホスニの連中が着ているものだ。
何やらブツブツと呪文のようなものを唱えると、広場が赤く光り、文字の様なものが浮かび上がる。
その瞬間その辺に倒れている魔物が赤い光に吸い込まれていく。
光が文字に集まりはっきり浮かび上がる。
これは召喚魔法陣!!!
男は大声で唱える
「古の神アザエルよ、我の捧げ物たる贄を得て、ここに顕れたまえ!!!」
作品を読んでいただいてありがとうございます。
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